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「Premium」の衝撃再び ~ソニー、Xperia XZ Premiumを発表~

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by [2017年3月08日]

ソニーモバイルコミュニケーションズ Xperia XZ Premium色はLuminous ChromeとDeepsea Blackの2色展開となる

ソニーモバイルコミュニケーションズ Xperia XZ Premium
色はLuminous ChromeとDeepsea Blackの2色展開となる

今から1年以上前、ソニーモバイルコミュニケーションズはXperia Zシリーズの1機種としてXperia Z5 Premiumという機種を発売しました。

これは当時のXperiaシリーズの中でもハイエンドモデルであったXperia Z5を基本として、ディスプレイパネルとして5.5インチサイズかつ4K2K解像度、つまり当時のハイエンドスマートフォンの実質的な標準解像度となっていたフルHD解像度(1,080×1,920ピクセル)を縦横それぞれ2倍に画素数を増やして2,160×3,840ピクセルの超高解像度(画素密度806 ppi)を実現した液晶パネルを搭載したことが最大の特徴となる機種でした。

ソニーモバイルコミュニケーションズ Xperia Z5 Premium(SO-03H)Xperia Zシリーズの基本を踏襲しつつも背面が鏡面仕上げであるなど、特徴的なデザインであった

ソニーモバイルコミュニケーションズ Xperia Z5 Premium(SO-03H)
Xperia Zシリーズの基本を踏襲しつつも背面が鏡面仕上げであるなど、特徴的なデザインであった

もっとも、この機種はこれだけ高解像度のディスプレイを搭載する一方で、搭載プロセッサがQualcommのSnapdragon 810、つまり64ビットのCortex-A57コアを4基とCortex-A53コアを4基ずつ搭載する機種で、これは当時のQualcomm製プロセッサとしてはハイエンドの機種であったものの、その利用可能なメモリの性能等から考えてフルHDの4倍の画素数となる≒画面表示に単位時間あたりフルHDの4倍の処理能力を必要とするこの解像度での3Dグラフィックスを利用したゲームのプレイなどはかなり厳しい状況※注1でした。

 ※注1:実際にも当時この機種を販売したNTTドコモの発表した報道資料では3Dグラフィックス機能をこの画面解像度で利用するアプリを利用した際の動作については注意深く排除した表現となっていました。プロセッサメーカーであるQualcomm自身は3Dグラフィックスによるゲーミングを可能とする見解を示していましたが、少なくともそれを搭載した製品を売る立場のNTTドコモはその見解を肯定しておらず、また発売後には消費電力を勘案して動画・画像以外のコンテンツはフルHD表示動作となっている事が明らかになりました。ただし、Android 6.0では4K2K解像度がOSレベルで標準サポートされる様になったため、OSをバージョンアップしたXperia Z5 Premiumではアプリ側が対応していればそれを4K2K解像度で動作させられるようになっています。

そのため、意欲的だったこの機種の後、5インチ~5.5インチクラスのディスプレイを搭載するスマートフォンで4K2K解像度ディスプレイを搭載する新製品の発表は途絶え、事実上WQHD解像度(1,440×2,560ピクセル:画素数はフルHD解像度の約1.78倍)がスマートフォンとしての最大解像度という状況が続く結果となりました。

