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Fate/Grand Orderを遊ぶ~第4回:…これ一体誰? サーヴァントを考える

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by [2015年11月10日]

第3回ではプレイスタイルについて考えました。今回はサーヴァントについて考えてみたいと思います。

▼「Fate/Grand Orderを遊ぶ」記事一覧
第1回 Fateの世界を俯瞰してみる
第2回 サーヴァントのクラス分けについて
第3回 カードバトル形式のプレイスタイル
第4回 …これ一体誰? サーヴァントを考える
第5回 サーヴァント育成と聖霊石

サーヴァントの知名度

実のところ、宝具にしろサーヴァント自身にしろ、その依って立つところは人々の人気/知名度であり、信仰や礼賛、あるいは畏怖の念です。

つまり、歴史あるいは伝説/神話上のとある人物が、その活躍の舞台となったとある国でいかに有名で強大な大英雄と称えられていようとも、その英雄=英霊の知名度がゼロに近いような国で召喚されると、本来の能力をまともに発揮することはできない仕組みになっているというのです。

まぁ、これはいくらどこかの国の大英雄であろうとも、その英雄と全く縁もゆかりも無く、その活躍の物語も伝わっていないような土地であれば信仰も礼賛も畏怖もありえないのですから当然のことですが、これを敷衍(ふえん)すれば、その英雄と敵対していた土地であれば、そのサーヴァントが現界したとしてもその母国でのそれとは大きく異なった性質となる可能性が高いということになります。

アーラシュFate/Grand Orderでプレイ開始初期からフレンドポイント召喚などで比較的入手しやすいアーチャーの一人。

アーラシュ
Fate/Grand Orderでプレイ開始初期からフレンドポイント召喚などで比較的入手しやすいアーチャーの一人。

例えば、記事執筆時点での「Fate/Grand Order」で唯一の星1つのアーチャーであるペルシャの大英雄「アーラシュ」は、地元であるペルシャの人々の間では今も高い人気と知名度を保っているとされますが、日本では「Fate/Grand Order」のサービス開始までペルシャをはじめとするオリエント史研究などを行っている研究者の方々を別にすると、世間一般では全くと言って良いほど知名度がなく(※注1)、そもそもの話として国内ではこの興味深い人物について言及された文献あるいは物語の類を探し出すのが非常に難しいという、いっそ清々しいほどの無名っぷりでした。

  ※注1:このことを裏付けるように、フリー百科事典サイト「Wikipedia」日本語版では「Fate/Grand Order」のサービス開始までかの「アーラシュ」氏の記事項目はなく、サービス開始後大慌てで記事が(それも英語版からの翻訳で)立項されて体裁が整えられた、という逸話があったりします。つまり、かなりマニアックなことまで書きたがる傾向が特に強い日本のWikipedia編集者たちでさえ、「アーラシュ? 誰それ??」という状態であったということなのです。このような状況の国で召喚されれば、どれほど強力な英霊であろうと、事実上のハンディキャップマッチになっても致し方ないことでしょう。

実際、「アーラシュ」をフレンドポイント召喚によるガチャで初めて引いてその名を見て、しばらく考え込んだ末に「…これ一体誰?」となった人間が筆者の周りでも何人もいて、ああ、なるほどこんな認知状態だと信仰も何も無いよなぁ、信仰や人々の記憶に依って立つ伝説の大英雄が、「これ一体誰?」や「あんた誰?」って言われるような状況じゃ力出るわけ無いよなぁ、星1つなのもそういう理由なのかなぁ、などと思ったことでした。

また、これを逆に見ると、架空の存在であっても知名度さえ十分に高ければ、聖杯はその「存在」をどうにかしてでっち上げて成り立たせてしまうことも不可能ではない(※注2)ということで、知名度の高さを根拠にできるのであれば、極論すると例えば野球のベーブルースや沢村栄治などのあるジャンルで草分けあるいは第一人者であった人物であっても召喚可能(※注3)という、いささかご都合主義が過ぎた状況になりえます。

