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新開発のVAシンセが付いているのに無料(!)『Yamaha Synth Book』

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by [2015年3月06日]

『YAMAHA Synth Book』はウェブコンテンツやアナログモデリング音源シンセによるパフォーマンスが楽しめる無料アプリです。早速その全容を紹介していきましょう。
※キャプチャ画像は全てiPad Air2での表示となります。文:内藤 朗(有限会社FOMIS)

様々なウェブコンテンツにアクセス可能なヤマハシンセポータルアプリ

YAHAMA Synth Bookのアプリメイン画面

YAHAMA Synth Bookのアプリメイン画面

『YAMAHA Synth Book』は、1974年に発売されたシンセサイザー第1号機「SY-1」から40周年の節目を記念して作られた、iPhone/iPad用のアプリです。

ヤマハシンセ40年の歴史を楽しめる様々なウェブコンテンツへのアクセスを容易にするだけでなく、バーチャルアナログシンセサイザー「AN2015」などが統合されており、ヤマハシンセポータルアプリと呼ぶにふさわしいアプリとなっています。

ヤマハシンセをより深く知るための充実したコンテンツ構成

本アプリは次の5つのコンテンツで構成されています。

  1. (1)Yamaha Synth 40 years History:iPhone/iPad用に最適化された全5章で構成される本編を中心とし、ヤマハシンセ製品を網羅した年表などを含むヤマハシンセ40年の歩みが閲覧可能なコンテンツ
  2. (2)AN2015:バーチャルアナログシンセサイザーの演奏が楽しめるシンセ音源
  3. (3)Product Lineup:MOTIF XFシリーズを始めとした現行の主なヤマハシンセラインナップについて動画で知ることができるコンテンツ
  4. (4)Yamaha Apps:他のヤマハ製シンセサイザー、音楽制作関連のアプリについて知ることができるコンテンツ
  5. (5)Portals:ヤマハ製品の各種関連サイトへのリンク集
Yamaha Synth 40 years Historyのメインページ

Yamaha Synth 40 years Historyのメインページ

特に(1)のHistoryはシンセマニア必見の充実したクロニクルとなっています。名機CS80やDX7についての詳しい説明はもちろんのこと、1号機SY-1から今日に至るまでのヤマハシンセの軌跡を高い精度で深く知ることができますので、シンセサイザー史においても貴重なアーカイブとして価値あるコンテンツと言えるでしょう。また、シンセ年表は各モデルの製品仕様がリスト的にまとめられています。発売当時の価格も含めて手早く確認できるため、「ちょっとあの製品について確認したい」というような場合にはオススメです。

Product Lineupのメインページ

Product Lineupのメインページ

また、MOTIF XFシリーズやMOXFシリーズなど現行製品について調べたい、というような時には(3)Product Lineupが役立ちます。既存ユーザーだけでなく、これから製品を購入したい、という人にも各モデルについて知ることができるので、購入前の参考にするのも良いでしょう。

Yamaha Appsのメインページ

Yamaha Appsのメインページ

(4)のYamaha Appsを開くと製品に関連したアプリについて調べることができます。リストから調べたいアプリを選ぶと詳細な説明が表示され、そのアプリで何ができるのか、どのようなことに使えるのか、などを知ることが可能です。特に現行製品のユーティリティ的な無料アプリもありますので、要チェックのコンテンツです。

また、最新情報等を調べたい時にはメーカーサイト、SNSなどのリンクが集められた(5)のリンク集が便利です。続いて本アプリの目玉であるAN2015を紹介しましょう。

新開発のバーチャルアナログシンセサイザー「AN2015」を徹底チェック

AN2015は、iPhoneやiPad上で鍵盤やボールコントロールの操作によってアナログシンセ音色の演奏や音色エディットが行えます。シンセ音源部の他、オーディオドラムループを収録したドラム部で構成され、ドラムループはドラムパッドの操作で鳴らすことができます。

AN2015のメイン画面

AN2015のメイン画面

ドラムパッド表示画面

ドラムパッド表示画面

これに合わせてシンセ音色でパフォーマンスを楽しめるのが特徴です。肝心なシンセ音源部の仕様は、最大同時発音数8音、プリセット音色64種類、アルペジエーター及びスケール機能が各1系統、ポリフォニックパッドという構成で、無料アプリながら本格的なシンセサイザーとして十分に活用できます。また、ドラム部の仕様は、パート数1パート、発音数1音、ドラムパッド数16個、ドラムパッドセット数5種類となっており、実際に使用した感じでは、5ジャンルのドラムループがそれぞれ16種類パッドに割り当てられている、というイメージです。これらのドラムループは、タイムストレッチ機能によって自由にテンポを変えて演奏することができます。

