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いろいろ遊べるリアルタイム・マルチエフェクター『DFX – Digital Multi-FX』

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by [2015年3月30日]

 ギターやマイクのエフェクターとして使えるだけでなく、iOSアプリのプラグインとしても機能する本格的なマルチエフェクターアプリ『DFX』を紹介しましょう。文:内藤 朗(有限会社FOMIS)

DFXについて

 Fingerlab SARLというフランスのメーカーが開発したDFX -Digital Multi-FXは、iPad用に開発されたリアルタイム処理が行えるクアッド・マルチエフェクト・プロセッサーです。iOSアプリにはシンセ音源などの機能としてエフェクトが装備されているものはあるのですが、エフェクター単体として作られているアプリはまだ少ないのが現状だけに注目度も高いでしょう。ちなみにFingerlabというメーカーはDFXの他にもRockmate、DM1、Musyc Proなど音楽系アプリをリリースしており、いずれも秀逸な出来栄えです。ではDFXの細部について解説していきましょう。

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DFXのメイン画面

DFXのエフェクト部をチェック!

 DFXは最大で4個のエフェクトを同時に並列で使用可能です。アプリの画面上にはエフェクトを設定するトラックパッドが4個配置され、1個のトラックパッドがエフェクトモジュール1個分となっています。本体に装備されているエフェクトは10個のカテゴリーに分類されたエフェクトが全部で33種類用意されており、これらの中から任意のエフェクトを割当てて使用します。ざっと見ただけでも必要なエフェクトは一通り揃っているようです。

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各エフェクトはこのリストの中から選ぶ

DFXに装備されているエフェクトリスト※iTunes Storeの解説部分より引用

  1. ディレイ:シンク・ディレイ、ピンポン、テープ・ディレイ
  2. リバーブ:メタルボックス、ホール、ディセント、リフレクション、フリーズ
  3. フィルター:ハイパス、ローパス、ハイシェルフ、ローシェルフ
  4. フェイズ:フェイズ・フラックス、バイブ・コーラス、フェイズ・シフト
  5. モジュレーション:ウェーヴ・トレモロ、オートワウ、エンベロープ・フォロワー、リング・モジュレーター
  6. ディストーション:ウェイブ・シェーパー、バイアス、ロー、ビット・クルーザー、シンサイザー
  7. ボイスFX:ボコーダー、レゾネーター、フォルマント・シミュレーター
  8. パン:ステレオライザー、オートパン、レスリー
  9. ダイナミクス:ノイズゲート、コンプレッサー
  10. インストゥルメント:ハイトーンシンセ、バストーンシンセ

 上記のエフェクト中、インストゥルメントのハイトーンシンセとバストーンシンセはシンセ波形のジェネレータとして用意されているもので、これについては左上のエフェクトモジュール以外にはアサインすることができません。逆にこれを使うことで、アプリだけで様々なサウンドエフェクトをデザインできるため、オリジナルの効果音を作ることが多いクリエーターには有益なツールとなるでしょう。
 DFXでは、使用するエフェクトは4個全てを使う必要はなく、シンプルに1個のみを使用することもできます。
 また、使用できるエフェクトは、それぞれのエフェクトモジュールごとに独立して設定できますので、4個を全て別のエフェクトに設定することも、あるいは同じエフェクトを複数に割り当てて使用することもできます。更にエフェクトのルーティングが柔軟に変更できる点も見逃せません。
 DFXのルーティングは、基本的に左上、右上、左下、右下という順番の直列接続となっていますが、画面右のマスターボリュームフェーダーの上に配置されているSWAPボタンを押して表示されるルーティング設定画面上で自由にドラッグして入れ替えることができます。
 下記はルーティングを実際に変えているプロセス。ここでは下の2つの接続を入れ替えているが、aが最初の状態、bが途中でドラッグしている状態、cが入替後の状態となる。

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a

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b

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c

 なお、各エフェクトは画面の中央部に配置されているフェーダーでドライとウェットのバランス調整を行い、同じエフェクト設定でもこれらのバランスを変えるだけで、異なるエフェクトサウンドを表現することが可能です。
そして一番のポイントはトラックパッド上を自由にドラッグしてリアルタイムにエフェクトを変化させることができる点です。
このトラックパッドはいわゆる縦軸と横軸に割当てたパラメータを自由に変更できるX-Y型コントローラになっており、自分で設定はできませんが、エフェクトごとに最適なパラメータが割り当てられているようです。
このパッド上をドラッグして自由にコントロールすることで、エフェクトパフォーマンスをサウンドに加えることができます。

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右側2個のトラックパッド上でリアルタイムで動かしている状態

