Moto ZとMoto Modsこのシリーズの成否は対応スマートフォンをどれだけ出し続けられるか、Modsの種類をどれだけ増やせるかにかかっている

着実にファンを増やしつつあるスマホ拡張モジュール~Moto Modsは進化する~

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

by [2017年5月01日]

モトローラ公式サイト Moto Mods製品紹介ページMoto Modsの種類自体はそれほど増えていないが、それぞれの製品は想像以上の売れ行きを示しているとされる

モトローラ公式サイト Moto Mods製品紹介ページ
Moto Modsの種類自体はそれほど増えていないが、それぞれの製品は想像以上の売れ行きを示しているとされる

Lenovo傘下で再建を果たしつつあるモトローラですが、その原動力となっているのが、同社製スマートフォンのハイエンドモデルである「Moto Z」シリーズとその対応オプションである「Moto Mods」であることは疑う余地もありません。

「Moto Z」そのものは既に過去の記事で触れているのでそちらをご覧いただきたいのですが、強力な磁石により「Moto Z」シリーズ本体との位置関係を固定することで着脱を簡素化し、(縦持ち時の)本体下部に複数の接点を用意してここでデータをやりとりする「Moto Mods」はその最初のラインナップにJBLのスピーカーやハッセルブラッドのカメラなど非常に魅力的な製品を用意できたことや、対応アプリさえインストールしてあれば後はそれらのオプションを装着するだけで利用出来る簡便さもあって発売以来「Moto Z」シリーズともども好調に推移しています。

ハッセルブラッド True ZoomとMoto Zの着脱イメージ日本市場では本体内蔵のそれより高画質なカメラを求めるニーズが強く、この製品は大きな成功を収めている

ハッセルブラッド True ZoomとMoto Zの着脱イメージ
日本市場では本体内蔵のそれより高画質なカメラを求めるニーズが強く、この製品は大きな成功を収めている

「Moto Mods」については、本格的なカメラ機能に対する興味や関心が強い日本市場において名機500C・500ELシリーズで知られる6cm×6cm中判フィルムカメラの名門ハッセルブラッドの名で発売された「True Zoom」と名付けられたカメラモジュールが大きな支持を集める※注1など、各国ごとに市場の好みやニーズによって異なった「Moto Mods」が売れていると報じられています。

 ※注1:驚いたことには日本で「Moto Z」シリーズを購入したユーザーの約43.5パーセントがハッセルブラッド「True Zoom」を購入したとされます。これはスマートフォンの内蔵カメラの性能に不満があって高性能なカメラ機能が欲しく、それでいていわゆるコンデジ(コンパクトデジタルカメラ)などを別途携行したくない日本市場のユーザーニーズに見事にマッチした訳です。

「Moto Z」自体には極端に尖った性能・機能を与えない代わりに、尖った性能・機能を備えた「Moto Mods」を提供してそうした需要に応えるモトローラの戦略がうまく的中した格好ですが、こうして第1段の製品群が単なる物珍しさの域を超えて実用の道具として支持されるようになると、それに続く製品が欲しくなるのは人情で、またそうした要望に応える/応えようとするのはビジネスとして見て悪い話ではありません。

そこで今回は、2017年3月末の記事執筆時点で既に発売されている「Moto Mods」と、今後発売が計画、あるいは検討されている「Moto Mods」について見てゆきたいと思います。

追加の新製品はカーマウンタとバッテリー

Incipio VEHICLE DOCK製品紹介ページ自動車運転席の冷房送風口などにクリップ固定しMoto ZシリーズをAndroid Autoによる音声入力対応のカーナビゲーションとして使用するためのアダプタである。一見して単純なハードウェアだが、利用出来るアプリが高機能であるため想像以上に実用的なカーナビゲーション機能が実現する

Incipio VEHICLE DOCK製品紹介ページ
自動車運転席の冷房送風口などにクリップ固定しMoto ZシリーズをAndroid Autoによる音声入力対応のカーナビゲーションとして使用するためのアダプタである。一見して単純なハードウェアだが、利用出来るアプリが高機能であるため想像以上に実用的なカーナビゲーション機能が実現する