そしてXperia Z5 Premiumの登場から1年と少々を経て、4K2K解像度ディスプレイを搭載したスマートフォンが再び市場に帰ってきました。

その名はXperia XZ Premium。ソニーモバイルコミュニケーションズが世に送る、Xperia Z5 Premiumの真の意味での後継となる機種です。

今回はこのXperia XZ Premiumについて、前作からどのように変化したかを踏まえつつ見てみることにしましょう。

主な仕様

Xperia XZ Premiumの記事執筆時点で公表されている主な仕様は以下の通りです

ソニーモバイルコミュニケーションズ Xperia XZ Premium 背面左上隅のレンズから、メインカメラがシンプルなシングルカメラ構成である事が判る

ソニーモバイルコミュニケーションズ Xperia XZ Premium 背面
左上隅のレンズから、メインカメラがシンプルなシングルカメラ構成である事が判る

  • OS:Android 7.1(Nougat)
  • チップセット:Qualcomm Snapdragon 835
  • サイズ:77×156×7.9 mm
  • 重量:195 g
  • メインスクリーン
    • 種類:TFTカラー液晶(TRILUMINOS Display for mobile)
    • 解像度:2,160×3,840ピクセル(4K2K解像度)
    • 画面サイズ:5.5インチ(対角線長)
  • 内蔵メモリ
    • RAM:4 GB
    • フラッシュメモリ:64 GB
    • 拡張スロット:micro SDXC(最大容量256 GB)
  • カメラ
    • メインカメラ解像度:19メガピクセル
    • フロントカメラ解像度:13メガピクセル
  • Wi-Fi:
    • 対応規格:非公開
  • Bluetooth:Ver.5
  • USB:USB3.1 Type-Cコネクタ
  • SIMカードスロット:Nano SIM(シングル・デュアルの2種あり)
  • 電池容量:3,230mAh(Qualcomm Quick Charge 3.0対応)
  • 防水:IPX5/8
  • 防塵:IP6X

プロセッサに早くもQualcomm最新最強のSnapdragon 835が採用されたことをはじめ突出した要素の目立つ、端的に言ってしまえば「ぼくのかんがえたさいきょうのえくすぺりあ」がそのまま実現してしまった様な怪物的スペックとなっています。

Snapdragon 835以外考えられなかった?

Qualcomm Snapdragon 835製品紹介ページ“Incredible mobile experiences”(信じられないほどのモバイル体験)と豪語する

Qualcomm Snapdragon 835製品紹介ページ
“Incredible mobile experiences”(信じられないほどのモバイル体験)と豪語する

まずはプロセッサから。

搭載されているSnapdragon 835は、以前の記事でもご紹介しましたが、記事執筆時点でのハイエンドスマートフォンに多用されているSnapdragon 820の上位にあたる機種で、フルスペックWindows 10への対応を睨んで各機能が大幅強化された機種です。

もちろん、スマートフォンとして発売されるこのXperia XZ PremiumでWindows 10が提供される可能性はそれほど大きくはないと考えられますが、そうした性能強化が超高解像度ディスプレイでの動作に有益なのは言うまでもありません。

Xperia Z5 Premiumに搭載のSnapdragon 810はGPUとしてAdreno 430を搭載していますが、これは直接の後継にあたるSnapdragon 820発表の際にこれに搭載されているAdreno 530が40%の性能増大を実現したと発表していて、さらにSnapdragon 835発表時には従来機種比で25%の性能増大を実現したことが発表されていました。

これより、Snapdragon 835発表時の「従来機種」がSnapdragon 820/821を指すのであれば、1.4×1.25でSnapdragon 835内蔵のAdreno 540はSnapdragon 810内蔵のAdreno 430比で75パーセントの性能増を実現していることになります。

一方、現行のスマートフォンではSnapdragon 820搭載でWQHD解像度の機種がある事は先に触れましたが、これが実現している性能を1として、単純化して画素数比で比較すると4K2K解像度では同じ程度のパフォーマンスを得るには2.25倍の性能が必要となります。

このあたりを考えると、Xperia Z5 Premiumの時のようなことはないにしても、フルHD/WQHD時と同程度のパフォーマンスで軽快にアプリが動作することは、期待しない方が良さそうな印象です。

それでも、フルHDで快適という程度のGPU性能で4倍の画素数を扱っていたXperia Z5 Premiumと比較すれば明らかに状況は好転しており、そうした応答性が重要なゲームなどを別にすれば、通常のテキスト主体で利用するアプリではその恩恵を受けることは出来るでしょう。

とは言え、5.5インチ解像度のディスプレイで4K2K解像度にてブラウザやExcelなどを利用するというのは、正直目が付いていかないというか、そもそもそこに書かれている文字が読めるのだろうか、という危惧はあるのですが……。

なお、ソニーモバイルコミュニケーションズの技術陣にはXperia Z5 Premiumで4K2K解像度が動画再生でも満足に生かせなかった事への反省がよほどあったものと見え、今回はAmazonと提携しAmazonプライムの4K2K解像度動画再生に対応することが謳われています。Amazonプライムの4K2K解像度動画はパソコンでもきちんと(スケーリングによる縮小表示無しで)再生できる環境がなかなかないだけに、これは歓迎できる提携です。

一方、CPUコアについてはSnapdragon 820/821では4基だけ搭載だった QualcommオリジナルのKryoコアの改良版であるKyro 280コアが8基搭載になっていて、しかもメモリインターフェイスの速度も向上しているため、Snapdragon 810比で見ると2.4倍と大幅なパフォーマンスアップが実現しています。

メモリは4GB搭載ですが、これは2chで2GBずつ搭載してGPUとCPUによる厳しいアクセスに対する性能を稼ぐ意図もあったものと推測されます。さすがに、現状では4GB×2で8GBとすると消費電力的に厳しいため、4GBで抑えられたものと考えられますが、個人的にはアプリ動作の高速化を考えると8GB搭載しても良かったのでは無いかと思います。

