Google Pixel(右)とGoogle Pixel XL(左)

NexusではなくPixel~Google、新スマートフォンを発表~(後編)

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by [2016年10月28日]

Google Pixel(右)とGoogle Pixel XL(左)

Google Pixel(右)とGoogle Pixel XL(左)

前編ではPixel・Pixel XLの基本仕様やプロセッサ・メモリについてみてきました。後編ではカメラや通信機能、そして新搭載の「Google Assistant」などについて見ていきたいと思います。

画素数は一般的だが画質・オートフォーカス性能を重視したカメラ

今回のPixel・Pixel XLはリファレンス機らしく全般的な傾向として尖ったスペックの部分が少ない印象なのですが、カメラも額面上はその方針を踏襲しています。

メインカメラの画素数が12.3メガピクセル、フロントカメラの画素数が8メガピクセルというその数字自体は最近では特に珍しくないレベル(※注6)で、フロントカメラの画素数が多めになっていることからいわゆる自画撮りを重視した構成となっていることがわかります。

 ※注6:メインカメラもフロントカメラも共に昨年のNexus 6Pと同じ画素数となります。

そしてメインカメラモジュールのオートフォーカス機能は赤外線レーザーセンサーが搭載されています。

これはオートフォーカス動作時に赤外線レーザーを被写体に向け一瞬照射、それの反射状況に従ってレンズの焦点制御を行う、いわゆるアクティブAF方式の一つです。

従来のパッシブAF方式、つまりスマートフォン用カメラモジュールでは比較的目にする機会の多い位相差AF系のようなオートフォーカス機構では、レンズに入ってきた外部の光の位相差で焦点の合否を判定していたため、薄暗闇のように微妙な光量の環境ではどうしても焦点を合わせるのが難しく、また時間もかかってしまうという難点があります。

赤外線レーザーAFはこうした問題を解決する手段として有用で、これ単独での利用にはまた別の問題があるのですが、位相差AF系のセンサーと併用することでオートフォーカスがより正確かつ高速に動作することが期待できます。

Google Nexus 6PGoogle Pixel・Pixel XLのカメラ性能は仕様上、前年発表ののこの機種に準じる。ただし、スペックが同じ事は同じ画質となることを意味しない

Google Nexus 6P
Google Pixel・Pixel XLのカメラ性能は仕様上、前年発表のこの機種に準じる。ただし、スペックが同じ事は同じ画質となることを意味しない

もっとも、このレーザーセンサーによるAFは昨年のNexus 5X・6Pで既に採用されていたもので、その一方で静止画撮影時の光学手振れ補正機能は搭載されていないようですから、カメラ回りのスペックそのものは先日発売されたiPhone 7・iPhone 7 Plus(※注7)と比較すると若干見劣りする部分があります。

 ※注7:2機種とも12メガピクセルのメインカメラに光学手ぶれ補正機能搭載していて、iPhone 7 Plusではレンズの画角の異なるカメラモジュールを2組搭載することで光学2倍ズームを実現するなど、画素数を変えずに性能の底上げや利便性の向上が図られています。

もっとも、ピクセルサイズが1.55μmという最大級のセンサーを搭載していることと、既に1年前から使われていてソフトウェア的にこなれてきていると考えられることから、ある程度以上は安定した動作と画質を期待できる点でこのPixel・Pixel XLの構成にはそれはそれで一定以上のメリットがあります。

この種のセンサーでは同じ画素数でピクセルサイズが大きい=1画素あたり受け取れる光量が大きい≒暗部撮影時などのノイズが乗りにくいということですから、元々薄暗闇に強い赤外線レーザーAF、開放絞り値F2.0とそれなり以上に明るいレンズ、さらに最新の画像処理エンジンを搭載するSnapdragon 821と組み合わさることで高画質なカメラ性能が期待できます。

DXOMARKのレビューページ。右のランキングが示すように、上位は当然のごとく各社ハイエンド機種が並ぶ

DXOMARKのレビューページ。右のランキングが示すように、上位は当然のごとく各社ハイエンド機種が並ぶ

実際、この2機種のカメラはDXOMARK(※注8)のレビューではスコア89とiPhone 7用カメラよりも高い評価とのことで、「カタログスペックは心持低いが、実撮影では好成績が得られる」タイプのカメラ設計であると考えてよさそうです。

