Motorola Moto G Plus(第4世代)

待望のDSDSに対応したモトローラの第4世代Moto G Plusを見る

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

by [2016年8月02日]

Motorola Moto G Plus(第4世代)

Motorola Moto G Plus(第4世代)

MVNO事業者による低価格通信通話サービスの隆成を受けて、最近スマートフォンやモバイルルータなどで2種類のSIMカードを内蔵できる、いわゆるデュアルSIMタイプの機種が増えてきています。携帯電話サービスが大手3キャリアによってSIMカードと端末が紐付けられた、彼らによる寡占市場であった時代には考えられなかったことですが、通信と通話で異なるSIMを同時に利用したい、あるいは海外と国内で別のSIMを挿しっぱなしにして利用できるようにしたい、といった複数の通信通話サービスを利用できる状況であれば当然に生じる要求に応える形で、こうしたタイプの端末が少しずつ増えてきたのです。

もっとも、これまで市場に送り出されてきたデュアルSIM端末は、そのほぼ全てがDSSS(Dual SIM/Single Standby)タイプ、つまり2つ(Dual)のSIMスロットを切り替えて利用し、常にデータ通信も通話待ち受け(Standby)もどちらか一方(Single)のSIMカードを使用するタイプでした。

このDSSSタイプは、要するに切り替えスイッチに相当するロジックで2枚のSIMカードいずれの情報を読み出すかを適宜決め、なおかつ切り替えで変化するその情報は2枚分保持する仕組みを備えているだけで、基地局と位置情報確認のための通信を行い続ける固有IDは通常の1枚のみSIMカードを搭載するタイプの端末と同様、常に1つ分だけ利用する、という通信ハードウェア的には消費電力も通信時の挙動も、共にシングルSIM端末と何ら違わない仕組みとなっています。

つまるところこのDSSSタイプは本当に2枚のSIMカードを一々抜き挿しせずとも済むだけと言え、小さく紛失しやすい最近のマイクロ/ナノSIMカードの管理に伴うトラブルを未然に防げることがメリットとなります。

しかし、この方式は国内と海外で別のSIMを使い分けたい、といったエリア単位でのSIMカードの使い分けには非常に有用な一方で、例えば一方のSIMスロットに高速な4G LTEデータ通信契約を行って入手したSIMカードを挿し、もう一方のSIMスロットには低速だが廉価な3G通話対応のサービスと契約を行って得たSIMカードを挿して、つまりそれぞれのSIMカードで同時に別々の回線契約を利用して通信通話を行いたい、といった場合には特殊な例外(※注1)を除くと、利用できません。

 ※注1:実際の通信を司るベースバンドプロセッサのチップに内蔵されていて、しかも通信の原理が異なるために個別の回路となっている3G回線通信機能と、2G回線通信機能を独立して動作させられる機種での、3G通信+2G通信など。ただし、これについても何らかの改造・ソフトウェア改変を行った機種以外での成功例は存在しないようです。

なぜなら、DSSSタイプの端末は別々の回線契約を同時に利用する場合に不可欠の、通信ハードウェアを1組しか搭載していないからです。

一方、複数回線に同時アクセス可能なタイプの端末は大きく分けて2種が存在します。

 1:2つのSIMスロットに同時に並列でアクセスでき、通話待ち受けは両方とも可能だが、データ通信はいずれか一方のSIMカードの固有IDを使用するDSDS(Dual SIM/Dual Standby)タイプ
 2:2つのSIMスロットに同時に並列でアクセスでき、通話待ち受けとデータ通信が両方とも2枚のSIMカードの固有IDで同時に利用できるDSDA(Dual SIM/Dual Active)タイプ

いずれの場合でも通信・通話に用いるハードウェアが二重化されて搭載された端末でのみ実現しています。

もっとも、通信・通話に用いるハードウェアが二重化し2枚のSIMそれぞれが基地局との間で個別に通信を行うということは、アンテナやRFモジュールなど電力を喰う部品が常時2セット稼働するということですから、連続待ち受け時間をより長くすることに腐心してきた各社のスマートフォンや携帯電話(※注2)では、これらのタイプは殆ど御法度に近い扱いを受けてきました。