 ※注2:そもそも聖書に収録されたものをはじめとして、神話の類いは人類最古級のフィクション作品であると言え、それらの登場人物やその事績が荒唐無稽なのも、そうした事情を考慮すれば当然だという話もありますが。なお、ここでは真名をあえて出しませんが、架空でしかも知名度は非常に高いという条件を満たすサーヴァントが、今回の「Fate/Grand Order」でも少なくとも一人はいます。
 ※注3:うっかりそれをやってしまうと、ただのアスト□球団にしかならない気もしますが。

もっとも、大聖杯による英霊の召喚とサーヴァントとしての現界については、「Fate/stay night」や「Fate/zero」などでの描写によれば、呼び出されるサーヴァントはその英霊に縁の遺物を触媒として使用されることもさることながら、死亡前に何らかの後悔や悔恨の情を抱いていた人物であるからこそ召喚に応じた(=聖杯を自らの願望実現の手段として利用したいと考えている)人物が多いと指摘されています。

つまり、人生に満足しきって大往生を遂げたような、あるいは自分に科せられた使命を果たしきって生涯を閉じたような英雄あるいは聖者などはサーヴァントになりにくく召喚に応じる可能性も低いということで、縁の遺品があれば何でもかんでも確実に召喚できるわけではないようです。

ランサー「Fate/stay night」で主人公にとって最初の敵として登場し強烈な印象を残したが、十分実力を発揮しきれないままに終わってしまった。

ランサー
「Fate/stay night」で主人公にとって最初の敵として登場し強烈な印象を残したが、十分実力を発揮しきれないままに終わってしまった。

話が少しずれましたが、要するに聖杯戦争では、知名度や人気の点で地元のメジャーな神話や歴史上の英雄を基礎とする英霊ほど有利で、かつアウェーの英霊はかなり不利ということです。

例えば「Fate/stay night」本編のサーヴァントでもランサーがそのような不利な状況に置かれていたために全力を出せなかったことが指摘されていますし、その反対に「Fate/Apocrypha」の「黒」の陣営に属するランサーは、「聖杯大戦」の戦場となったのが自分の母国であったことから、知名度補正を受けて最大の能力発揮が可能となったとされています。

ちなみに、この大聖杯による英霊召喚のシステムでは、「古今東西」、すなわち過去と未来の世界中から召喚された座にふさわしい英霊が選択され現界する仕組みになっているとされます。

これだけ見ると、未来の英霊がそれなりの数召喚されても良さそうなものですが、シリーズ全体を見渡しても、一人しか召喚されていません。

これは、現代において未知、あるいは今後有名になる人物を基礎とする未来の英霊は過去から召喚された英霊と比較して何かよほど特別の事情や理由が無ければ能力発揮の面で不利な状態に置かれ続けるため、また召喚の儀式で用いる触媒となる「その英霊にとって縁の品」が召喚者の側に(理論上)存在しえないことが一因でしょう。

召喚の時点では誰も「覚えて」おらずその名を識る者もなく、縁の品が存在しようはずがないのですから、召喚されなくとも、また召喚できなくとも当然といえば当然の話です。

そのため、未来から召喚されたサーヴァントがあるとすれば、それはサーヴァントの側に何か特別の事情があって半ば「自分の意思で押しかけるようにしてやってきた」ということなのです。

こうした事情から、作中では特に明確には語られていませんが、「Fate/Grand Order」におけるサーヴァントは、その唯一の例外を別にすると、当然のごとく知名度の高いギリシアやローマの神話、あるいはそれ以後の時代の中近東からヨーロッパにかけてを主体とする地域を舞台とした神話や伝説の登場人物が大量に召喚されており、そのほとんどが伝承されている逸話を信ずる限り、荒唐無稽と言っても過言では無いような滅茶苦茶なエピソード満載です。

ことに、どこの国の神話にせよ伝説にせよ、一般的には時代を遡るほどにエピソードが気宇壮大になる(※注4)ので仕方の無い話なのですが、そのためサーヴァントでも「古い時代の英霊ほどでたらめに強い宝具を持っている」率が高くなっています(※注5)。