また、内蔵されているDSPの性能も大幅向上しており、メインカメラがシングル構成だと最大32メガピクセル、デュアル構成だと16メガピクセル×2までの画素数のモジュールに対応し、さらに30fpsでの4K2K解像度動画撮影が可能となっています。

今回のXperia XZ Premiumでは19メガピクセルのカメラモジュールがシングル構成で搭載されていて、30fpsでの4K2K解像度動画撮影も当然のようにサポートされていますが、それもこうしたプロセッサ性能によって実現されている訳です。

シングルモジュールでなお他社を突き放す性能のメインカメラ

Exmor RS for Mobile 構造イメージこのように各機能を積層化することで、チップ面積を無駄なく撮像素子に生かしている

Exmor RS for Mobile 構造イメージ
このように各機能を積層化することで、チップ面積を無駄なく撮像素子に生かしている

2017年現在、スマートフォンに搭載されているメインカメラ用カメラモジュールの性能では、ソニーのExmor RS for Mobileシリーズが突出しています。

最新の技術を貪欲に取り込み続け、画素数をどんどん増やし続けているこのシリーズですが、実のところ他社へ供給されるものは生産歩留まりの問題もあってか、画素数が本家ソニーの子会社であるソニーモバイルコミュニケーションズへ提供されているものより1段か2段少ない機種となっています。

これはソニーモバイルコミュニケーションズの発売するXperiaシリーズに大きなアドバンテージを与えると共に、供給先各社がそのカメラモジュールを利用してより高画質を実現しXperiaシリーズに対抗するため様々な工夫を凝らす一因となっている※注2訳ですが、今回のXperia XZ Prmiumではやや意外なことに、19メガピクセルのカメラモジュールが搭載されています。

 ※注2:最近ではカメラモジュールを2基搭載するデュアルカメラ化が大流行しています。これなどは、カメラモジュールが倍売れるということで、供給元であるソニーにとっては大変有り難い流行であると言えるでしょう。

意外というのは、先行して発売されたXperia XZで既にこれより高解像度な画素数23メガピクセルタイプのExmor RS for Mobileが搭載されていたためです。

ここでわざわざ解像度を落としてきたということは、画素数増大よりも他の要素を重視した設計のカメラモジュールを搭載している可能性が高いということです。

メインカメラレンズ部分解イメージ多数のレンズなどによって構成されており、複雑な構成であることがわかる

メインカメラレンズ部分解イメージ
多数のレンズなどによって構成されており、複雑な構造であることがわかる

そして今回のXperia XZ Premiumの仕様では、1/2.3型積層センサー搭載、画素ピッチ1.22μm、予測型ハイブリッドオートフォーカスなどといったセンサー仕様に加え、5軸の光学手ぶれ補正機能を備えた25mm F2.0 Gレンズ搭載であることが明らかにされています。

一般的なスマートフォン用カメラの場合、1/3型や1/3.2型といったより小さなサイズのセンサーが搭載されているのが常で、1/2.3型となると大半のコンパクトデジカメと同格となるため、このサイズで敢えて画素数を19メガピクセルに抑えたこのセンサーは、画質重視で設計されていることが明らかです。

もっとも、それだけという訳でも無く、このカメラは最大960fpsのスローモーション撮影にも対応しています。こんな機能、日常的には(そんなことをするのかどうかはともかくとして)映画「マトリックス」ごっこ位にしか使えない気もしますが、スポーツ大会などでは着順確定の役に立つこともありそうです。

この辺、スペックの数字だけを追い求めてきた感のあるExmor RS for Mobileがようやく画質対策に本腰を入れてきたということで、今後競合各社は対策に頭を悩ませることになりそうです。

なお、フロントカメラは1/3.06型で22mm F2.0の5軸手ぶれ補正機能付きレンズを搭載する13メガピクセルのExmor RS for Mobileですが、正直なところを言ってしまうとこれでも充分メインカメラと言い張れる性能です。

こんな高性能カメラがフロントカメラとして自画撮りなどにのみ利用されるのかと思うと(自撮りとは無縁の筆者は)目眩を禁じ得ないのですが、自画撮りを多用するユーザーには大変嬉しい高性能カメラ搭載ということになるでしょう。

