SONY Xperia Z1f ディスプレイ面ディスプレイサイズはXperia Aよりも0.3インチ縮小されたが、筐体デザインのお陰か、それほど小さくなったような印象は受けない。

Z1をよりコンパクトに ~Xperia Z1f~

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by [2013年10月16日]

ソニーが2013年秋・冬モデルとしてNTTドコモとauの2社へ供給するハイエンド機であるXperia Z1の陰に隠れるようにして、それもNTTドコモ向けのみ供給という形で、ひっそり登場したXperia Z1f SO-02F。

Z1の姉妹機種であることをアッピールする「Z1f」というサフィックスをモデル名に与えられたこの機種は果たしてどのような位置づけ、あるいは意図で用意された機種なのでしょうか。

今回は公表されているスペックなどから、忽然と登場したように見えるこの機種の真相に迫ってみたいと思います。

Z1のダウンサイジング版

Xperia Z1fの現時点で公表されているスペックは以下の通りです。

  • OS:Android 4.2
  • チップセット:Qualcomm MSM8974(2.2GHz クアッドコア)
  • サイズ:約65 × 127 × 9.4 mm
  • 重量:約140g
  • メインスクリーン
    • 種類:16,777,216色TFT(トリルミナスディスプレイ for mobile)液晶
    • 解像度:1,280×720 ピクセル
    • 画面サイズ:約4.3 インチ(対角線長)
  • 内蔵メモリ
    • RAM:2 ギガバイト
    • フラッシュメモリ:16 ギガバイト
    • 拡張スロット:microSD XC card(最大容量:64ギガバイト)
  • カメラ
    • メインカメラ解像度:20.7 メガピクセル
    • フロントカメラ解像度:2.2 メガピクセル
  • Wi-Fi:
    • 対応規格:IEEE 802.11 a/b/g/n/ac
    • 対応周波数:2.4GHz、5GHz
  • LTE:
    • 対応周波数帯:2.0GHz、1.7GHz、1.5GHz、800MHz
    • 転送速度:下り最大150Mbps/上り最大50Mbps
  • Bluetooth:Ver.4.0
  • 電池容量:2,300 mAh
  • 防水:IPX5/IPX8
  • 防塵:IP5X

ご覧の通りこの機種は、画面がZ1の5.0インチ フルHD液晶から4.3インチ HD液晶に縮小・スペックダウンされ、電池容量が約77パーセント削減されてXperia Aと同容量となった以外は、Z1最大のセールスポイントであった画素数20.7メガピクセルのメインカメラを含め、ほぼZ1のスペックを維持したままとなっています。

しかも、筐体のサイズが約65 × 127 × 9.4 mmですから、今夏のNTTドコモ「ツートップ」戦略の一翼を担ったXperia A SO-04Eの約 67 × 131 × 10.5 mmよりもごくわずかずつ小さく、Xperia Aの前作にあたるXperia AXに近い値(※横は同幅で縦が更に2 mm小さい)となっています。また、重量は暫定値で約140グラム、つまりXperia A(約141グラム)と同等のレベルに収まっています。

わかりやすく言ってしまうと、Xperia Z1の機能・性能を一部妥協してXperia AXサイズの新設計筐体に詰め込んでしまった機種、というのがこのXperia Z1fの基本的な立ち位置となります。

コンパクトな筐体の価値

今回NTTドコモとソニーがこの機種を開発・発売するに至ったのは、恐らくXperia Aの大ヒットが背景にあった、と考えて間違いないでしょう。

NTTドコモが今夏に行った「ツートップ」販売政策の対象機種2機種の内、額面上のスペックでは明らかに上回っていたサムスンのGALAXY S4がまるで売れずXperia Aが大ヒットとなった理由については、当然NTTドコモもソニーも(そして恐らくはサムスンも)分析を行ったはずです。

このXperia Aの成功については、様々なレビュー記事などでも指摘されていますが、ディスプレイ解像度を抑えてでも筐体サイズをコンパクトにしたことによる扱いやすさを評価する声が多く、またディスプレイ解像度を低く抑えた副次的な効果として操作の応答性が非常に敏速になったことや、筐体サイズと画面サイズを抑えても統合プロセッサやメモリ容量などの基本的な機能・性能は下げなかったこと、それにGALAXY S4にはない防水・防塵性能の高さも好評でした。