 ※注2:2つのSIMで2系統のデータ通信を同時に利用してインターネットアクセスを行うことは普通ないため、モバイルルーターは事実上DSSSタイプのみとなっていて、DSDS・DSDAタイプのデュアルSIM搭載機種は基本的には存在しません。

しかし、消費電力の低減のための工夫や努力が続いてきたおかげか、搭載バッテリー容量が以前よりも大容量化してDSDSタイプやDSDAタイプの機種でもある程度の連続稼働時間が確保できる様になってきたためか、それとも半導体製造プロセスのシュリンクなどで送受信に用いるハードウェアの消費電力について劇的な低減が可能となったためかは判りませんが、特に3G通話と4G LTEデータ通信で別の契約を行ったSIMを同時併用したいというニーズが結構多かったらしく、最近日本国内向けを含め、各社からDSDSタイプのデュアルSIMスロット搭載端末の発表が相次いでいます。

そこで今回は、そうしたデュアルSIMスロット搭載端末の中から、現在は中国のLenovoの傘下に入ったモトローラの新作、「Moto G Plus(第4世代)」を取り上げたいと思います。

Moto G Plus(第4世代)の主な仕様

記事執筆時点で公表されているMoto G Plus(第4世代)の主な仕様は以下の通りです。

  • OS:Android 6.0.1 Marshmallow
  • チップセット:Qualcomm Snapdragon 617(MSM8952 1.5GHz クアッドコア + 1.2GHz クアッドコア)
  • サイズ:76.6×153×9.8(最厚)/7.9(最薄)mm
  • 重量:155g
  • メインスクリーン
    • 種類:非公開
    • 解像度:1,080×1,920ピクセル(フルHD解像度)
    • 画面サイズ:5.5インチ(対角線長)
  • 内蔵メモリ
    • RAM:2GB/4GB
    • フラッシュメモリ:16GB/64GB
    • 拡張スロット:microSDXC (最大128GB)
  • カメラ
    • メインカメラ解像度:16メガピクセル
    • フロントカメラ解像度:5メガピクセル
  • Wi-Fi:
    • 対応規格:IEEE 802.11 a/b/g/n(2.4GHz/5GHz)
  • Bluetooth:Ver.4.2 LE
  • SIMカードスロット:Micro SIM×2(Nano SIMアダプタ同梱)
  • 電池容量:3,000mAh
  • 防水:なし
  • 防塵:なし
  • ハイレゾオーディオ:不明
  • TVチューナー:なし
  • 生体認証:指紋認証

なお、メインメモリと内蔵フラッシュメモリの容量については、モトローラの公式サイトではそれぞれ2GBと4GB、そして16GBと64GBとされているのですが、海外サイトではメインメモリ3GB、内蔵フラッシュメモリ32GBのモデルが存在することを示す所もあり、ハードウェア的にはこれらの容量にも対応可能となっていると考えて良さそうです。

ただ、大手キャリアでのiPhoneの在庫状況などを見ても低価格小容量か高価格大容量のどちらかにはっきり振れる傾向の強い日本市場の状況を考えると、実際にはメインメモリ2GB、内蔵フラッシュメモリ16GBのモデルとメインメモリ4GB、内蔵フラッシュメモリ64GBのモデルに2モデルに需要が大きく分かれそうな印象です。

抑えめのプロセッサ回り

搭載される統合プロセッサが最近の機種で一般的なQualcommのSnapdragon 617となっているのは、以前Snapdragonシリーズの上位機種で問題となっていた高発熱問題を回避し、またDSDSタイプとしたことによる通信増加に伴う消費電力増大などを考慮したためと推定できます。

もっとも、このSnapdragon 617は内蔵GPUがAdreno 4xxシリーズでは事実上最下位のAdreno 405搭載(※注3)となっているため、グラフィックス描画に伴う消費電力は低く抑えられる一方でそれほど描画性能が高い訳ではありません。