Cat16に対応するLTE通信

最新のSnapdragon搭載ということで、この機種の通信機能は大幅性能アップしています。

具体的に言うと、LTEの下り方向がカテゴリ16、上り方向がカテゴリ13にそれぞれ対応し、4チャネルのキャリアアグリゲーションにより最大で下り1Gbps、2チャネルのキャリアアグリゲーションによる上りでも最大150Mbpsと大変な高速での通信を実現しています。

Xperia XZ Premiumの仕様においては記事執筆時点でWi-Fiの対応規格が明示されていませんが、これはSnapdragon 835の仕様からIEEE802.11 a/b/g/n/ac/ad対応となるでしょう。ちなみにこちらの速度上限は867Mbpsとなっており、遂にLTEがWi-Fiを大幅に上回る様になってしまっています。

もちろん、これは基地局側がLTE カテゴリ16に対応していなければ意味の無いスペックで、しかもベストエフォートの数字なのでWi-Fiほど安定してこの数字が出るとは思えないのですが、いずれにせよ大手キャリアは今後これへの対応を急ぐことになるでしょう。

ハイレゾ音源対応だが…

このXperia XZ Premiumは自社サイトの製品紹介ページで「Made for audiophiles」と謳い、当然のように、リニアPCMや圧縮音源のFLACおよびALAC、それにビットストリーム音源であるDSDをサポートしていて、ソニー純正のデジタルノイズキャンセリングヘッドフォン(MDR-NC750)にも対応しています。

一方、Bluetoothによるワイヤレスヘッドフォンへの対応では、自社のLDACには対応していますが、QualcommのaptXへの対応は示されていません。

これは本当に全く対応していないのか、aptXがいわゆる「ハイレゾサウンド」の域では無いとソニーが考えているために掲載していないだけで実際にはコーデックとして対応しているのか、どちらなのか判然としませんが、いずれにせよこの仕様から、ソニーがこの機種でワイヤレスヘッドフォンを利用する場合にはLDAC対応機種を推奨していることは明らかです。

なお、内蔵スピーカーについてはS-FORCEと名付けられた仮想フロントサラウンド機能が搭載されており、2基のフロントスピーカーによって立体的な音像が得られるようになっています。

AHO機能により、接続されるヘッドフォンごとに出力を最適化する機能が搭載されている。これはある意味本体にヘッドフォン端子が搭載されている機種だからこそ実現出来る機能と言える

AHO機能により、接続されるヘッドフォンごとに出力を最適化する機能が搭載されている。これはある意味本体にヘッドフォン端子が搭載されている機種だからこそ実現出来る機能と言える

また、最近ではその搭載を巡って何かと議論になっているヘッドフォン端子については、過去のXperia Z5等と同様にAHO(Automatic Headphone Optimization:自動ヘッドフォン最適化)と称する接続されたヘッドフォンの特性を分析し出力を最適化する機能が搭載されています。

このあたりはヘッドフォン端子の防水防塵化を早い時期に実現していたソニーならではの対応と言え、Xperiaシリーズからヘッドフォン端子が無くなることは当分なさそうです。

現状最強は疑いないが問題は価格か

以上、ソニーモバイルコミュニケーションズの最新鋭ハイエンド機種であるXperia XZ Premiumを見てきました。

総じて「今できる事を全てやり尽くした」印象の強い機種で、これを超えるのは当のソニーモバイルコミュニケーションズでも当分は難しい気がします。

問題は、一も二も無く価格とその発売時期です。

記事執筆時点では、今年の春以降に市場に投入予定であることが発表されているのみで、その価格については一切示されていません。

Xperia Z5 Premiumが税込9万3千円程度で発売されたことを考えると、これと同程度かこれ以上の価格となる可能性が高く、ことにプロセッサ回りが大幅スペックアップしていることを考えれば、10万円突破の価格になることも充分考えられます。

現在のiPhone 7 Plusの価格やスペックから考えれば、それでも充分過ぎるほどにバーゲンセール価格では無いかとも個人的には思うのですが、流石に10万円突破クラスとなると少々手が出しにくくなるのも確かです。

果たしていつ、どの程度の価格で発売されることになるのか、期待しつつ今後の報を待つとしましょう。

▼参考リンク
Xperia™ XZ Premium Official Website – Sony Mobile (Global UK English)
Sony’s stunning new Xperia™ XZ Premium with the world’s first Super slow motion video in a smartphone -
Xperia XZ Premium officially named "Best New Smartphone at MWC 2017" -
Snapdragon 835 Processor | Qualcomm
Snapdragon 820 Processor | Qualcomm
Snapdragon 810 Processor | Qualcomm

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