つまり、多くのユーザーはスマートフォンに高性能さは求めても筐体サイズを犠牲にした大画面を求めておらず、扱いやすいコンパクト筐体であれば、HD解像度程度のディスプレイでも相応の性能が得られるなら(部品コスト低下による低価格化もあって)それで充分満足する、というのが今夏の商戦での教訓となったわけです。

そのため、このXperia Z1fは前作より更にハイエンド寄りの筐体設計・スペックではありますが、Xperia Z1にない4色のカラーバリエーションが用意されていることも含め、Xperia AX → Xperia Aと続いたコンパクト筐体端末の直系の後継機種という位置づけになると考えて良さそうです。

5.0インチフルHDディスプレイ搭載機の問題点

ここ数年のAndroid搭載スマートフォンは、徐々にその筐体サイズや画面サイズが大型化してきたわけですが、日本人の体格・手の大きさでは、初のフルHDディスプレイ搭載機となったHTC J butterfly以来事実上の標準となっている5.0インチディスプレイを搭載した端末には、筆者の実体験から言っても手に余ると言うべきか、いささか扱いの難しい面があります。

特に電車通勤での利用を考えると片手持ちでの操作が難しいことは深刻な問題で、純粋にこれまでの携帯電話の代替・後継として扱うことを考えた場合、日本では操作性を重視すると4.8インチ程度のディスプレイを搭載した機種がスマートフォンのサイズで許容できる上限になるように思います。

ちなみに、Xperia AX、そして今回のXperia Z1fの筐体サイズは、Android搭載スマートフォンの競争相手であるiPhone 5系各機種に近い(※ただし、いずれの寸法もiPhone 5系よりわずかずつ大きくなっています)値となっています。

iPhone 5系のディスプレイサイズと解像度(※640×1,136ピクセル。スケーリングを考慮すると、「次」は画素数4倍の1,280×2,272ピクセルにする必要があります)については「しょっぱい」などと安易に批判する向きがあり、またその筐体サイズ墨守にも硬直的に過ぎる、という批判があるようですが、こうして近似の筐体サイズで画面解像度的にも大差ないXperia Aが大きな支持を受けたことを考えると、このクラスの筐体サイズ・画面解像度がスマートフォン設計の現時点での一つの落としどころ、つまり最適解の一つであることは明らかです。

恐らく、NTTドコモもそのことを認識したからこそ、今季の新製品で4.3インチ~4.7インチクラスのディスプレイを搭載する幅67 mm以下の機種を国内メーカー3社に開発させたと考えられます。

縮小されたディスプレイ

SONY Xperia Z1f ディスプレイ面
ディスプレイサイズはXperia Aよりも0.3インチ縮小された。

この機種では前述のとおりディスプレイが筐体サイズ縮小以上に小型化されてしまっており、Xperia Aで4.6インチだったそのサイズがXperia AXと同じ4.3インチとなっています。

同じサイズの筐体ならば、できる限り画面サイズが大きい方がタッチパネル操作がしやすいですからこの点は残念ですが、統合プロセッサが消費電力の大きな機種になったにもかかわらずXperia Aと同容量のバッテリー(※ただし、着脱不可になっており、この点でも一歩後退です)を搭載していることを考えると、ディスプレイを若干小型化することでこの部分での消費電力低減を図っている可能性があります。

同一メーカー製かつ同じプロセッサを搭載するXperia Z1で公表されている連続稼働時間とバッテリー容量(3,000mAh)の関係から判断する限り、Qualcomm MSM8974、つまりSnapdragon 800搭載のこの機種は、シャープのCAAC-IGZO液晶のような消費電力面でブレイクスルーとなる技術を導入できない現状では、CPUに次いで消費電力の大きい液晶のサイズを縮小する以外に選択肢がなかった、と見て良さそうです。

Xperia Z1と同じメインカメラ

筐体サイズ縮小でバッテリー容量とディスプレイサイズ・解像度に妥協のあったXperia Z1fですが、メインカメラは妥協なく画素数20.7メガピクセルの1/2.3型サイズの裏面照射積層型“Exmor RS for mobile”イメージセンサーを搭載し、開放絞り値F2.0の明るいGレンズを搭載する、Xperia Z1と同等のカメラモジュールを搭載しています。