まずは新製品である「Incipio Vehicle Dock」から。

これは背面にクリップを内蔵したカーマウンタで、自動車車内の換気口などにそのクリップを用いて固定することで、カーナビゲーションに利用可能としようというものです。

これだけならば「Moto Mods」として出す意味ないんじゃないのかと思ってしまうのですが、実はこの「Incipio Vehicle Dock」、「Moto Z」シリーズ本体に装着すると自動的にカーナビゲーションアプリである「Android Auto」が起動する仕組みになっています。

まぁ、2016年11月のアップデートで「Android Auto」はAndroid 5.0以降搭載のスマートフォンならばアプリを他に何の制限もなく起動できる様に変更されていますから、この「Incipio Vehicle Dock」がなくともカーナビゲーションに利用出来るのですが、15W給電※注2も可能で確実に本体をホールドするこのマウンタはそれはそれで実用の役にたちそうです。

 ※注2:専用端子経由で付属のUSB Type Cコネクタケーブルを用いて車の例えばシガーソケットなどから給電します。

mophie juice pack大容量バッテリーパックだが、Moto Z本体のUSB端子経由での充電(15W)と、mophie juice packそのものに設けられたUSB Type Cコネクタ経由での15W充電に両対応する。

mophie juice pack
大容量バッテリーパックだが、Moto Z本体のUSB端子経由での充電(15W)と、mophie juice packそのものに設けられたUSB Type Cコネクタ経由での15W充電に両対応する。

次は「mophie juice pack」。

これはMoto Zシリーズに接続する外部バッテリーパックで、バッテリー容量は3,150mAhです。

これだけなら普通に外部バッテリーをケーブルでつないで使うのとどう違うんだと文句を言われそうですが、実はこのバッテリーパック、「Moto Z」シリーズ本体の専用端子を給電および充電に利用し、本体に装着したままで本体をUSB端子経由でACアダプタなどに接続して充電すると、本体の内蔵バッテリーと同時に充電できるようになっています。

また、パック本体側面にUSB Type Cコネクタが別途内蔵されており、「Moto Z」シリーズ本体に装着していない状況でも、ここにACアダプタなどを接続すれば急速充電を行えます。

従来、「Moto Mods」ではこの種のバッテリーパックとして「Incipio OFFGRID POWER PACK」というQi 1.2.1あるいはPMA 3.0準拠のワイヤレス充電に対応する製品があったのですが、こちらはバッテリー容量が2,220mAhで今ひとつ容量が小さく、また有線接続の充電は接続した「Moto Z」シリーズ側からの給電による必要があって、ワイヤレス充電のための環境のない場所では使い勝手があまりよろしくないという問題がありました。

「mophie juice pack」はそうした問題に対応する製品で、先行する「Incipio OFFGRID POWER PACK」と機能的に被らないよう注意しつつ新しい機能の提案を行っており、ACアダプタ経由でとにかく短時間で急速充電を行いたいユーザーにはこちらの方が魅力的に映ることでしょう。

クラウドファンディングに出たMoto Mods

クラウドファンディングサイト IndiegogoのMoto Z対応物理キーボード出資募集ページ本体をキーボードに対して45°の角度まで傾けられ、キーボードそのものはスライド収納するなど、凝った造りが目を引く

クラウドファンディングサイト IndiegogoのMoto Z対応物理キーボード出資募集ページ
本体をキーボードに対して45°の角度まで傾けられ、キーボードそのものはスライド収納するなど、凝った造りが目を引く

次は現状で製品化が実現していませんが、そのための資金調達手段としてクラウドファンディングサイトのIndiegogoで出資を募っている専用キーボード「Physical Keyboard Mod For Moto Z」をご紹介しましょう。

これは、スライド機構により本体側面にせり出す物理キーボードで、昔の「W-ZERO3」や「EMONSTER」の本体内蔵キーボードを思い出した方も恐らくおられることでしょう。

このキーボード、本体と接続している部分とキーボードのせり出し機構部は最大45°まで角度を変えるチルト機構によって接続されているため、キーボードをせり出し「Moto Z」シリーズ本体を起こせば小型のノートパソコン的な利用ができるというものです。

ちなみにキーボードそのものはLEDによるバックライト機能内蔵でQWERTY配列となかなか本格的なもので、気になるキースイッチの耐久性は20万回以上、スライダー部分についても低摩耗性のテフロンコーティングを施すことで10万回の耐久性を実現する予定となかなかの性能となっています。

