HUAWEI P8maxこのクラスの機種としてはかなり薄く造られているが、SIMカードスロットはご覧のとおり側面に収まっている。

こんなに違うのに姉妹機種?~ファーウェイ、HUAWEI P8シリーズを発表~前編

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by [2015年4月27日]

中国は深圳に本拠を置くファーウェイ(HUAWEI:華為技術有限公司)というと、日本では大手キャリア各社が販売するモバイルルーターやデータ通信端末といった製品がよく知られています。

知名度あるいはブランド力の点では今ひとつですが、特にワイモバイルは前身の一つであるイー・モバイルの創設時から同社製品を大量採用しており、携帯電話やスマートフォンでも結構な数の製品の販売実績のある有力メーカーの一つです。

そのファーウェイは最近、日本ではいわゆるMVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)向けSIMフリー端末の開発販売に熱心で、日本国外向けで発表された機種を若干のローカライズの上で持ち込んでいるのですが、このほど国外向けとして「HUAWEI P8」(以下、P8)と「HUAWEI P8 MAX」(以下、P8 MAX)という主な仕様や設計コンセプトが共通し画面サイズの異なる兄弟機種を発表しました。

今回はこれら2機種についてみてみたいと思います。

HUAWEI P8の主な仕様

HUAWEI P8

HUAWEI P8

記事執筆時点で公表されている「P8」の主な仕様は以下のとおりです。

  • OS:Android 5.0
  • チップセット:Hisilicon Kirin 930(2.0GHzオクタコア)
  • サイズ:72.1×144.9×6.4mm
  • 重量:約144g
  • メインスクリーン
    • 種類:カラー液晶
    • 解像度:1,080×1,920ピクセル(フルHD解像度)
    • 画面サイズ:5.2インチ(対角線長)
    • 画素密度:424ppi
  • 内蔵メモリ
    • RAM:3GB
    • フラッシュメモリ:16GB/64GB
  • カメラ
    • メインカメラ解像度:13メガピクセル
    • フロントカメラ解像度:8メガピクセル
  • Wi-Fi:
    • 対応規格:IEEE 802.11 b/g/n
  • Bluetooth:Ver.4.1+Low Energy
  • 電池容量:2,680mAh(交換不可)
  • ワンセグ・フルセグ:非対応
  • 防水:非対応
  • 防塵:非対応

HUAWEI P8maxの主な仕様

HUAWEI P8max

HUAWEI P8max

記事執筆時点で公表されている「P8max」の主な仕様は以下のとおりです。

  • OS:Android 5.0
  • チップセット:Hisilicon Kirin 935(2.2GHz オクタコア)
  • サイズ:93×182.7×6.8mm
  • 重量:約228g
  • メインスクリーン
    • 種類:カラー液晶
    • 解像度:1,080×1,920ピクセル(フルHD解像度)
    • 画面サイズ:6.8インチ(対角線長)
    • 画素密度:326ppi
  • 内蔵メモリ
    • RAM:3GB
    • フラッシュメモリ:64GB
    • 拡張スロット:microSD card(最大容量:64GB)
  • カメラ
    • メインカメラ解像度:13メガピクセル
    • フロントカメラ解像度:5メガピクセル
  • Wi-Fi:
    • 対応規格:IEEE 802.11 a/b/g/n/ac
  • Bluetooth:Ver.4.0
  • 電池容量:4,360 mAh(交換不可)
  • ワンセグ・フルセグ:非対応
  • NFC:対応
  • 防水:非対応
  • 防塵:非対応

一見ただのサイズ違いだが実は色々異なる

同時発売で、しかも6.8インチディスプレイ搭載モデルに「max」とサイズ違いの派生機種であることを想起させるような機種名が与えられていますが、上に示した仕様が物語るように、「P8」と「P8max」とでは、搭載される統合プロセッサ(※動作クロック周波数違いの同系機種)、内蔵バッテリー容量、内蔵ストレージ容量、フロント(サブ)カメラの画素密度、対応するWi-Fi接続の規格(※5GHz系サポートの有無)、それに対応するBluetoothの規格、と似て非なる機種と断じても良さそうな位色々異なっています。

この内の筐体容積差に由来すると考えられる内蔵バッテリー容量以外、特にWi-Fi接続とBluetoothの対応規格の相違は、通信系を司るコミュニケーションプロセッサの世代が両機種の間で異なる可能性を示唆するものです。

実際「P8」に搭載されているKirin 930と「P8max」に搭載されているKirin 935とでは前者の方がより新しいBluetooth 4.1に対応することから、型番が若くCPUコアのグレードでは下位に位置づけられるものの開発開始時期が新しい可能性が高いと言えます。

似て非なる両機種のプロセッサ

公式ページで公開されているP8maxのTV CMで紹介されているCPUのイメージ画像。同じ(Cortex-)A53と表記されながらサイズの異なる2種のコアが4基ずつ搭載されている。

公式ページで公開されているP8maxのTV CMで紹介されているCPUのイメージ画像。同じ(Cortex-)A53と表記されながらサイズの異なる2種のコアが4基ずつ搭載されている。

さて「P8」に搭載されている統合プロセッサのKirin 930と、同じく「P8max」に搭載のKirin 935は、一見すると最大CPUコア動作クロック周波数がそれぞれ2.0GHzと2.2GHzで異なる以外は同様の構成の、「bigLITTLE」対応で4+4=8コア構成のARM v8対応64ビットプロセッサとなっているようです。

