ASUSTek ZenFone 3 Deluxeシリーズ中でもハイエンドに位置づけられる、5.7インチ有機ELディスプレイのプレミアムモデル

全機種DSDSに対応したASUSTekのZenFone 3シリーズ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

by [2016年8月08日]

最近、2系統で少なくとも3Gでの通信通話の同時待ち受けが可能なDSDS(Dual SIM/Dual Standby)タイプのデュアルSIM端末の話題を聞くことが増えてきました。

これは、2015年5月からの大手キャリアを含む端末のSIMロック解除義務化もあって、日本でMVNO事業者による低価格通信通話サービスが普及し始め「SIMカードを選んで利用する」スタイルが一般化するようになってきたこととは無縁ではあり得ません。

3Gでの通話と4G LTEのデータ通信でそれぞれ最も安いサービスを選びたい、できれば両方を同時に使いたい、というこれまでにないスタイルでの利用が望まれるようになったからこそ、こうしたDSDSタイプの端末の話題が見られる様になったのだと言えます。

そんなSIMフリー化の潮流の中で、日本市場で大きく台頭したメーカーの1つにパソコンメーカーとしても著名な台湾のASUSTekがあります。

このメーカー、いわゆる自作パソコンを手がける人には定番メーカーの1つとしてよく知られた会社ですが、その一方でノートパソコンやタブレットなどのモバイル機器も積極的に手がけていて、IntelのAtomを搭載しAndroidの64ビット化で真価を発揮する様になったZenFone 2など、これまでにも興味深い機種を幾つも世に送り出してきました。

そんなASUSTekが、今年5月末に発表したのが、先に触れたZenFone 2シリーズの後継機種という位置づけのZenFone 3シリーズです。

様々な特徴を備えたこのシリーズですが、実はシリーズに含まれる3機種全てがDSDSタイプのデュアルSIM端末となっているということで大きな話題となっています。

そこで今回は、これら3機種について見てみたいと思います。

まずは3機種それぞれの主な仕様を見てみるとしましょう。

ZenFone 3の主な仕様

記事執筆時点で公表されているZenFone 3の主な仕様は以下の通りです。

ASUSTek ZenFone 3ZenFone 3シリーズでは最もスタンダードな5.5インチディスプレイ搭載モデル

ASUSTek ZenFone 3
ZenFone 3シリーズでは最もスタンダードな5.5インチディスプレイ搭載モデル

  • OS:Android 6.0
  • チップセット:Qualcomm Snapdragon 625(2.0GHz オクタコア)
  • サイズ:77.38×152.59×7.69 mm
  • 重量:155g
  • メインスクリーン
    • 種類:TFT液晶(IPS方式)
    • 解像度:1,080×1,920ピクセル(フルHD解像度)
    • 画面サイズ:5.5インチ(対角線長)
  • 内蔵メモリ
    • RAM:3GB/4GB LPDDR3
    • フラッシュメモリ:32GB/64GB
    • 拡張スロット:microSDXC (最大2 TB)
  • カメラ
    • メインカメラ解像度:16メガピクセル
    • フロントカメラ解像度:8メガピクセル
  • Wi-Fi:
    • 対応規格:IEEE 802.11 b/g/n/ac
  • Bluetooth:Ver.4.2
  • SIMカードスロット:Micro SIM + Nano SIM
  • 電池容量:3,000mAh
  • 防水:なし
  • 防塵:なし
  • ハイレゾオーディオ:対応
  • TVチューナー:なし
  • 生体認証:指紋認証
  • 外部入出力端子:USB 2.0(Type-Cコネクタ)

