Xperia XZ フロントベゼル上部「SONY」のロゴ直上にある楕円形の開口部がスピーカーの片割れで、良く見ると開口部内部がメッシュ構造となるなど、地味な割に凝った作りとなっている。このスピーカーはフロントベゼル下部にもディスプレイを挟んでこれと対称となる位置関係で搭載されている

やっぱりZじゃないと駄目? ~ソニー、Xperia XZ発表~ 前編

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by [2016年11月02日]

SONY Xperia XZ金属の質感を生かした微妙で扱いの難しい色調が選ばれており、このブルーも「フォレストブルー」と銘打たれた特徴的な色調となっている

SONY Xperia XZ
金属の質感を生かした微妙で扱いの難しい色調が選ばれており、このブルーも「フォレストブルー」と銘打たれた特徴的な色調となっている

2013年1月発表の初代「Xperia Z」で衝撃のデビューを飾り、以来2015年秋の「Xperia Z5」まで都合3年6世代に渡って続いたソニーのXperia Zシリーズですが、その「Xperia Z5」をもってシリーズは終了、事実上の後継機種には新シリーズであるXperia Xシリーズの初号機種である「Xperia X Performance」(2016年2月発表)が充てられていました。

しかし、ソニー Xperiaのハイエンドは「Z」という認知が強すぎた(※注1)のか、それともハイエンドなのかミドルレンジなのかよく判らない「Performance」という名が悪かったのか、この「Xperia X Performance」は今ひとつ印象が弱いままに推移しています。

 ※注1:ちなみにかつてソニーが発売していたオーディオ機器のESシリーズなどでは3桁の数字による型番が採用されていて、例えばカセットデッキでは最上位機種が「TC-K777ES」(1982年)、マルチディスクプレイヤーでは最上位機種が「MDP-999」(1990年)などと名付けられていて、「Z」が型番に用いられることはあまりありませんでした。筆者の記憶する限り、ソニーの製品で上位機種の型番にZが多用されるようになったのはパソコンのVAIOが登場した前世紀末頃からであったように思います。

そしてこのほど、この「Xperia X Performance」に代わるべきXperia Xシリーズ最上位機種として、「Xperia XZ」が発売されることになりました。

結局、ソニーにとって「Z」に勝るハイエンドの型番が無かったことを示すような命名ですが、同時にこの機種にかける同社の意気込みも感じられます。

そこで今回は、この「Xperia XZ」について、特徴的な部分を中心に見ていきたいと思います。

主な仕様

Xperia XZの現時点で公表されている主な仕様は以下の通りです。

  • OS:Android 6.0
  • チップセット:Qualcomm Snapdragon 820(MSM8996:2.2 GHz + 1.6 GHz クアッドコア)
  • サイズ:約72×146×8.1 mm
  • 重量:約161 g
  • メインスクリーン
    • 種類:トリルミナス® ディスプレイ for mobile(TFTカラー液晶)
    • 解像度:1,080×1,920ピクセル(FHD解像度)
    • 画面サイズ:約5.2インチ(対角線長)
  • 内蔵メモリ
    • RAM:3 GB LPDDR4 SDRAM
    • フラッシュメモリ:32 GB
    • 拡張スロット:micro SDXC(推奨最大容量256 GB)
  • カメラ
    • メインカメラ解像度:23メガピクセル
    • フロントカメラ解像度:13.2メガピクセル
  • Wi-Fi:
    • 対応規格:IEEE 802.11 a/b/g/n/ac(2.4GHz/5GHz)
  • Bluetooth:Ver.4.2
  • SIMカードスロット:Nano SIM
  • 電池容量:2,900mAh
  • 防水:IPX5/8
  • 防塵:IP6X
  • NFC:対応
  • TVチューナー:あり(フルセグ)
  • 生体認証:指紋認証

Xperia X Performanceから変わらなかったプロセッサ周辺

Qualcomm Snapdragon 820 製品紹介ページ前世代のSnapdragon 810比で2倍のCPU性能、Snapdragon 810に内蔵のAdreno 430 GPU比で40パーセント増の性能を実現したAdreno 530 GPUの内蔵など、飛躍的な性能の向上を謳う