 ※注8:DXOMARKはスマートフォンの内蔵カメラセンサー・レンズの性能を数値化して評価するサイトです。ここではあくまでセンサーとレンズの光学性能のみをRAWデータ基準で数値化しているため、スマートフォン側のイメージングプロセッサなどによる「現像処理」以降の画質については評価対象となっていません。そのため、この数値を鵜呑みにするのは危険ですが、そのスコアは光学・センサー系の相対的な性能比較の指標としてならば有用です。

なお、これらPixelシリーズもNexusシリーズ同様にmicro SDメモリカードスロットを搭載していませんから、スマートフォンのカメラで動画・静止画を積極的に撮影するタイプのユーザーは128GBモデルを買った方が良さそうです。

広範囲に対応する3G・4G回線

スマートフォンである以上は3Gあるいは4Gでの通話・通信機能の対応は無視できません。

Pixel・Pixel XLでは北米市場向け以外のモデルでは4GについてFDD LTEでバンド1~5・7・8・12・13・17~21・26・28・32、TDD LTEでバンド 38~41に対応しています。

日本で用いられているのは予定も含めるとFDD LTEがバンド1・3・8・11・18・19・21・26・28、TDD LTEがバンド41・42(予定)ですから、これらは4G回線についてはauが使用しているFDD LTEのバンド11と今後大手3社が利用を予定しているTDD LTEのバンド42以外は全て対応しているということになります。

なお、Pixel・Pixel XLではCAT12準拠で最大で3Xのキャリアアグリゲーション、つまり3バンドを束ねてのLTE通信に対応しており、規格の仕様上は最大で下り600Mbps、上り75Mbpsでの通信を可能とします。

また注目されるのが、現状では未だ通話で常用され続けている3G回線についてWCDMAのバンド1・2・4~6・8・9・19だけでなく、CDMAのバンドクラス0がサポートされていることです。

WCDMAは4Gと同様にバンド11が抜けている以外は日本で使用されている帯域が全てフォローされていて特にどうということはないのですが、CDMAのサポートは大きなトピックです。

CDMAのバンドクラス0はauの新800MHz帯そのもので、つまりauやauの回線を利用するMVNO事業者の3G回線による通話サービスが問題なく利用できることを意味します。

バンドクラス6、つまりauの2GHz帯に対応しないためその点では若干不満がありますが、いわゆるSIMフリー端末では往々にして完全無視されがちなCDMA 2000系に最低限とは言え対応したことは、SIMカード選びの自由度が高くなるという点で大きく歓迎できる要素です。

ようやくUSB 3.0のサポートが一般化し始めたUSB

Pixel・Pixel XLでは搭載される統合プロセッサが最新のSnapdragon 821であることから、USB端子についてもType-Cポートで高速なUSB 3.0に対応するものが搭載されています。

USB Type-Cポートを搭載した機種でも、対応する規格が古く低速なUSB 2.0止まりの機種が多かったのですが、今秋発表の機種ではようやくUSB 3.0(※注9)への対応が進みつつあって、これらもその一例となります。

 ※注9:USB 3.1 Gen.1と表記している機種もありますが、これは仕様上給電能力が100mA上乗せされている以外は理論通信速度も同一(5Gbps)で事実上同一規格です。ちなみにUSB 3.1 Gen.2は理論通信速度が10 Mbpsと倍速化していますが、現状では消費電力や発熱、それにケーブルの長さ制限が厳しい(Gen.1の最大3mから1mに短縮)などの問題もあってスマートフォンへの搭載は現実的ではありません。

VESAが公表したUSB Type-Cコネクタのピンアサインこの配列から、Type-Cコネクタがリバーシブルであることと共に多機能化とそれらの機能の同時使用を重視して設計されたことがわかる

VESAが公表したUSB Type-Cコネクタのピンアサイン
この配列から、Type-Cコネクタがリバーシブルであることと共に多機能化とそれらの機能の同時使用を重視して設計されたことがわかる