ZenFone 3 Deluxeの主な仕様

記事執筆時点で公表されているZenFone 3 Deluxeの主な仕様は以下の通りです。

ASUSTek ZenFone 3 Deluxeシリーズ中でもハイエンドに位置づけられる、5.7インチ有機ELディスプレイのプレミアムモデル

ASUSTek ZenFone 3 Deluxe
シリーズ中でもハイエンドに位置づけられる、5.7インチ有機ELディスプレイのプレミアムモデル

  • OS:Android 6.0
  • チップセット:Qualcomm Snapdragon 820(2.15GHz デュアルコア+1.6GHz デュアルコア)/Snapdragon 821(2.4Ghz デュアルコア+2.0GHz デュアルコア)
  • サイズ:77.4×156.4×4.2(最薄)/7.5(最厚) mm
  • 重量:172g
  • メインスクリーン
    • 種類:有機EL
    • 解像度:1,080×1,920ピクセル(フルHD解像度)
    • 画面サイズ:5.7インチ(対角線長)
  • 内蔵メモリ
    • RAM:6GB LPDDR4
    • フラッシュメモリ:64GB/128GB/256GB
    • 拡張スロット:microSDXC (最大128 GB)
  • カメラ
    • メインカメラ解像度:23メガピクセル
    • フロントカメラ解像度:8メガピクセル
  • Wi-Fi:
    • 対応規格:IEEE 802.11 a/b/g/n/ac(5GHz 2×2 MIMO対応)
  • Bluetooth:Ver.4.2
  • NFC:対応
  • SIMカードスロット:Micro SIM + Nano SIM
  • 電池容量:3,000mAh
  • 防水:なし
  • 防塵:なし
  • ハイレゾオーディオ:対応
  • TVチューナー:なし
  • 生体認証:指紋認証
  • 外部入出力端子:USB 3.0(Type-Cコネクタ)

ZenFone 3 Ultraの主な仕様

記事執筆時点で公表されているZenFone 3 Ultraの主な仕様は以下の通りです。

ASUSTek ZenFone 3Ultraファブレット的な性格の強い6.8インチディスプレイ搭載モデル

ASUSTek ZenFone 3Ultra
ファブレット的な性格の強い6.8インチディスプレイ搭載モデル

  • OS:Android 6.0
  • チップセット:Qualcomm Snapdragon 652(1.8GHz クアッドコア)
  • サイズ:93.9×186.4×6.8 mm
  • 重量:233g
  • メインスクリーン
    • 種類:TFT液晶(IPS方式)
    • 解像度:1,080×1,920ピクセル(フルHD解像度)
    • 画面サイズ:6.8インチ(対角線長)
  • 内蔵メモリ
    • RAM:3GB/4GB LPDDR3
    • フラッシュメモリ:32GB/64GB/128GB
    • 拡張スロット:microSDXC (最大128 GB)
  • カメラ
    • メインカメラ解像度:23メガピクセル
    • フロントカメラ解像度:8メガピクセル
  • Wi-Fi:
    • 対応規格:IEEE 802.11 a/b/g/n/ac
  • Bluetooth:Ver.4.2
  • SIMカードスロット:Nano SIM × 2
  • 電池容量:4,600mAh
  • 防水:なし
  • 防塵:なし
  • ハイレゾオーディオ:対応
  • TVチューナー:なし
  • 生体認証:指紋認証
  • 外部入出力端子:USB 2.0(Type-Cコネクタ)

Snapdragonに戻ったプロセッサ

Qualcomm Snapdragon 820 製品紹介ページ前世代のSnapdragon 810比で2倍のCPU性能、Snapdragon 810に内蔵のAdreno 430 GPU比で40パーセント増の性能を実現したAdreno 530 GPUの内蔵など、飛躍的な性能の向上を謳う

Qualcomm Snapdragon 820 製品紹介ページ
前世代のSnapdragon 810比で2倍のCPU性能、Snapdragon 810に内蔵のAdreno 430 GPU比で40パーセント増の性能を実現したAdreno 530 GPUの内蔵など、飛躍的な性能の向上を謳う

今回のZenFone 3シリーズでZenFone 2と比較した場合に最大のトピックとなることの1つに、搭載される統合プロセッサがIntelのAtom系からARM v8命令セット準拠のQualcomm Snapdragonシリーズに変更されたことがあります。

ASUSTekはネットブック以来Intel Atomを愛用してきたのですが、当のIntel自身がスマートフォン・タブレット向けプロセッサ市場からのAtom撤収を決定してしまったため、ZenFone 2に搭載のAtom Z3560・Z3580に続く後継プロセッサが得られなくなり、Snapdragonシリーズへの切り替えを余儀なくされたということのようです。

Atomシリーズはサーバ向け派生モデルが存在したこともあり、プロセッサとしてみると省電力特化の傾向が特に強いSnapdragonシリーズをはじめとするARM系プロセッサよりもマルチタスク動作に強いという利点があって、IntelはAndroidでのx86系命令セットサポートのために巨額の費用を投じてソフトウェア開発支援を行うなど積極的に売り込みを図っていたのですが、ARMの壁は厚く撤退を決定せざるを得なくなったもの(※注1)でした。

 ※注1:先日のソフトバンクによるARM買収の報をみるに、Intelのこの決定はやや拙速に過ぎたのではないか、と筆者は考えてしまいます。第二の、そして有力な選択肢としてのAtomがスマートフォン・タブレット向けプロセッサ市場から姿を消してしまうのは残念に思います。

