ソニーモバイルコミュニケーションズ Xperia Z5 Premium(SO-03H)

遂に4K2Kディスプレイ搭載へ~ソニーモバイルコミュニケーションズ Xperia Z5 Premium~

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

by [2015年10月27日]

ソニーモバイルコミュニケーションズ Xperia Z5 Premium(SO-03H)

ソニーモバイルコミュニケーションズ Xperia Z5 Premium(SO-03H)

今期のソニーモバイルコミュニケーションズ製スマートフォンのフラグシップにあたるXperia Zシリーズの新モデルでは、基幹機種となるXperia Z5の他に、コンパクトモデルであるXperia Z5 Compactと、ハイエンドモデルであるXperia Z5 Premiumの2機種が発表され、これら2機種はNTTドコモより発売されることとなりました。

前者については、これまでにも同様のモデルの設定があり、またプロセッサ性能等は他の姉妹機種2機種と同等ながらディスプレイがXperiaのコンパクトモデルで標準のHD解像度(720×1,280ピクセル)となっているため、性能や機能について取り立てて特筆すべき点もない(※注1)のですが、後者はこれまでにない新しい提案を含んでおり、今後のXperiaの方向性を示唆するものとして注目を集めています。

 ※注1:ただし、同等のプロセッサ性能かつ同世代の同一シリーズでHD・フルHD・4K2Kと3解像度のモデルが用意されたことから、各解像度ごとのGPUによるグラフィック描画性能の比較という意味では重要な基準機となる機種です。

そこで今回は、このXperia Z5 Premiumについて探ってみたいと思います。

Xperia Z5 Premiumの主な仕様

記事執筆時点で公表されているXperia Z5 Premiumの主な仕様は以下の通りです。

  • OS:Android 5.1
  • チップセット:Qualcomm Snapdragon 810(MSM8994:2.0GHz クアッドコア+1.5GHz クアッドコア)
  • サイズ:約76×154×7.8mm
  • 重量:約181g
  • メインスクリーン
    • 種類:TFT液晶(トリルミナスディスプレイ for mobile)
    • 解像度:2,160×3,840ピクセル(4K2K解像度)
    • 画面サイズ:約5.5インチ(対角線長)
  • 内蔵メモリ
    • RAM:3GB(LPDDR4)
    • フラッシュメモリ:32GB
    • 拡張スロット:microSDXC (最大200GB)
  • カメラ
    • メインカメラ解像度:23メガピクセル
    • フロントカメラ解像度:5.1メガピクセル
  • Wi-Fi:
    • 対応規格:IEEE 802.11 a/b/g/n/ac
  • Bluetooth:Ver.4.1
  • NFC対応
  • 電池容量:3,430mAh
  • 防水:IPX5/8
  • 防塵:IP6X
  • ハイレゾオーディオ:対応
  • TVチューナー:ワンセグ・フルセグ対応
  • 生体認証:指紋認証

ディスプレイがスマートフォンとしては史上初の4K2K解像度となり、この関係で5.5インチパネル搭載となって筐体サイズが大型化し、さらにこれによって内蔵バッテリー容量(および重量)が増えた以外は、基本的に同時開発の姉妹機種であるXperia Z5と同等のスペックとなっています。

史上初の4K2Kディスプレイ搭載だが…

この機種の最大のセールスポイントが5.5インチサイズで4K2K解像度、つまり現行のハイエンドスマートフォンの実質的な標準解像度となっているフルHD解像度(1,080×1,920ピクセル)を縦横それぞれ2倍に画素数を増やした超高解像度ディスプレイ(画素密度806 ppi)にあることは疑う余地がありません。

ですが、この超高解像度には実は1つ大きな落とし穴があります。

Qualcomm Snapdragon 810製品紹介ページ製品紹介では4K解像度の動画ストリーミング再生は用途として挙げられているが、それ以外でのこの解像度の利用には特に触れていない。

Qualcomm Snapdragon 810製品紹介ページ
製品紹介では4K解像度の動画ストリーミング再生は用途として挙げられているが、それ以外でのこの解像度の利用には特に触れていない。

それは、少なくともこの機種に搭載されたQualcomm Snapdragon 810という統合プロセッサに内蔵されたAdreno 430というGPUの性能では、あるいはそれに接続されたLPDDR4メモリの転送帯域幅では、(スマートフォンに搭載可能な統合プロセッサとしては記事執筆時点で事実上最強クラスの性能を達成しているものの)少なくとも3Dグラフィック機能については4K2K解像度で十分に実用的な描画速度と画質を両立させることは期待できない、という点です。