このカメラの性能については以前の記事でもご紹介したとおりで、高精細画像処理エンジンBIONZ for Mobileとの組み合わせにより、暗部撮影でも実に低ノイズでの撮影ができる、スマートフォン内蔵では発表時点で世界最強のカメラモジュールとなっています。

それなりに大型で容積も電力も必要で高価なこのモジュールをあえてそのまま搭載してきたことから、Android搭載スマートフォン市場で勝ち抜くためには、競合で市場縮小が起きる恐れの強い自社のコンパクトデジカメを犠牲にしてでもこのクラスの超高性能カメラモジュールをスマートフォンに搭載する必要がある、とソニーが判断していることが見て取れます。

実際、2012年冬季から今年前半に発表あるいは発売された各社のスマートフォンを概観してみると、ハイエンドの機種のほとんど全てでメインカメラに搭載されたイメージセンサーの性能やレンズの開放絞り値、さらには実際に撮影された画像の美しさを強調したマーケティングが行われており、統合プロセッサが事実上横並びとなった状況で、さらにディスプレイパネルやバッテリーの供給元が絞られてしまっていることもあって、各社ともカメラ性能・機能の訴求以外の差別化が難しくなってきています。

そうした状況下にあって、自社で高性能なカメラモジュールやCMOSセンサーを設計製造できる、また他社へカメラモジュールを供給しているソニーやシャープが、突出したカメラ性能を強くアピールする機種を市場投入して他社との差別化を図るのは当然の話で、このXperia Z1fでの20.7メガピクセルセンサー搭載もその流れに乗ったものと言えます。

そうしたカメラの強化はここ数年の統合プロセッサの飛躍的な性能向上があればこそ、実用に足る水準に達したと言え、仮にこのカメラモジュールを昨年の主力であったSnapdragon S4搭載端末に組み込んだとしても、例えば連写が追いつかない、エフェクト処理が重すぎていつまで経っても処理が終わらない、などの理由で充分な使い勝手は得られないでしょう。その点で、Snapdragon 800がこの機種に搭載されたのは、必然であった訳です。

Xperia Aの後継として充分な性能だが電池が弱点か

強力な現行最強クラスのプロセッサと同じく最強クラスのカメラを搭載するこの機種には、ディスプレイ以外、処理能力や機能に関わる部分での弱点はほとんど見当たりません。

Xperia Aの後継機種としては、サイズが大差ないのにディスプレイサイズがXperia AX並に逆戻りしてしまった点を除けば、理想的な性能向上が実現していると言って良いでしょう。

懸念材料があるとすればただ一つ、統合プロセッサの消費電力が増大したにもかかわらず、バッテリー容量がXperia Aと全く同じ容量となっている点です。

この点については、液晶ディスプレイのサイズを縮小することでバックライトの消費電力をその分減らして、CPUの消費電力増大との相殺を図って対策していると推測できます。

しかし、同じプロセッサを搭載するXperia Z1が、同じフルHD解像度の5.0インチディスプレイを搭載するXperia UL(※Xperia Aと同じプロセッサ、同じ容量のバッテリーを搭載)との比較で、3割ものバッテリー増量を果たしたにもかかわらず連続稼働時間がやや短くなってしまっているという事実を考慮すると、このXperia Z1fでも連続稼働時間はXperia A比で最悪3割減とまでは行かずとも、2割程度は短くなっていると覚悟する必要がありそうです。

ちなみに、メーカーホームページでは実使用時間3日以上を謳っているのですが、これは「一般に想定されるスマートフォンの利用(Web閲覧等を約40分、メールや電話を約20分、ゲームや動画、音楽を約15分、その他(アラームなど)を約5分の計約80分間/日の利用)があった場合の電池の持ち時間です」という、ある意味非現実的な利用形態を想定した値で、正直大本営発表並に信用できません。

この機種を購入する際には、デザイン面での好みと、想定されるバッテリーの持ちの悪さを許容できるかどうかが分かれ目となるのではないでしょうか。

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