なお、このキーボードはバッテリーの内蔵も検討されているとのことで、実現すれば大量の文章を「Moto Z」シリーズで入力したいユーザーにとって無くてはならない存在となりそうです。

ただ、気になるのはその配列です。

一応QWERTY配列とされている※注3のですが、それぞれのキーが条里制の都市の街路の如く縦横で綺麗に位置が揃っていて、カーソルキーなどの制御系のキーの配置がかなり特殊であるため、やや違和感があります。

 ※注3:当初はQWERTY配列で製造を開始し、後でAZERTYやQWERTZ配列、それにScandic配列と余りメジャーでない3配列に対応する予定とされています。その一方で筆者的に気になるDVORAK配列への対応は言及がなく、製品化が実現してもこの配列には対応しない可能性が高くなっています。

この辺は慣れてしまえばどうと言うことは無いという話がありますし、少しでも実現可能性を高めるために生産性を優先して配列設計で妥協をした可能性がありますが、それでももう少し配列についてはナチュラルに出来ないものかと思ってしまいます。

また、筆者の個人的な感想としては、キーボードをやるならタブレット向けのキーボード内蔵カバーのように「Moto Z」シリーズ本体を保護するカバーケースとして機能し、なおかつそれを開くとクラムシェル形のキーボード搭載モバイル端末として使える様なタイプの方が実用的なのではないかと考えてしまいます。

Keyboard ModMoto Zに装着した姿はどこか懐かしさが漂う。キー配列そのものは一般的なQWERTY配列が基本だが、キーが綺麗に整列しており一般的なパソコン用キーボードとは配置が異なる

Keyboard Mod
Moto Zに装着した姿はどこか懐かしさが漂う。キー配列そのものは一般的なQWERTY配列が基本だが、キーが綺麗に整列しており一般的なパソコン用キーボードとは配置が異なる

それだと閉じた場合の厚さが分厚くなりすぎるために避けた可能性もありますが、いずれにせよ専用キーボードの提供が計画されているというのは喜ばしいことです。

ちなみに気になるクラウドファンディングの進捗状況ですが、残り約1ヶ月の記事執筆時点では目標金額100,000ドルのところ約43パーセントにあたる42,887ドルの出資が得られており、実現するかどうか結構微妙な印象です。

なお製品の予定価格は120ドルで、60ドルで件のキーボード(QWERTY配列、黒色)が得られる「Super Early Bird(Black)」、同じく60ドルで先に挙げたQWERTY以外の3配列いずれかに対応するモデルが(QWERTY配列版出荷後1~2ヶ月後に)得られる「Non-QWERTY Keyboard Mod(Black)」、80ドルでゴールド、ホワイト、ブラックのQWERTY配列モデルいずれかを選択して得られる「Early Bird」、同じく80ドルでQWERTY以外の配列のモデルを選べる「Early Bird Other Layout」など出資額に応じて様々なパターンで製品が市販時よりも安く入手できるプランが示されています。

現状では製品化に到達できるのか判断が難しい状況ですが、「Moto Z」シリーズで使えるキーボードの購入を考えている方ならば、出資を検討してみると良いかも知れません。

Lenovo幹部が製品化実現の可能性を示唆したGoogle Tango機能のMoto Mods化

まだ具体的な製品の形になっていない話なのですが、Moto ModsではGoogleのAR技術である「Tango」のための空間認識デバイスを「Moto Z」シリーズに付与するためのアダプタの製品化の可能性がLenovo幹部によって示されています。

Lenovo PHAB2 Pro メインカメラ及び「Tango」対応空間認識センサー群部分のイメージメインカメラ以外に複数のセンサーを搭載して空間の奥行きやトラッキング情報などを取得、それを利用してARアプリでのオブジェクトマッピングに利用する。端末側に通常のスマートフォンにない機能が必要とされることは「Tango」技術普及の壁となっている

Lenovo PHAB2 Pro メインカメラ及び「Tango」対応空間認識センサー群部分のイメージ
メインカメラ以外に複数のセンサーを搭載して空間の奥行きやトラッキング情報などを取得、それを利用してARアプリでのオブジェクトマッピングに利用する。端末側に通常のスマートフォンにない機能が必要とされることは「Tango」技術普及の壁となっている