さて、AN2015のアナログシンセ部には「バーチャルアナログモデリング」という音源方式が採用されています。これはアナログシンセの回路をDSPでシミュレートすることでアナログシンセサウンドを作り出す方式のことです。文字で説明するといささか難しく思えますが、実際にアプリを操作する上ではアナログシンセで行う音色エディットや操作と何ら変わらないので、シンセサイザーの仕組みを理解する入門シンセとしても適していると言えるでしょう。

充実のオシレータセクション

AN2015はアナログシンセと同じようにオシレータ、フィルター、LFO、アンプ、その他のセクションで構成されていますが、音源部の核となるオシレータセクションの充実度は非常に高いものです。

オシレータエディット画面(OSC1選択状態)

オシレータエディット画面
(OSC1選択状態)

オシレータエディット画面(ノイズ選択状態)

オシレータエディット画面
(ノイズ選択状態)

フィルターエディット画面

フィルターエディット画面


LFOエディット画面

LFOエディット画面

アンプエディット画面

アンプエディット画面

otherエディット画面

otherエディット画面

パラメータエディット拡大表示画面

パラメータエディット拡大表示画面

オシレータはOSC1、OSC2、OSC3、ノイズと実際のアナログシンセでいうと3VCO構成に相当しますので、様々な波形バリエーションが得られると共にアナログシンセらしい分厚いサウンドを作り出すことも容易に行うことが可能です。特に各オシレータに装備されているDetuneを調整すると、オシレータ1個でも厚みのある波形が得られるため、3つのオシレータ全てでデチューンを調整すると、EDM系のサウンドでお馴染みの分厚いノコギリ波サウンドを再現できます。ちなみにパラメータをエディットする際には長押ししているとそのパラメータが拡大表示され、微妙な設定も行いやすくなります。

エフェクト設定画面

エフェクト設定画面

また、ノイズも単独でオンオフできるので、ノイズセクションのみを使用し、内蔵のディレイとリバーブエフェクトを加えると様々な効果音もクリエイトできますので、ゲームや映像コンテンツ等などのサウンドデザインに活用するのもアリでしょう。

尚、これらのエディットで作成した音色はユーザーバンクへ64種類までメモリすることができますので、必要な時にいつでも呼び出すことが可能です。

リアルタイムパフォーマンスに最適なボールコントロール

メイン画面中央部に表示されているボールコントロール部分。再生音の波形表示も可能。

メイン画面中央部に表示されているボールコントロール部分。再生音の波形表示も可能。

AN2015で演奏を行う際には画面中央部にあるボールコントロールがオススメです。複数のパラメータを同時、かつ複雑に変化させることができるため、ライブ等のリアルタイムパフォーマンスに効果的です。

スケール機能でスケール選択を行っている状態。

スケール機能でスケール選択を行っている状態。

個人的に気に入ったのはスケール機能です。メジャー、マイナー、ドリアン、ミクソリディアンといったお馴染みのスケールだけでなく、Arabic、Ryukyuといった民族音階などが用意されていて、任意の一つを選ぶと、下部に表示されている鍵盤部分がバー状の表示に変わり、演奏できる機能です。

通常のピアノ鍵盤ではスケールの構成音がわかっても実際に演奏するのは難儀なのですが、この機能を使えば簡単にアドリブもできます。また、鍵盤部分は指一本でコードを鳴らせるコードパッドに表示を切り替えることもでき、演奏したいキーに適したものを20種類のコードパッドセットから選べます。

スケール機能では鍵盤部分はこのように鍵盤打楽器のような状態で表示される。

スケール機能では鍵盤部分はこのように鍵盤打楽器のような状態で表示される。

コードパッドを表示させた状態。

コードパッドを表示させた状態。

前述したドラムループを演奏しながらコードパッドをタイミング良く切り替えれば簡単なコードバッキングトラックを演奏することも可能です。

AN2015だけでも有料アプリとして成立するほどの内容、クオリティです。ぜひ、Yamaha Synth Bookをダウンロードして、ヤマハのシンセサイザーの世界に触れてみていただきたいと思います。

アプリ基本情報

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Yamaha Synth Book

配信元:Yamaha Corporation

iOS価格:無料

  • バージョン iOS:1.0.0

※記事内の情報はすべてレビュー時(2015年03月06日)の情報です。

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