Qualcomm Snapdragon 820 製品紹介ページ
前世代のSnapdragon 810比で2倍のCPU性能、Snapdragon 810に内蔵のAdreno 430 GPU比で40パーセント増の性能を実現したAdreno 530 GPUの内蔵など、飛躍的な性能の向上を謳う

「Xperia XZ」は「Xperia X Performance」と同じ動作クロック周波数のQualcomm Snapdragon 820を統合プロセッサとして搭載しています。

このSnapdragon 820は他の記事でも何度かご紹介していますが、Qualcommが自社で設計・開発したオリジナル設計の64ビットARM命令セット、つまりARM v8-Aアーキテクチャに準拠するCPUコアである「Kyro」を2基とARM製の省電力64ビットCPUコアであるCortex-A53を2基、それにGPUとしてやはりQualcommオリジナルのAdreno 530を搭載する非常に強力なプロセッサです。

CPUのコア数だけならばオクタコア、つまりARM純正のCortex-A53・57・72を適宜組み合わせて8基のCPUコアを搭載するプロセッサが珍しくなくなっている昨今の状況からすると時代に逆行するような構成のプロセッサです。しかし、先日発表になったApple iPhone 7に搭載のA10プロセッサでも同様に自社オリジナルの高性能CPUコア2基と低消費電力CPUコア2基を組み合わせた構成としていることを考えると、これはパソコンと比較してそこまで多数のスレッドを実行することのない、むしろある程度以上はシングルスレッドの処理能力を高める方が実利があるスマートフォンの利用状況に最適化を図った構成と言えるでしょう。

このSnapdragon 820はその高性能と引き替えに発熱量が相応に大きいことが報告されていて一定程度Kyroコアの動作クロック周波数を落として搭載した製品が少なくなく、また既にそのマイナーチェンジモデルであるSnapdragon 821も発表、実製品への搭載が始まっています。

にもかかわらず、ソニーはXperia ZシリーズでのSnapdragon 810の高発熱に悩まされた際に冷却系の高性能化のノウハウを得ていたためかそのSnapdragon 820を、それもKyroコアの最大動作クロック周波数を定格通り2.2GHzとして搭載しています(※注2)。

 ※注2:この動作クロック周波数設定は「Xperia X Performance」でも同様となっています。つまり、ソフトウェア的な制御などの相違を抜きにした単純なプロセッサ性能だけの比較なら「Xperia XZ」と「Xperia X Performance」の間には差がありません。

もちろん、Snapdragon 820のフルスペックとなる最大動作クロック周波数での動作を許容すると言っても、そのピーク速度での動作は電力消費節減の必要性もあって常に監視・制御されるようになっている訳ですから、この動作クロック周波数設定はこれらの機種の総合的な性能・処理能力の高さを保証する訳ではありません。

しかし、必要があれば最大の性能を発揮できる設計となってことから、短時間高負荷がかかるような処理を断続的に行う様なタイプのアプリならば大きな威力を発揮すると期待できます。

ただ、少々惜しいのはメインメモリが3 GB搭載に抑えられていることです。

現状ならば、(この機種を購入したユーザーの多くが機種変更を検討するであろう)2年後を視野に入れてもこれだけ積んであれば充分、Snapdragon 820の電力消費と搭載可能なバッテリー容量を考えるとこれ以上の増量は現時点では厳しい、というのがソニー技術陣の判断であると思います。

もっとも、Google純正で一般にAndroid搭載スマートフォンのリファレンス機種と見なされている「Nexus」シリーズの後継となる「Pixus」シリーズがAndroid7.0搭載でメモリ4 GB搭載としていることを考えると、できればこの機種も4 GB搭載としておいて欲しかったところです。