 ※注3:Snapdragon 805・808・810といったARM v7系の32ビットCPUコア搭載では最終世代のハイエンド機種群と比較すると、GPU性能ではほぼ確実にそれらに劣ります。

このあたりの仕様もやはり消費電力低減を重視したためと推定されます。

パネルが公表されていないディスプレイ

モトローラの公式サイトで公開されているこの第4世代Moto G Plusの仕様を眺めて、「おや?」と思った方もおられるのではないでしょうか。

実はこの機種、搭載されているディスプレイパネルについて、その画素密度(401 PPI)や解像度(フルHD)、それに対角線長(5.5インチ)などの物理的な数字は公表されているにもかかわらず、肝心のパネルの種類が示されていません。

他のMotoシリーズの例からすると有機ELパネルの可能性が高い様にも思われますが、あるいはパネル調達の都合でどちらかが供給先によって変更される可能性も考えられます。

画素数16メガピクセルを謳うメインカメラ

さて、この機種ではメインカメラについて、開放絞り値F2.0のレンズを搭載した、画素数16メガピクセルのカメラモジュールを搭載していることが示されています。

16メガピクセルクラスのカメラとなると、製造・供給できるメーカーはぐっと限られ、一般に知られる範囲ではソニー、シャープ、そしてサムスンの3社が候補として挙げられます。

この機種の場合はカメラの仕様として「Phase detect auto-focus (PDAF)」、つまり像面位相差オートフォーカス方式のセンサーを搭載していることが明記されています。

像面位相差オートフォーカスというのは要するにCCDセンサーの周囲にオートフォーカス用のセンサーを作り込んでしまい、それを利用して画素単位でピント合わせを行ってしまう技術です。

この技術でスマートフォン・タブレット用カメラセンサーを作れる会社は、現状では本当に限られていて、シャープは作っていませんでした。

そのため、こうなってくると有力候補はソニーの「Exmor RS for Mobile」シリーズか、サムスンの「ISOCELL」シリーズのいずれか、ということになるのですが、これらは一方の製造元であるサムスン自身が、自社のGalaxy S6シリーズでこっそり行っていたことが示すように特にアナウンスなしでも混用が可能です。

そのため、仕様で明記されない限りは通常、そのどちらかなのか判然としません。

特にそのGalaxy S6シリーズではそれら2種のカメラモジュールで明らかに写真の写りがかなり大きく違っていたために一部で騒ぎになっていましたから、一体どちらの機種が搭載されているのか、気になるところです。

一方、フロントカメラは画素数5メガピクセルの機種となっていますから、こちらについては特に自画撮りを重視する訳でもなく、至って無難な選択となっています。

通信機能

この機種ではカテゴリ4の4G LTE通信の他に3G通信のCDMA /EVDO Rev.AとUMTS / HSPA+、そして2G通信のGSM / EDGEがサポートされていることがスペックで明記されています。

この内3G通信の前者はau等が使用しているQualcommが開発したいわゆるCDMA 2000系、後者はNTTドコモやソフトバンクが使用しているW-CDMA系の通信方式ですから、どこのSIMを使用するとしても、とりあえず日本国内のMVNO事業者による低価格通信通話サービスでも問題なく使用可能です。

その対応周波数帯はCDMA 2000系が850・1900 MHz、W-CDMA系が850・900・1700・1900・2100 MHzとなっており、概ね世界各国どこへ行っても余程のことがない限りは利用可能な周波数帯対応状況と見て良いでしょう。

一方、LTEの対応バンドはB1・2・3・4・5・7・8・12・13・25・26・41で、日本のauが利用しているバンド18やドコモの使用しているバンド19・21、日本の大手3キャリアが使用しているバンド28、そしてこれら3社が使用を予定しているバンド42がことごとく外されています。

もっとも、日本のキャリアなら最低でもどれか1つ位は使えるバンドがあるようですが、特に通信が混雑しがちなNTTドコモとauでいわゆるN800帯が利用できないのはちょっと厳しいかもしれません。