ともあれ、そんな訳で今回のZenFone 3シリーズでは現行のSnapdragonシリーズから用途に合わせた機種が選択されているのですが、ことCPUについては注目すべきは下位モデルながらハイエンド機種に先んじて最新の14nm FinFETプロセスで製造されたSnapdragon 625を搭載するZenFone 3と、Snapdragon 625に続いて14nm FinFETプロセスを採用しQualcomm独自開発の最新64ビットCPUコアであるKyroをbig.LITTLE構成で2ペア内蔵するSnapdragon 820・821を搭載するZenFone 3 Deluxeということになるでしょう。

ちなみに、残るZenFone 3 Ultraの搭載するSnapdragon 652もGPUに最新世代のAdreno 510を搭載し、なかなかの性能なのですが、半導体製造プロセスが28nmであるため、大型筐体を生かして大容量バッテリーを搭載していても消費電力の点で他の2機種と比較すると不安が残ります。

解像度は同じでもサイズと方式の異なるディスプレイパネル

ZenFone 3シリーズでは3機種で差別化をはかってそれぞれに何らかの特徴付けを行うためか、それぞれの機種で異なったハードウェア方式を採用している部分が幾つかあります。

その中でも特に目立つのがディスプレイパネルで、ZenFone 3とZenFone 3 Ultraでは画面サイズは異なる(≒画素密度が異なる)ものの同じ解像度(※注2)、同じIPS方式のTFT液晶を採用するのに対し、プレミアムモデル的な性格の強いZenFone 3 Deluxeでは同じ解像度ながら有機ELパネルが採用されています。

 ※注2:筆者個人としては、画素密度を大きく変えない様にZenFone 3 Ultraについてはより解像度の高いWQHD解像度(2,560 × 1,440ピクセル)あたりのパネルを搭載しても良かったのではないかと思います。

これについては、ハイエンドプロセッサを搭載しているZenFone 3 Deluxeにのみ有機ELが採用されていることから、恐らくコスト問題が背景にあるものと推測されますが、3機種中1機種のみ発色や発光の傾向が異なることは留意しておく必要があるでしょう。

ちなみにASUSTekはパソコン用ディスプレイメーカーとしても有名で、視野角178°を実現するIPS方式(現行はAH-IPS方式)を採用したパネルを筆頭に、韓国LG電子製ディスプレイパネルの供給を受けて製品を作っています。更に言えばLG電子はスマートフォン用有機ELパネルの外販を行っている数少ない会社の1つで、それらを勘案するとこのZenFone 3 Deluxeの有機ELパネルを含め、これらシリーズ全機種のディスプレイパネルは方式は異なれど同じLG電子製の可能性が高いと言えます。

ソニー製モジュールを搭載する内蔵カメラ

ソニー Exmor RS世界初の量産積層型裏面照射型CMOSセンサーシリーズ。上がカメラモジュールで下の小さなチップがセンサー本体に当たる。このシリーズの最上位でいわば「本国仕様」としてソニー自社製のXperiaシリーズにのみ採用されてきた最高解像度モデルが他社に外販されるようになったことは感慨深い

ソニー Exmor RS
世界初の量産積層型裏面照射型CMOSセンサーシリーズ。上がカメラモジュールで下の小さなチップがセンサー本体に当たる。このシリーズの最上位でいわば「本国仕様」としてソニー自社製のXperiaシリーズにのみ採用されてきた最高解像度モデルが他社に外販されるようになったことは感慨深い

ZenFoneシリーズでは、以前の機種から伝統的にカメラモジュールとしてソニー製の「Exmor RS for mobile」シリーズを採用してきました。

今回の3機種では、どこのメーカー製なのか明言はされていませんが、 DeluxeとUltraのメインカメラが他社にはない画素数23メガピクセル、ZenFone 3でさえ16メガピクセル、そしてフロントカメラは全機種ともに画素数8メガピクセルと、大変に充実した、言い替えれば大変に贅沢なカメラ回りの仕様となっています。

ちなみにASUSTekは自社のカメラ向け画像処理技術に対して「PixelMaster」というブランドを与えていますが、これもカメラモジュールの高性能・高画質に支えられていればこそのものであることは留意しておくべきでしょう。

何にせよ、これまで自社のXperia Zシリーズなどに搭載されるばかりで、一切他社に外販してこなかったスマートフォン・タブレット用Exmor RS for Mobile シリーズカメラモジュールの最上位モデルが他社へ外販されるようになったというのが印象的です。

最大6GB搭載が実現してしまったメインメモリ

元々Atomが64ビット命令をサポートしていたこともあって、これを搭載するZenFone 2でメインメモリ 4GB実装の先陣を切ったASUSTekですが、今回のZenFone 3シリーズでは、最小容量モデルでも3GB、最大容量となるZenFone 3 Deluxeでは何と6GBのメモリを搭載とちょっと見ただけではスマートフォンの仕様とは信じられない様な大容量メモリ搭載を実現してしまっています。

