au isai Beat LGV34LG電子V20を基本とする派生モデルの1つ

どちらがどちらか区別がつかない… ~LG電子、V20 Proとisai Beat LGV34を発売~

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by [2016年11月04日]

au isai Beat LGV34LG電子V20を基本とする派生モデルの1つ

au isai Beat LGV34
LG電子V20を基本とする派生モデルの1つ

電子機器の世界においては、複数の納入先に対して同じ基本設計の機器を若干手直しして別製品として納入されることはそれほど珍しいことではありません。

しかし、それでも外装が全く異なった形状になり部品の配置も異なるようになるほどの「手直し」となると、その外装の設計製作コストが高くなるため、そう多くあることではありません。

そんな、既製品のデザイン全面変更を伴う「手直し」をむしろ積極的に行う企業の1つに、auことKDDIがあります。

同社はガラケーの時代から首尾一貫したデザインコンセプトの下でINFOBARと呼ばれる自社主導のスタイリッシュな端末を何機種もリリースし、スマートフォンの時代になってからもINFOBARやisaiといったブランドで独自デザインの、他にはないデザインを具現化した機種を継続的に開発・発売してきました。

LG電子 V20 PRO L-01JLG電子がNTTドコモへ供給するV20派生モデルの1つ。この角度だとisai Beatとの相違は色以外ほとんど見当たらない

LG電子 V20 PRO L-01J
LG電子がNTTドコモへ供給するV20派生モデルの1つ。この角度だとisai Beatとの相違は色以外ほとんど見当たらない

そしてこのほど、isaiシリーズの最新機種として「isai Beat LGV34」がauから発表され、それと前後してそれの基本となったとされるLG電子「V20」がNTTドコモから「V20 PRO L-01J」として発表されました。

実のところ今回の「isai Beat LGV34」は「V20 PRO L-01J」とぱっと見の形状の差が判らないレベルの形状なのですが、わざわざ「isai」の名を与えたからには何か他に無い要素があることが期待されます。

そこで今回はこれら2機種がどの程度同じでどの程度違うのかを中心に見てゆきたいと思います。

両機種の主な仕様

「isai Beat LGV34」と「V20 PRO L-01J」の主な仕様の内、共通する部分は以下の通りです。

  • OS:Android 7.0 Nougat
  • メインスクリーン
    • 種類:IPS液晶
    • 解像度:1,440×2,560ピクセル(WQHD解像度)
    • 画面サイズ:約5.2インチ(対角線長)
  • 内蔵メモリ
    • RAM:4 GB LPDDR4 SDRAM
    • フラッシュメモリ:32 GB
    • 拡張スロット:microSDXC(最大256 GB)
  • Wi-Fi:
    • 対応規格:IEEE 802.11 a/b/g/n/ac
  • Bluetooth:Ver.4.2
  • SIMカードスロット:Nano SIM
  • 防水:IPX5/IPX7
  • 防塵:IP6X
  • NFC:対応
  • TVチューナー:ワンセグ/フルセグ対応
  • 生体認証:指紋認証

これに対し、公称で異なっているのは以下の通りです。

  • チップセット:
    isai Beat LGV34:Qualcomm Snapdragon 820(MSM8996:2.2 GHz + 1.6 GHz クアッドコア)
    V20 PRO L-01J:Qualcomm Snapdragon 820(MSMS8996:2.1 GHz + 1.5 GHz クアッドコア)
  • サイズ:
    isai Beat LGV34:約72×149×8.0(最厚部9.0)mm
    V20 PRO L-01J:約72×149.8×7.9 mm
  • 重量:
    isai Beat LGV34:146 g
    V20 PRO L-01J:約140 g台
  • カメラ
    • メインカメラ解像度:
      isai Beat LGV34:約16メガピクセル(標準)+約8メガピクセル(広角)
      V20 PRO L-01J::約16.2メガピクセル(標準)+約8.2メガピクセル(広角)
    • フロントカメラ解像度:
      isai Beat LGV34:約5メガピクセル
      V20 PRO L-01J:約5.1メガピクセル
  • 電池容量:
    isai Beat LGV34:3,000mAh
    V20 PRO L-01J:2,900mAh