 ※注4:世間ではそれをホラ話と呼びます。
 ※注5:率が高いだけで、割としょっぱい宝具を持っているだけの古代出身サーヴァントもいないわけではありません。

呂布奉先現状でFate/Grand Orderに登場する数少ない中国出身のサーヴァントの一人。

呂布奉先
現状でFate/Grand Orderに登場する数少ない中国出身のサーヴァントの一人。

その一方で、想像力の限界に挑戦するようなインド神話出身のサーヴァントは時代にかかわらず記事執筆時点でほぼ皆無(※注5)で、それより東の国のサーヴァントは、中国と日本にわずかずつあるのみ(※注6)となっていますし、同様にローマ帝国やオリエントの諸国と縁の深いエジプト神話出身のサーヴァントも不思議といません。また、ヨーロッパでもその外縁に位置するロシアの英雄は(色々事情がありそうですが)登場していませんし、スペインやポルトガルの英雄も(調べれば結構興味深い人物が一杯いるのですが)登場していません。

そういう意味では、現状の「Fate/Grand Order」に登場するサーヴァントたちは、アーラシュのような例外もあるものの、概ね日本のプレイヤー達が「知っている」可能性の高い人物に限定されていると言っても良さそうです。

 ※注5:インドでは賛歌や叙事詩などの登場人物に、つまり文字記録の残された人物に限定しても、歴史上で結構な数の英雄や英傑、それに何より聖者(リシ)がいるのですが、記事執筆時点ではこのエリア出身のサーヴァントはFate/Grand Orderのゲームそのものには登場していません。ただし、サービス開始前からの予告などで登場しているアーチャーの一人が、そのクラス割り当てや既に「Fate/Apocrypha」で宿敵となる人物が登場していたこと、何より「弓」を持つ英雄は本当に限られていることなど様々な状況証拠から、このアーチャーはインド神話でも有数の大英雄と推定されています。
 ※注6:これは「Fate/stay night」開発の時点で東洋系の英雄・英傑・悪漢などの登場を(内部ルール的に)禁止していたことが原因との由だそうで、この縛りから解放された「Fate/Extra」系の2作品では、中国武術界の最終兵器的な伝説の槍術使いなど、アジア系からも結構とんでもない人物が登場しています。

さすがに、(ゲームバランスの観点から)多数のサーヴァントが、それも各クラスごとに戦力比がある程度バランスが取れるように登場させねばならない「Fate/Grand Order」の置かれた状況からすると、今後のシナリオ展開によって未登場の破天荒な宝具を持った東洋系の英雄・英傑・悪漢たちが機会を捉えて登場してくるものと考えられます。

特に、東洋系の英雄には現在の「Fate/Grand Order」で不足している「弓の英雄」が少なからずいる(※注7)ため、そのあたり人物の登場は期待できそうに思えます。

 ※注7:例えば日本だと源氏の鎮西八郎為朝や「平家物語」で有名な那須与一、モンゴルではチンギス・カンの8人の優秀な部下である「四駿四狗」の内の「四狗」の一人であるジェベなど、日本と中国にかかわる実在したとされる人物だけでも何人も挙げることができます。

もっとも、そうした人物は概ね日本国内での知名度が高い可能性があって、意外性を演出するのが難しいともいえます。

かといって、破天荒系の神話の登場人物を大量に出すのも考え物で、特に空飛ぶ乗り物に始まり核攻撃まがいのかなりヤバ目の描写まである「ラーマーヤナ」や「マハーバーラタ」を筆頭とし、荒唐無稽という意味では他の追随を許さないインド神話や、「抱朴子」や「山海経」を筆頭として山岳信仰や仙術、それに奇怪な生物を巡る逸話など、他にないエピソードを多数残す中国神話の場合、出したら出したでなにやら色々面倒なことになりそう(※注6)です。

 ※注8:そうした観点で見ると、現在登場しているサーヴァントたちは概ねどこにも迷惑のかからない、どこに出してもトラブルになりにくい人物が選ばれていることがわかります。

もっとも面倒は面倒でも、そうした荒唐無稽を極め尽くしたような英霊達がどんな破天荒な宝具を携え、またその容姿や逸話などをどう解釈されどう料理されて出てくるのか、という楽しみがあるのも確かなのですが。

第5回へ続きます。

▼参考リンク
スマホでフェイト!|Fate/Grand Order 公式サイト
「アーラシュ (イラン神話)」の変更履歴 – Wikipedia

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※記事内の情報はすべてレビュー時(2015年11月10日)の情報です。

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