 実際に操作していると、トラックパッドでエフェクトをリアルタイムコントロールしてサウンドを変化させるあたりは、前述のDM1の操作性に通じる部分があるように感じられました。
 また、各エフェクトのフェーダーの上にあるローテーションボタンをタップすると周期的にそのパラメータパランスを変えることができるため、周期的にサウンドを変化させたい時に有効な機能となります。

実際の使用例

 DFXには主に次のような用途があります。

内蔵マイクやオーディオインターフェイスなどから入力されたサウンドにエフェクトをかける
 DFXは、起動すると内蔵マイクからの入力に反応するように設定されていますので、マイクに向かってしゃべったり、音を近づけてみると拾った音にエフェクトをかけることができます。エフェクトの設定が良くわからないという人はルーティングのプリセットがありますので、それらを選んで効果を確かめつつ、進めていくのもアリです。そういった意味ではエフェクト入門用のアプリとして使うのも良いでしょう。内蔵マイクの入力レベルが小さかったり、逆に大きく歪んだりするような場合には、左上のマイクボタンをタップすると入力レベル調整を行う画面が開きますので、そこで調整しましょう。

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左上のマイクボタンをタップして表示される設定画面。入力レベルはLINE INPUT LEVELの値で調整する

 このエフェクトをかけたサウンドは、画面上部のエクスポートボタンの左にある録音ボタンを押すと録音することができます。ボタンをタップすると4カウントの後に録音が開始され、終了したいタイミングでもう一度録音ボタンをタップすれば完了です。録音したオーディオファイルは、WAV、AACのフォーマットタイプが選べ、iTunes経由、メールなどの方法でエクスポートできます。

内蔵のiTunesに登録している楽曲の再生音にエフェクトをかける
 入力レベルを調整する画面を出すと、その右側にiTunesのオンオフボタンがあるのに気がつくと思います。このボタンをオンにした後、SELECT A SONGボタンをタップして曲を選ぶと、iPad上にある楽曲にDFXで設定したエフェクトをかけながら再生することが可能です。いつも聴いているスタジオ録音のテイクでも、深いリバーブをかけてコンサート風のサウンドで聴くと、いつもとはちがった雰囲気で曲を楽しむことができてオススメです。

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エフェクトをかけるiTunesの曲を選んでいる状態と…


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…再生中の状態

他のアプリのプラグインエフェクトとして使用する
 冒頭で述べたようにDFXは、AudiobusとInter-App Audioに対応していますので、DAWやシンセ音源などのアプリと共に使用することができます。
 使い方は様々ですが、シンセ音源をDFXを通して演奏したり、DAWアプリのプラグインエフェクトとして使用することができるので、ほぼデスクトップ制作環境に近い状態のシステムによる音楽制作も可能になるワケです。
一例としてAudiobusを使用した活用例を紹介しましょう。

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Audiobusにアプリを設定した状態

 SampleTank for iOS(以下、SampleTank)の音色にDFXでエフェクトをかけたサウンドをBeat Maker2に録音する場合には図10のように設定します。

 それぞれのアプリがリンクすると画面の右側にショートカットアイコンバーが表示され、それぞれのアプリを行き来できます(図11参照)。
 例えばSampleTankを起動するとDFXとBeat Maker2のアイコンとRECと書かれた録音ボタンが表示されますので、RECボタンをタップすると録音が開始し、SampleTankの演奏をDFXのエフェクトをかけた状態で録音することができます(図12参照)。

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Audiobus設定後にSampleTankを起動した状態で、このような表示が右側に現れる

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Audiobus設定後にDFXを起動した状態。ここにもAudiobusのショートカットアイコンが表示されているのがわかる


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Beat Maker2のオーディオトラックに録音を行った状態

独自の効果音を制作する
 DFXは誰でも手軽にエフェクトサウンドを楽しめるのが特徴ですが、内蔵のインストゥルメントを使用することで効果音制作が簡単に行えるのも魅力だと思います。
 再生されたエフェクトサウンドは録音し、オーディオファイルとしてエクスポートできますので、デスクトップ環境で更に編集や加工などの作り込み、オリジナルの素材制作ツールとしても活用できるでしょう。

試奏後の印象と感想

 以前から同社のDM1は、自分でも使用していて馴染みがあったこともあり、このエフェクトアプリへの期待値は非常に高かったのですが、見事に期待に応えてくれたアプリだと思います。
 スタンドアローンで使用中、派手にパラメータやエフェクトを変更するとやはり負荷がかかるようなので、多少動作がふらつくこともありましたが、概ね安定して使えましたし、AudiobusやInter-App Audioによる他のアプリとの連携は良好でしたので、一つ持っていても良いエフェクトアプリとしてオススメできます。

アプリ基本情報

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DFX - Digital Multi-FX

配信元:Fingerlab

iOS価格:400円

  • バージョン iOS:1.0.1

※記事内の情報はすべてレビュー時(2015年03月30日)の情報です。

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