ただし、この仕様はいわゆるユニバーサルバージョンの製品でのものですから、過去のZenFone 2(ASUS)でのローカライズ、つまり日本市場への最適化状況を思い返すと、このあたりの仕様は日本市場向けで状況が大きく変わる可能性があります。そのため、早手回しにユニバーサルバージョンの製品を海外から個人輸入などで購入するのは避けた方が良いかも知れません。

通信機能と言えばちょっと意外だったのが、Wi-Fiで最新のIEEE 802.11acが非対応となっていることです。DSDS対応であればそこまで必要ないという判断なのか、それとも通信モジュールの回路規模的にこれまで押し込むのが難しかったのかは判りませんが、例えばWi-Fiを多用する人の場合は混雑する4G LTEでの通信をWi-Fiにオフロードした場合にある一定以上の通信速度が出ないということですから、ちょっと注意が必要です。

高速充電モードに対応したバッテリー

この第4世代Moto G Plusでは先に触れたように通信系統が2系統同時利用可能な設計となっているため、バッテリーの持ちが悪くなることが懸念されます。

そのため、3,000 mAhのそれなりに大きめの容量の内蔵バッテリーが搭載されているのですが、それだけでは不十分と考えられたのか、同社がTurboPowerと呼ぶいかにも速そうな高速充電モードがサポートされています。

この機能を利用することでわずか15分の充電で6時間の利用が可能となるとされています。

なお、モトローラが発売している他の機種では、例えば容量2,600 mAhの内蔵バッテリーを搭載し、しかもハイエンドのSnapdragon 820を搭載するMoto Zで15分の充電により8時間の利用が可能となるとされているため、この第4世代Moto G Plusは比較的低消費電力のプロセッサを搭載しているにもかかわらず、DSDSに対応するためにデュアル待ち受けで相当な消費電力負担を強いられることが推測できます(※注4)。

 ※注4:この推測を裏付ける様に第4世代Moto G PlusについてはMoto Zとは異なりいかなる条件下での動作時間も示されていません。ただ、Snapdragon 820はCPUコアもGPUコアも大幅な高性能化を実現している一方で最新の14nm FinFETプロセスで製造されているため、今となってはかなり古い28nm LP(Low Power)プロセスで製造されているSnapdragon 617よりも消費電力面で有利であることは勘案する必要があるでしょう。

概ね問題のない仕様だが、やはりDSDSによる消費電力増大は深刻か

以上、モトローラの第4世代Moto G Plusについて見てきましたが、公開されている内蔵バッテリー容量とプロセッサ、それにTurboPower使用時に同じ充電時間で利用できる動作時間などから、この機種でDSDSの機能を享受する限りは消費電力が通常の機種よりも大きく、かなり連続稼働時間が短くなることは覚悟しておく必要性がありそうです。

まぁ、待ち受け機能というのは結局何もしていない様に見えるときでも基地局経由で自分の居場所を定期的に発信し続けて電話がかかってきたときに確実に中継して貰えるようにするための仕組みですから、電波発振に電力を喰うのは当然のことなのですが、さすがに非対応機種、それも明らかに消費電力の大きそうなプロセッサを搭載し1割以上容量の小さなバッテリーを搭載する機種との比較でこれだけ露骨に差が付くというのは驚きでした。

このあたり、DSDSの利便性を採るか、それとも消費電力を優先するか、ということになると思いますが、それが選択できるようになったのは良いことです。電波を発振するRFモジュールやアンテナ回りの消費電力はなかなか今以上の低減が難しいため、今後DSDSあるいはDSDAに対応する端末で飛躍的に長時間の利用が可能になるのは望み薄なのですが、それでもこれは今後が楽しみになる一品と言えるでしょう。

▼参考リンク
Moto G Plus (4th Gen.) – Unlocked Android Smartphone | Motorola
Snapdragon 617 Mobile Processor with Octa-Core CPUs | Qualcomm
Snapdragon 820 Processor with X12 LTE | Quad-Core CPUs | Qualcomm

PageTopへ