2機種で動作クロック周波数の異なるプロセッサ回り

上の主な仕様でも示しましたが、「isai Beat LGV34」と「V20 PRO L-01J」を比較すると搭載されている統合プロセッサは同一型番ですが、高速な「Kyro」コア2基と低速だが低消費電力な「Cortex-A53」コア2基の動作クロック周波数について、前者がQualcommの提示しているカタログスペック通りの最大値、後者がそれらよりも0.1 GHzずつ引き下げた値となっています。

電池容量で見ると前者と後者の間には100mAhしか差がありませんから、これは純粋に性能を取るかバッテリーの持ちを取るかでauとNTTドコモの間で方針が異なっていたと考えて良さそうです。

ただ、筐体サイズで見るとこれら2機種は厚みに差があることから、内蔵バッテリー容量でisaiの方が有利であるのは確か(※注1)で冷却面でも相応の差があって、公称通りのクロック周波数とすると充分冷却できないとNTTドコモが考えた可能性はありそうです。

 ※注1:もっとも写真をぱっと見ただけだとどちらがどちらなのかよく判らない、という方もおられるでしょう。その程度にはこれら2機種のデザインは似通っています。

まぁ、正直なところを言えばこの程度のクロック周波数の相違ならば、特にリアルタイムで動的にクロック周波数を変化させるのが当たり前のスマートフォンの場合、ピーク性能で動作する時間をどれだけ長く設定するかで吸収できる程度のものでしかありません。その意味では、V20 PROのこの定格最大値は熱的に若干マージンを持たせて安定側に振ったチューンとしたと見ることができるでしょう。

実質的に同一のカメラモジュール

isai Beat LGV34背面上部中央に標準と広角のデュアルカメラを搭載する。その直下の指紋センサー下に記されたisaiのロゴと下部の丸いB&Oのロゴのみがこの機種の素性を物語る

isai Beat LGV34背面
上部中央に標準と広角のデュアルカメラを搭載する。その直下の指紋センサー下に記されたisaiのロゴと下部の丸いB&Oのロゴのみがこの機種の素性を物語る

次は内蔵カメラです。

LG電子が自社サイトで公開している「isai Beat LGV34」と「V20 PRO L-01J」の仕様では、メインカメラの画素数は前者が約16メガピクセル(標準レンズ)+約8メガピクセル(広角レンズ)、後者は約16.2メガピクセル(標準レンズ)+約8.2メガピクセル(広角レンズ)、そしてフロントカメラの画素数は前者が約5メガピクセル、後者が約5.1メガピクセルといずれも微妙に違う値を公称値としています。

ただ、カメラモジュールの観点で言えばこのあたりの0.1~0.2メガピクセル程度の画素数の差はファームウェアやデバイスドライバレベルの設計方針によって割と簡単に変化するレベルのものですから、恐らく実際に搭載されているカメラモジュールそのものは同一で、撮影時にどのような処理しているかで公称している有効画素数が異なっている可能性があります。

むしろ、ここまで小さな相違のあるカメラモジュールを機種毎に調達するのはコスト的に不利ですし、外観でも同じカメラモジュールを搭載している様にしか見えませんから、メインもフロントも実際には両機種で共通であると考えるのが妥当でしょう。

V20 PRO L-01J背面中央に控えめに記されたNTTドコモのロゴが無ければ、isai Beatと識別するのが難しいほどに同じデザインとなっている

V20 PRO L-01J背面
中央に控えめに記されたNTTドコモのロゴが無ければ、isai Beatと識別するのが難しいほどに同じデザインとなっている

さて、この機種のメインカメラは最近のハイエンドスマートフォンで流行している、異なった画角のレンズを搭載した2基のカメラによるデュアルカメラ構成が採用されています。

標準レンズの方が画素数16あるいは16.2メガピクセルで画角75°(※注2)、開放絞り値F1.8、広角レンズの方が画素数8あるいは8.2メガピクセルで画角135°m、開放絞り値F2.4とのことですから、単純に標準から広角へ切り替えると2段暗くなって画素数が半減するということになります。