特徴的なガラスを多用した筐体は引き継がれなかった

SONY Xperia Z1 SO-01FXperia Zシリーズでは背面全体にもガラス板が貼られていて、枠状のフレームを備えていた

SONY Xperia Z1 SO-01F
Xperia Zシリーズでは背面全体にもガラス板が貼られていて、枠状のフレームを備えていた

Xperia Zシリーズは、背面にもディスプレイ面と同様に大型のガラス板を貼るという大胆かつ特徴的な、これまでどこにも無かったような斬新な筐体デザインを採用する事で、市場に大きなインパクトを与えた訳ですが、その反面これは筐体構造を複雑にし、冷却その他でいくらかの制約をもたらす設計(※注3)でもありました。

 ※注3:一番面積が大きく本来ならば放熱に資するはずの背面パネルを、熱伝導率が鉄やコンクリートよりも低い、つまり熱の溜まりやすいガラス板としたことがXperia Zシリーズの冷却設計に大きな影響を与えたのは確かです。

Xperia XZ 背面

Xperia XZ 背面

そのためもあってか、Xperia Xシリーズではディスプレイ面以外にはガラスを使用しない新設計の筐体に切り替わっていて、今回の「Xperia XZ」では筐体背面に「ALKALEIDO(アルカレイド)」と呼ばれる神戸製鋼(KOBELCO)製の特殊なアルミ合金材(※注4)が使用されています。

 ※注4:「製鋼」という製鉄所以外考えられないような社名のせいか意外と知られていないのですが、神戸製鋼は鋳造・鍛造・押し出し加工といった各種製法によるアルミ材の開発製造で世界有数の技術力を持っており、業界をリードする企業の1つとなっています。今回の「ALKALEIDO」もそんな同社の技術力が生かされた材料で、「透明感のある輝きと色の奥行き感」がこの材料によって実現されています。このように熱伝導率の高い≒放熱性の面で有利なアルミ材を背面に使用することは、発熱量の相応に大きいSnapdragon 820で定格最大動作クロック周波数での動作を可能とするのに大きく貢献していると考えられます。

Xperia XZ 底面この向きからだとループ形状とよばれる滑らかな面構成がよくわかる。USB端子はType-Cコネクタを搭載しており、防水はIPX5/8、防塵はIP6Xと実用上申し分ないスペックを実現している。なお、USB端子右の小穴はメインマイク用で、位相差マイクを構成する上でこれと対になるサブマイクは上面の同位置に設けられている

Xperia XZ 底面
この向きからだとループ形状とよばれる滑らかな面構成がよくわかる。USB端子はType-Cコネクタを搭載しており、防水はIPX5/8、防塵はIP6Xと実用上申し分ないスペックを実現している。なお、USB端子右の小穴はメインマイク用で、位相差マイクを構成する上でこれと対になるサブマイクは上面の同位置に設けられている

また、Xperia Zシリーズではガラスを背面に採用したことから必然的に枠状/額縁状のフレーム構造を採用せざるを得ず、これがデザイン上の特徴ともなっていましたが、背面をアルミ合金材としたこのXperia XZでは、全体の形状をディスプレイ面から滑らかに連続し「ループ形状」とメーカーが呼ぶ一体感を強調したデザインとなっています。

ちなみにボタン類の配置は縦に置いた時のディスプレイ面向かって右側面中央付近に指紋センサー内蔵の電源ボタンを、下端付近にカメラ撮影時のシャッターボタンをそれぞれ置き(※注5)、その間に音量ボリュームを搭載する、右下に集中配置したデザインとなっています。

 ※注5:この位置関係からシャッターボタンは横向きに持った時に右上に来るため、普通のカメラのシャッターのように扱えます。

ボタン操作で困るのは大概片手持ち時ですから、その際に指が届きやすい位置に各種ボタンを集中配置させたこのデザインは大変合理的であると言えます。

なお、nano SIMカードおよびmicro SDXCカードのトレイは縦に置いた時のディスプレイ面向かって左上に挿入される構造になっていて、デュアルSIM非対応となっています。

以下、後編に続きます。

▼参考リンク
Xperia XZ SO-01J | ソニーモバイルコミュニケーションズ
Xperia XZ SOV34 | ソニーモバイルコミュニケーションズ
Xperia XZ | ソニーモバイルコミュニケーションズ
Snapdragon 820 Quad-Core Processor | Kryo CPUs | Qualcomm

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