正直、現在のAndroid搭載スマートフォンでこのメインメモリ容量を使い尽くすようなアプリを実行することは考えがたいのですが、当初32ビット版Android搭載としてデビューし後に64ビット版に変更することで漸く搭載メモリを無駄なく利用可能となったZenFone 2の前例を引くまでもなく、OSがリニアに認識できる実装メモリはいずれ使用されるようになります。それが果たして何時のことになるのかは定かではありませんが、Androidそのものの64ビット化でアプリの巨大化も容易になってきているため、案外早い時期に使用される様になるのかも知れません。

対応規格の違いはあるが、Type-Cコネクタに統一された外部I/Oインターフェイス

さて、ZenFone 3シリーズではUSBコネクタが転送速度に関係なく新しいType-Cコネクタに変更されました(※注3)。

 ※注3:ただしZenFone 3とZenFone 3 UltraはUSB 2.0対応、ZenFone 3 Deluxeのみ高速なUSB 3.0対応です。

この新コネクタはUSBのデータ転送を行いつつDisplay Port互換の映像出力を出力でき、さらに給電能力が強化されるなど、これまでのUSB端子ではできなかった様々な機能が実現されており、またコネクタ自体が非常にコンパクトとなっているため、今後の普及が期待されている規格です。

もっとも、新機能がサポートされコネクタ形状が変わったということで従来のUSB端子を備えたデバイスを直接接続することはできません。これまでの機種でキーボードやカードリーダーなどを有線接続して使っていた方は、変換アダプタなどを別途用意する必要があります。

DSDSに対応したデュアルSIMスロット

先にも触れたとおり、ZenFone 3 シリーズは3モデル全てがデュアルSIM対応となっています。

厳密に言えば、ZenFone 3とZenFone 3 DeluxeがMicro SIMとNano SIMのスロットをそれぞれ1本ずつ搭載するのに対し、最も大きな筐体を持つZenFone 3 UltraはNano SIMスロットを2本搭載するという、非常にコンパクトなSIMスロット構成となっています。

このあたり、つまりZenFone 3 Ultraが最も小さなデュアルSIMスロット構成となってしまったのは、恐らく筐体内に詰め込まれた内蔵大容量バッテリーとの緩衝を避けるためであったと考えられるのですが、いずれにせよシリーズ全機種でDSDSがサポートされたというのは今後のスマートフォンの動向を考える上で重要な出来事です。

ただ、モトローラMoto G Plus(第4世代)の記事でも触れましたが、2チャンネルの通信回路を同時動作させ続けるDSDS機能は、同時待ち受けを実現する場合、基地局との定期通信のためにどうしても大きな電力を消費するという問題があります。

これはどのメーカーも関係なしにDSDSやDSDA(Dual SIM/Dual Active)タイプの通信方式を採用する限りはほぼ確実に直面する問題なのですが、流石のASUSTekもこの問題については未だ上手い解決策を思いつけていないのか、これら3機種の動作時間は公表されていません。

この種の動作時間で未公表というのは大変遺憾ながらその動作時間を公開することになんらかの不都合があると思われても仕方がないことで、同じくDSDSに対応する第4世代 Moto G Plusでの動作時間を勘案すると、これら3機種もDSDS非対応の機種と比較するとかなり動作時間が短くなっていると推定できます。

ただし、この問題はDSDSで使うからこそ起きるもので、SIMカードを1枚だけ挿して使う様な場合には、特に最新の14nm FinFETプロセスで製造されたプロセッサを搭載している2機種については、相当なロングバッテリーライフが期待できるでしょう。

何にせよ、長い動作時間か、それともより安い通信料金を目指すか、をユーザーが自分で選択できるようになったというのは良いことです。

隙がありそうでないラインナップ

以上、ASUSTek製スマートフォンシリーズの最新作、ZenFone 3シリーズについてみてきましたが、筆者個人の感想として、「何と絶妙なスペック設定なのだ」ということがあります。

3機種も出すのですから、それぞれ特徴付けをして個性的なラインナップ展開としたいというのはどのメーカーでも考えることでしょうが、今回のこれらZenFone 3のように敢えて弱点となるようなスペックを採用した部分を設けることで、どれか1機種に人気が集中する様なことが無いように仕組まれているのには、正直感心するよりありません。

このあたりは長年各モデル間でのグレード差に神経質なパソコンメーカーをやってきたASUSTekならではの手法と言えるでしょう。

▼参考リンク
ZenFone 3 (ZE552KL) | Phone | ASUS Global
ZenFone 3 Deluxe (ZS570KL) | Phone | ASUS Global
ZenFone 3 Ultra (ZU680KL) | Phone | ASUS Global

PageTopへ