 ※注2:カメラ業界では画角を角度で示すことは希で、通常は35mm判換算での焦点距離で示します。その表記法に従うと、この「画角」の角度が対角画角を示すと考えるとこれら2機種の標準レンズは24mm~28mm程度の一般的には広角レンズと分類されるレンズ、広角レンズは焦点距離が35mm判換算で10mm前後の超広角レンズということになります。LG電子が一体どのような意図でこのような大変わかりにくい値を示したのかは正直謎です。

もっとも、これは悪いことばかりとは言えません。

同じサイズのCMOSセンサーを使用しているなら、画素数が半分に減ると単純計算で1画素あたり受け取れる光量が倍になるわけですから、2段程度暗い開放絞り値のレンズでも充分実用になります。

また、画角の広い広角レンズの場合、被写界深度をより深く取らないとたやすくピンぼけしてしまいますから、ほとんど魚眼レンズ一歩手前の超広角としているこれら2機種の広角レンズの場合、ピントの合った範囲を広く取る=ピンぼけを予防する意味では開放絞り値を最低でもF2.4程度まで絞る必要があります(※注3)。

 ※注3:デジタル一眼レフ用交換レンズで、35mm判で50mmクラスのレンズには開放絞り値がF1.2クラス、ものによってはF1.0のものさえあるのに24mmクラスになるとF1.4が精一杯なのは、それ以上明るいレンズを作るにはレンズの光学設計の難度や晶材のコストが跳ね上がってしまうという設計製造にかかわる事情だけでなく、そもそもそんな被写界深度の極端に浅い、つまりピントの合う奥行きの長さが極端に短いレンズを作っても使い道が極端に限定されてしまうことが一因としてあります。実際、筆者はかつて50mmで開放絞り値F0.95という「人の目より明るい」と豪語したレンズを使ったことがありますが、開放絞り値でのあまりの被写界深度の浅さ=ピントの合っている領域の極端な狭さに閉口した覚えがあります。標準レンズでさえこれですから、広角で極端に開放絞り値の小さい=明るいレンズは、例えば人の顔を開放絞り値で撮ったらピントが合っているのが鼻の周りだけだった、といったことになりかねないのです。

こうした事情を勘案すると、広角側の画素数や開放絞り値は撮影の必然からこのような値となったと考えて良さそうです。

他社のこうしたデュアルカメラ構成の機種の場合、標準レンズと広角レンズで同時撮影して撮影画像の被写界深度調節、つまり絞り値の変更を後から行える機能を搭載したり、あるいはソフトウェア的な処理により光学ズームを実現したりしているのですが、この2機種ではそうした特別な機能について現時点では一切アナウンスがなされていません(※注4)。

 ※注4:それだけならわざわざこんなハードウェア構成にする必然性がほとんどありませんから、今後発売までの間にカメラ関係のソフトウェアが作り込まれてそうした新機能が搭載される、あるいは発売後のアップデートで追加されるという可能性はあります。

なお、これら2機種のカメラモジュールには先行するisai vivid LGV32/LG G4と同様にレーザーAFが搭載され、これに加えてデュアルフラッシュも搭載されています。

いずれにせよ、これらは最近のスマートフォン用カメラの流行に従った設計と考えて良さそうです。

B&O PLAYが監修した音作り

「isai Beat LGV34」と「V20 PRO L-01J」で共通で、しかも注目を集めている機能の1つに、サウンド回りの設計があります。

これまで、スマートフォンでのハイクオリティなサウンドリスニングというと、高音質再生にはDAC内蔵のポータブルヘッドフォンアンプ(あるいはそれに類する機器)の併用が事実上必須という状況でした。

これら2機種では、共にデンマークの高級オーディオメーカーとして著名なバング&オルフセン(Bang & Olufsen:B&O)のグループ企業であるB&O PLAY A/Sが監修し、ESS Technology社製の32ビットクアッドDAC SoCであるES9218 SABRE HiFi SoCを搭載、これまでのスマートフォンには無かった高音質を実現したとされています。

ESS Technology社公式サイトご覧のとおりLG電子V20(isai BeatとV20 PROの基本となった機種)へのSABRE DACの採用がトップページを飾っている