USB Type-Cコネクタは当初リバーシブルという接続時のトラブル解消というメリットを前面に押し出していましたが、真の利点は従来のmicro USBコネクタでは実用性の点で難があったUSB 3.0以上の高速規格への対応を容易にし、しかもUSBでのデータ通信や充電を行いながら映像出力も行えるという汎用性・高機能性にこそあります。

その意味ではUSB 2.0のままでのType-Cコネクタ搭載は不十分で、USB 3.0対応とType-Cコネクタの双方を揃えて搭載したこの機種をGoogleがスマートフォンのリファレンス機種とすることには、この組み合わせの普及促進という観点で大きな意味があると言えるでしょう。

Siri対抗としてのGoogle Assistant

今回のPixel・Pixel XLでソフトウェア的に最も重要なトピックとなるのがAndroid搭載スマートフォンでは初となる「Google Assistant」の標準搭載です。

身も蓋もないことを言ってしまえばこれはiOSの「Siri」の対抗技術ですが、Google自身は自社の人工知能技術により「Siri」よりも高速に応答することをアッピールしています。

ただ、この技術を応用した「Google Allo」でGoogle Assistantを利用する機能について未だに日本語対応していない(※注10)ことからも判るとおり、少なくとも記事執筆時点では日本語話者がその機能を享受することはできません。

 ※注:謝罪の言葉と共にGoogle検索の結果が案内されるようになっています。

恐らく、Nexus 5X・6Pでは最初の発売国に含まれていた日本がPixel・Pixel XLでは外されたのはこれが原因で、Google Assistantが日本語対応しない限り、これらの機種の日本での正式発売は難しそうです。

高い水準でバランスの取れた良作だがGoogle Assistant待ちか

ハードウェア的には2機種とも総じて現在のミドルレンジの上からハイエンドの間位のポジションに位置するスペック、性能で上手くまとめられている印象で、このあたりのポジショニングの巧さはNexus時代と変わっていません。

デザイン的には割と地味な印象ですが、尖った機能を持たないこの機種の性質を考えれば、その内容に見合ったデザインと言えそうです。

強いて言えば、筐体が若干厚めなのが気になるところですが、最近のバッテリー絡みのトラブルや、この機種の場合指紋認証のためのセンサーが背面中央に搭載されていることなどを考えると、無理に薄く作ってトラブルを出すのを避けたと考えればこの構成もある意味納得できます。

なお、これら2機種の製造担当メーカーは公式サイト等では一切触れられていませんが、台湾のHTCが担当していて、内部のバッテリーパックにのみ同社ロゴが入っていたことが報じられています。

これまでのNexusシリーズでは比較的メーカー名の露出する機会が多く、中にはGalaxy Nexusのように担当メーカーのブランド名を冠した機種さえある程でしたが、それがそうでなくなったということは、それだけ開発段階でのGoogleのコミットする範囲が広がった可能性が高いと言えます。

この機種で致命的な問題があるとすればただ1つ、先にも少し触れたとおり、恐らくはGoogle Assistantの言語非対応が原因で日本での発売が保留状態のままとなっていることです。

Siriでも初登場時には英語・ドイツ語・フランス語にしか対応していなくて日本語に対応したのはその翌年でしたから、ことによるとGoogle Assistantも同様の状況となって、Pixel・Pixel XLは日本発売を見送られて翌年発売の後継機種から日本で発売、なんてことになりかねません。

英語でのGoogle AssistantがSiriなら柔軟に対応する込み入った質問をやや不得意としているあたりを考えると、搭載されている人工知能の特性的に日本語との相性が悪い可能性も考えられるのですが、いずれにせよ早期に解決してPixel・Pixel XLの日本市場での正式発売をに漕ぎ着けて欲しいものです。

▼参考リンク
Pixel, Phone by Google – Made by Google
Official Google Blog: Introducing Pixel, our new phone made by Google
Introducing Pixel, our new phone made by Google
Pixel smartphone camera review: At the top – DxOMark
Google Assistant – Your own personal Google
Google Pixel XL Teardown – iFixit
Nexus 6P – Google

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