この「Tango」は空間をカメラなどのセンサーによってモーショントラッキング、奥行き認識、学習機能認識を行うことで、AR技術で重要な空間のリアルタイム3Dマッピングを実現するための技術で、この技術に対応する製品としては2016年6月にモトローラの親会社であるLenovoによって「PHAB2 Pro」というスマートフォンが既に発表され、10月から発売が開始されています。

もっとも、この「PHAB2 Pro」の後に続く「Tango」対応製品はさっぱり現れない状況※注4となっており、対応端末が増えないから対応アプリが増えない、対応アプリが増えないから対応端末が増えない、の鶏卵問題か悪循環かという状況となっています。

 ※注4:記事執筆時点でさえ、ASUSTekが「ZenFone AR」の製品化を発表しているだけで、今のところこの2機種に追従する「Tango」対応製品は存在していません。

これは「Tango」技術が必要とするプロセッサ性能が高く、Qualcommのプラットホームで言えば最下限でも「Snapdragon 635」クラス、できれば「Snapdragon 820」クラス以上の性能の機種が必要とされ、現状ではミドルレンジ以下の機種では導入が難しいことに一因があります。

そのため、自社傘下のメーカーによる製品で、既に一定以上の台数が出荷されていて、しかも充分な性能を備え「Moto Mods」という形でハードウェアを後付け拡張できる「Moto Z」シリーズへ対応「Moto Mods」を製品化するというのは、「Tango」技術を早期に広く普及するための手段としては妙手と言えます。

問題があるとすれば「Tango」が必要とする各種センサー群をうまく「Moto Mods」の形に落とし込んで搭載できるのか、そしてそれを充分廉価に提供できるのか、の2点でしょう。

前者については技術的な問題なのでLenovoやモトローラの技術陣に頑張って解決してもらうしかないのですが、後者についてはいくら「Tango」に対応するとしても、その対応「Moto Mods」の価格が極端に高価では意味がありません。

まぁ、各種センサーのお値段次第ということになってしまうのでしょうが、もし可能な限り廉価に設定しないとなかなか「Tango」技術普及の後押しにならないかもしれません。

このあたりはLenovoやモトローラだけでなくGoogleの思惑も関わってくるため色々微妙な問題をはらんでいますが、過去の新技術普及の際の事例を考えると、やはり一定以上低価格、少なくとも「Moto Z」シリーズ本体と「Tango」対応「Moto Mods」の価格の合計が「PHAB2 Pro」の価格を充分下回るレベルとならないと爆発的な普及は望めないでしょう。

とはいえ、これは「Moto Z」シリーズに新たな地平を切り開く技術・製品となるため、できれば早急に製品化して欲しい所です。

他にも製品化が検討されている様だが…

以上、「Moto Mods」について現在の状況を見てきました。製品化される、あるいはそれが計画される数そのものは少なめで推移していますが、具体化している計画・実現した製品はいずれも堅実かつ実用的なものとなっており、Lenovo/モトローラが本気でこのシリーズを育てようとしていることが伝わってきます。

ちなみに、この「Moto Mods」については新しいデバイスを開発するためのデベロップメントキットが提供されており、これを利用することでRaspberry Pi用のHATと呼ばれる拡張基板を搭載したりすることができるようになっています。

もちろん、それらを利用したデバイスがそのまま製品化される事は無いでしょうが、電子工作の対象として「Moto Mods」を扱え、「Moto Z」シリーズのプロセッサ性能をその処理に利用出来るというのはなかなか魅力的です。

「Moto Mods」については今後各国にローカライズした製品の登場が検討されており、例えば日本向けではワンセグチューナーなどもあり得ることが示唆されています。

このあたりの製品化可否は市場の需要次第となりますが、今後も「Moto Mods」の動きからは目が離せません。

▼参考リンク
Moto Mods™ | Motorola, a Lenovo company
Incipio Vehicle Dock – Moto Mods | Motorola, a Lenovo company | Motorola
mophie juice pack | Moto Mods — Motorola | Motorola
Moto Mods Developer: Buy — Motorola Developer Portal

Keyboard Mod: A Physical Keyboard For The Moto Z | Indiegogo

Tango
Lenovo Phab 2 Pro | 世界初の Tango 対応スマートフォン | レノボジャパン

PageTopへ