ESS Technology社公式サイト
ご覧のとおりLG電子V20(isai BeatとV20 PROの基本となった機種)へのSABRE DACの採用がトップページを飾っている

ES9218はDNR 124dB、THD+N -112dBを公称する高音質かつ低歪率のDAコンバータで、 クアッドDACとわざわざ謳っていることから4基のDAコンバータを内蔵し、それをステレオ出力で使用することから恐らく差動合成出力を行って2基のDACからの出力の間でノイズを打ち消しあい、利得を稼ぐ実装としていると考えられます。

なお、このES9218はFLAC、ALAC、WAV、それにAIFFといった現在一般に使用されているロスレス音源をサポートしていて、SoCのカタログスペックでは何と最大で32ビット384MHzのPCMデータとDSD512のPWMデータに対応するとされています。

DSD512はその名に含まれる512という数字が示すとおり、サンプリング周波数がCDの512倍、つまり22.5792MHzで1ビットのPWMデータを扱う規格ですから、これだけで単位時間あたりのデータ量はステレオの場合CDの32倍で5.383MB/sとなります。

こう書くと「何だ、その位」という声が上がりそうなのですが、これをスマートフォンの通信で良く用いられるMbpsに換算すると約43Mbpsとなり、仮にDSD512の楽曲データなどを配信するサービスを行った場合日本のLTEサービスの基準となるUEカテゴリ3の下りピーク速度の半分近くが必要となってしまいます。

最近ではLTE-Advancedの普及で2×2 MIMOなどにより下りピーク速度を引き上げる技術に対応する端末も増えていますが、いずれにせよ少なくともここ2年ほどの間にDSD512に対応した楽曲などのデータが普通に配信される状況になるとは思えません。

しかし、アップスケーリング技術を併用すれば端末内でアップスケーリングを行うことによりこの規格の恩恵を被ることは可能で、恐らく将来的にそういった機能のサポートを行うことを念頭に置いて、このようなモバイル機器には破格のスペックの音源データ対応が行われたと考えられます。

こうした破格の高性能DAコンバータを名高いB&Oがグループ企業とは言え自社の名前を出して音質の監修するというのですから、これら2機種の音声出力の品質は大いに期待して良さそうです。

今後は、他の端末とDAC内蔵ポータブルヘッドフォンアンプを合わせて携行するくらいなら、これら2機種のいずれかと外部バッテリーを携行した方がハッピーになれるかも知れません。

難度の高い間違い探し

以上、auから発売される「isai Beat LGV34」とNTTドコモから発売される「V20 PRO L-01J」という同じLG電子V20を祖とする(と考えられる)2機種についてみてきました。

思ったよりも両機種間のデザイン的な相違が無かったというのはこれまでのisaiシリーズを知っていると不思議な感じがしますが、LG電子での検討結果を反故にするようなデザイン変更というのもあまり良いことではなく、これはこれで1つの最適解なのでしょう。

そして、肝心要のサウンド出力回りについては両機種で同一のスペックとなっていて、この機能を重要視していることが見て取れます。

いずれにせよ、音楽鑑賞のためのデバイスという観点で見ると、少なくとも現時点においてはこれに代わりうる機種は存在しません。音質関係については好き嫌いがあるため断言は出来ませんが、こうしたことを検討できる機種が登場したというのは本当に喜ぶべきことです。

▼参考リンク

V20 PRO L-01J | docomo Collection | NTTドコモ
ドコモ スマートフォン | スペック | docomo Collection | NTTドコモ
V20 PRO L-01J | 携帯電話/スマートフォン/タブレット | LGエレクトロニクス・ジャパン

isai Beat(イサイ ビート) LGV34 | スマートフォン(Android スマホ) | au
「isai」シリーズの最新モデル「isai Beat」が登場 | 2016年 | KDDI株式会社
LG isai Beat LGV34 | 携帯電話/スマートフォン/タブレット | LGエレクトロニクス・ジャパン

ESS Technology :: ESS Technology Brings Advanced Audiophile Features to Mobile Devices for the First Time

B&O PLAY – Make beautiful Music

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