先日ご紹介したPlayStation VRの記事でも記しましたが、Snapdragon 810よりもプロセッサの規模が大きく、現在の一般的なパソコンと比較してさえそれなりに高性能なGPUを内蔵し、しかもLPDDR4と比較して格段に高速なGDDR5メモリをCPU・GPU共用のメインメモリとして搭載している現行のPlayStation 4ですら4K2K解像度での3Dグラフィック描画には性能不足で、この解像度は一応サポートされているものの事実上静止画表示などの「処理落ち」をあまり気にしなくて済む用途でしか利用できなくなっている=ゲームでの3Dグラフィック表示には利用できないのです。

つまり、既に発表されている同系プロセッサ搭載機種でのベンチマークテストなどから判断する限り、(比較対象とするのがそもそも間違っているという話もあるのですが)PlayStation 4に搭載されているAPU(Accelerated Processing Unit)と呼ばれる統合プロセッサと比較して性能が劣ると考えられるSnapdragon 810(※注2)で、十分実用的な描画速度(≒フレームレート)を維持しつつ、4K2K解像度で十分満足できるレベルの高品質な3Dグラフィック画面描画が行えるとは考えがたい(※注3)のです。

 ※注2:そもそも、このSnapdragon 810は2015年春モデルのXperia Z4をはじめとする搭載各機種で高発熱や大消費電力から様々な問題を起こしており、フルHD解像度クラスの機種でさえかなり無理をした印象のあるプロセッサであったりします。

 ※注3:フルHD解像度と比較して4K2K解像度の場合、画素数が4倍になるわけですから、単位時間あたり必要となる演算処理の量も単純に考えると4倍となります。そのため、物理的にGPUの内蔵シェーダ数を4倍以上に増やすか動作クロック周波数を4倍速化するなどして必要となる処理量に見合ったレベルまでGPU性能を引き上げない限り、(プロセッサの内外にそれ以外のボトルネック要素が無いと仮定しても)フルHD解像度で描画を行った場合と同じフレームレートを4K2K解像度での描画時に維持することは難しくなります。また、この演算処理の過程で行われるメモリアクセス量も当然に増大するため、処理落ちなく描画するにはメモリインターフェイスの転送帯域性能の大幅増強も必要となります。

もっとも従来機種よりディスプレイサイズが大きくなり、それに伴い筐体サイズも大きくなっているということは、バッテリー容量が増えて連続稼働時間が延びるだけでなく冷却系の機能強化も容易になるということで、この機種では冷却性能の高いデュアルヒートパイプを搭載しているとされています。それゆえこの機種は3D描画による高負荷・高発熱に対しては従来機種よりも有利と考えられ、果たしてそれが4K2K解像度での3Dグラフィック描画に十分かどうか、という議論は別に措くとしても、この機種がSnapdragon 810の性能を他の搭載機種より高いレベルで引き出すこと自体は大いに期待できます。

なお、プロセッサ開発元であるQualcomm自身は、このプロセッサの製品紹介ページのGPU紹介欄で「New QualcommR Adreno? 430 GPU and display engine enable 3D gaming on 4K displays(新しいクアルコム Adreno 430 GPUとディスプレイエンジンは4Kディスプレイ上での3Dゲーミングを可能とします)」と豪語しています。

しかし筆者の実体験から言うと、現在の水準でそれなりに高性能なGPUとCPUを積んだパソコンで4K2K解像度よりも低解像度なWQHD解像度(2,560×1,440ピクセル)のディスプレイで3Dゲームをプレイするのでさえ、アンチエイリアスや異方フィルタリングなどの高度な機能を最大限利用し重い描画処理を行う設定だと実用にかなり厳しいという現実があって、これは「快適な」とまでは言っておらず「可能とします」止まりなので嘘ではないにしても、実用性の観点では現実的ではない宣伝文句だ、と判断せざるを得ません。