公式ページで公開されている「P8max」のTV CMムービーでは、大きめの「A53」と刻印されたプロセッサコアと小さめの「A53」と刻印されたコアがそれぞれ4基ずつ搭載された「CPU」が映し出されており、まさかTV CMで嘘の表記をするとも思えませんから、Cortex-A53eと称する高速版Cortex-A53 4コア+Cortex A53 4コアという構成である可能性がかなり高いと言えます。

このCortex-A53eはその型番が物語るようにCortex-A53を基にHisiliconが独自に改良を加えて高クロック周波数での駆動を可能としたとされる、いわばCortex-A53の高クロック動作バージョンです。

「P8 max」のTV CM映像で2種のCPUコアのサイズが2倍近く違っていたことから、高クロック動作のためにかなり手を入れたことが推測されますが、現状ではこのあたりの詳しい情報は公開されていません。

Cortex-A53系のCPUコアで動作クロック周波数帯を引き上げられるように設計をチューンすることで、高価な(=構造が複雑で必然的に必要となるトランジスタ数の多い)Cortex-A57と比べれば見劣りするものの普通のCortex-A53だけで8コア構成とする場合よりも良い性能が得られるこの種の構成は、最近ではQualcommのSnapdragon 615において、高速動作側もCortex-A53のまま、しかも1.7GHz駆動が上限となるものの採用されています。

つまるところ、消費電力と得られる性能のバランスからこのような構成が流行しているのです。

なお、Kirin 930とKirin 935は内蔵GPUは共にARMのMali-T600シリーズの上位機種であるMali-T628 MP4で、GPUのスペックは同一となっています。

このため「P8」と「P8max」のバッテリー容量差はおおむね搭載ディスプレイパネルとCPUコアの電力消費量の差、それに連続稼働時間の差の3つによるものであるということになります。

「P8max」の内蔵バッテリー容量は「P8」比で62%の容量増となっていて、一般的な動画再生だと約10時間、Wi-Fi接続でのWebブラウジングだと約16時間という稼働時間の目安が示されています。

しかし「P8」については「同程度のバッテリーライフの機種と比較して約20%増しのパフォーマンス」が謳われているものの、具体的にどの程度の連続稼働時間が得られるのかについて、明らかにされていません。

姉妹機種と言える2機種で都合によってスペックを明らかにしたり伏せたりして発表するというのは購入を検討している側からすれば比較にならないため全く迷惑な話ですが、あるいは発売直前までぎりぎりのチューンを続けているために、できないという事情があるのかも知れません。

64ビットの時代へ本格突入

さて、ここしばらくの間に発表されている各社のAndroid搭載スマートフォンでは、ようやくAndroid 5.0(lollipop)搭載と64ビットCPU搭載を謳う機種が増え始めています。

昨年末のAndroid 5.0とこれを搭載するリファレンスの64ビット機であるNexus 9の発表から約4ヶ月を経て、ようやくアプリの互換性問題解決などの目処がたってきたということなのでしょう。

これらの機種ではおおむねメインメモリ容量が3GB以上に増量されており、32ビットプロセッサでは(※注1)難しかったメインメモリの増量が実現し始めています。

 ※注1:周辺デバイスなどとの通信に、メモリ空間の一部を割り当てるメモリマップドI/Oと呼ばれる方式を採用していたことによるものです。この方式の場合、CPUとGPUとの通信に用いられるI/O空間も32ビットアドレッシングの枠内に含まれるため、メインメモリ容量を3GBにするだけでもさまざまな制約があります。

64ビット化で先行したAppleの場合、メモリ容量が据え置きのケースがほとんどで、64ビット化することによる実効性能の向上(※注2)を重視していた節があったのですが、Android搭載端末ではそれよりもメインメモリ容量の増量という、消費電力は増えるもののパフォーマンス向上に直接効く改良を重視しているわけです。

 ※注2:単純にOSなどの各種サービスの命令セットをARM v7からARM v8へ変更するだけでも、汎用レジスタ本数の増量などによってレジスタリネーミングやコンテキストスイッチの負荷が大幅に軽減されるため、64ビット化による命令コードの肥大というトレードオフは生じるものの、実用上それなりに大きな性能向上が得られます。

最近のAndroid搭載スマートフォンでは画面サイズがWQHD解像度、つまり2年ほど前の機種で一般的だったHD解像度ディスプレイの4倍の画素数(2,560×1,440ピクセル)のディスプレイを搭載する機種が増えているのですが、これらは当然ながらその分だけ余計に多くメモリをビデオメモリとして割り当てる必要があるため、その分だけメインメモリが削られる状況となっていました。

無論、32ビットプロセッサのままでメインメモリ3GB搭載としたWQHD解像度ディスプレイ搭載機も皆無ではなかったのですが少数派で、メインメモリ2GB搭載のままでWQHD解像度ディスプレイを搭載してしまった機種では、少なからずアプリに利用出来るメインメモリ容量が減っていたのです。

そうした問題が、これら「P8」や「P8max」のような64ビットCPU+メインメモリ3GB搭載機種では特に意識することなく解決されるわけです。

特に最近はMicrosoft Officeの移植のように、サブセット版とは言え端末上で動作するアプリそのものの規模がかなり大きくなってきています。

そのあたりを考えると、メインメモリ容量を従来の中堅以上の機種の1.5倍に引き上げる今回の機種での増量は、さしあたり妥当な処置と考えて良さそうです。

後編では、カメラやWi-Fi、通信機能などを見ていきます。

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