実際、この機種を販売するNTTドコモの報道発表資料では、「フルハイビジョンの4倍もの解像度を誇る4K映像をスマホでも鑑賞できるようになりました」「4Kアップコンバート機能を搭載し、YouTubeなどのコンテンツもアップスケーリングされ、美しい4K相当の高画質で楽しめます」、そして「4K映像の撮影だけでなく、再生もできるため、場所を選ばずに臨場感あふれる映像をお楽しみいただけます」とまるで4K2K解像度では動画視聴以外眼中に無いと言わんばかりの何とも微妙な書き方がなされています。

このXperia Z5 Premiumでは(姉妹機種と同様に)仕様で示したとおり有効画素数23メガピクセル級とスマートフォン用内蔵カメラとしては記事執筆時点で史上最大の解像度を誇る「Exmor RS for mobile」裏面照射形CCDセンサーを内蔵したカメラモジュールが搭載されており、その撮影データをプレビューするだけでも画素数が2メガピクセル程度しか無いフルHD解像度ディスプレイでは十分とは言いがたくなっていました。

恐らく、この機種での4K2K解像度ディスプレイ採用には、このカメラ解像度の従来機種比での引き上げがある程度以上影響していると考えられ、少しでも撮影データに近い解像度での写真鑑賞が可能となるように、この解像度のパネルが採用されたものと推測できます。

それでも4K2K解像度のパネルでさえ画素数は約8メガピクセル、つまり最近まで一般的なスマートフォンに搭載されていたカメラモジュールで撮影した画像を等倍で表示するのが精一杯で、今のこの機種に搭載されているカメラで最高解像度に設定して撮影した静止画データは画素数を約1/3に減らして、つまりかなり高倍率で縮小表示するしかない状況(※注4)であったりします。

 ※注4:記事執筆時点で一般向けとして市販されている液晶ディスプレイでも、画素数23メガピクセルクラスの画像を一対一で表示できるほど高解像度の機種は存在していません。

このあたりの状況を勘案すると、Xperia Z5 Premiumの4K2K解像度ディスプレイは、あくまでこれまで以上の高解像度での撮影した写真の鑑賞、あるいは4K2K解像度での動画再生のためのものであるということで、この解像度で超高画質の3Dグラフィック描画を楽しむことはあまり期待しない方がよろしいでしょう。

ノイズキャンセリング機能に対応しつつハイレゾ音源を楽しむ

ソニーモバイルコミュニケーションズ MDR-NC750製品紹介ページ製品そのものはソニー本社自体がハイレゾウォークマン対応のオプションとして発売するMDR-NW750Nと同一で、販売チャネルの相違から別型番を与えられている。ピン数が増やされ5極化されたミニプラグ(右)に注目

ソニーモバイルコミュニケーションズ MDR-NC750製品紹介ページ
製品そのものはソニー本社自体がハイレゾウォークマン対応のオプションとして発売するMDR-NW750Nと同一で、販売チャネルの相違から別型番を与えられている。ピン数が増やされ5極化されたミニプラグ(右)に注目

このXperia Z5 Premium(および同世代のXperia Z5シリーズ各機種)では音声出力がハイレゾ音源対応となっているだけでなく、純正オプションとして提供されているノイズキャンセリングヘッドフォンの「MDR-NC750」「MDR-NW750N」の2機種(※注5)を利用することで、ハイレゾ音源をハイレゾ音質のままノイズキャンセリングして聴くことができるようになっていて、今まで以上に音楽に没入して楽しめる環境が提供されていることが注目されます。

 ※注5:発売元がそれぞれソニーモバイルコミュニケーションズ(Xperia用オプション)とソニー(ウォークマン用オプション)で分かれているために別型番を与えられていますが、形状やスペックが全く同じで実質的には同一機種です。

再生周波数帯域がCDと比較して大幅に拡大されたハイレゾ音源の再生にあたっては、ノイズキャンセリング機能の実現には当然にその拡大された帯域に対するキャンセリングも必要となります。

つまり、周囲の騒音を内蔵のマイクで拾ってサンプリングし、それを反転して逆位相化した信号を再生される音声信号に合成して出力することで周囲の騒音を打ち消す必要があるということで、騒音を拾うマイクもそのサンプリングを行って処理を行うDSPなどのプロセッサによる回路部分も全てハイレゾ対応とする必要があるのです。

このため、「ハイレゾ音源対応のノイズキャンセリングヘッドフォン」というのは実現するのが思った以上に大変で、事実上専用の5極ミニプラグ(通常のステレオミニプラグ(3極ミニプラグ)上位互換)による接続とはいえ1万円台前半と比較的廉価(※注6)で5 Hz – 40,000 Hzまでの再生周波数帯域に対応する「ハイレゾ音源対応のノイズキャンセリングヘッドフォン」が提供され利用できるというのは朗報です。

 ※注6:ノイズキャンセリング機能搭載プロセッシングユニット付属で接続される機種を選ばない汎用の「ハイレゾ音源対応ノイズキャンセリングヘッドフォン」である「h.ear in NC(MDR-EX750NA)」だと約2万円程度のプライスタグがついていますから、この機種は対応再生機器が限られるもののかなりのバーゲンプライスであると言えます。

ちなみに別途プロセッシングユニットを必要としないヘッドフォン本体のみの専用機種でしかもこのピン数でプラグ接続が行われているということは、これら5ピンが通常のステレオミニプラグと互換の音声出力で2ピン、ノイズキャンセリング用騒音データ取得用音声入力で2ピン、それにこれらで共用のグラウンドで1ピンの5ピン構成になっている可能性が高いと言えます。

Xperia Z5シリーズと純正ノイズキャンセリングヘッドフォンの組み合わせでのノイズキャンセリング処理の概念図(推定)肝心のハイレゾ音声信号は最終的にD/Aコンバータでアナログ信号に変換されるまでデジタルのままで処理される。

Xperia Z5シリーズと純正ノイズキャンセリングヘッドフォンの組み合わせでのノイズキャンセリング処理の概念図(推定)
肝心のハイレゾ音声信号は最終的にD/Aコンバータでアナログ信号に変換されるまでデジタルのままで処理される。

つまり、再生音をアナログ出力する前のデジタルデータの段階でノイズキャンセリング用音声信号と合成を行っているということで、汎用のノイズキャンセリングヘッドフォンが一旦アナログ入力された音声信号をデジタルサンプリング(A/D変換)して合成処理を行い、再度アナログ信号に変換している(D/A変換)と比較すると音質面で原理的に有利になります。

このあたりの機能や価格は、自社でヘッドフォン開発を長年にわたって続けてきた、またノイズキャンセリング機能についても黎明期から研究を続けてきたソニーならではのものと言えるでしょう。

ソニー自身がハイレゾウォークマンとして実売価格が10万円以上もする大変に高価な機種を出していて、それがその高音質で一定の市場評価を得ている、という事実が示すように、ハイレゾ音源に対応したからと言ってただそれだけで高音質が期待できるわけではないのですが、ハイレゾ音源対応+ノイズキャンセリング機能搭載のウォークマンの最下位機種ですら2万円以上することを考えると、このクラスのスマートフォンでこれらの機能がサポートされるというのは歓迎すべきことです。

問題があるとすれば5極の専用ミニプラグに対応するノイズキャンセリング機能搭載ヘッドフォンのラインナップが今後どうなるのか明らかになっていない、つまり将来性に不安がある点ですが、このプラグ自体は推測されるピンの信号割り当てから機種依存性が低く一定の汎用性があると考えられるため、今後のソニー製ノイズキャンセリング機能搭載ヘッドフォンではこのプラグが標準化される、あるいはプロセッシングユニットを付属する汎用モデルとこのプラグを搭載しプロセッシングユニットを省いた専用モデルで作り分けるようになる可能性が高いでしょう。

タブレットとスマートフォンの境界上で

以上、Xperia Z5 Premiumについて、基本となるXperia Z5との相違点や前回の記事で紹介しきれなかったノイズキャンセリング機能についてご紹介してきました。

5.5インチディスプレイで4K2K解像度となると、テキスト表示などは結局文字サイズを拡大した状態をデフォルト設定としないと視認性に不都合があるのではないか、という危惧もあるのですが、ソニーモバイルコミュニケーションズとNTTドコモの製品紹介ページを見る限り、フルHD解像度の機種並みのアイコン表示数となっており、実質的にフルHD機比で4倍程度拡大した状態で通常表示を行うようです。

そのため、4K2K解像度の真価が発揮されるのは本当に写真/動画撮影時に限定されることとなると推測されますが、その用途では他では得られないフォーカス精度や解像感を得られることでしょう。

正直、こんな大きなサイズのスマートフォンで23メガピクセルの高画質写真撮影や4K2K解像度動画の撮影を高頻度で行うシチュエーションがどれだけあるのだろうか、と思ってしまいます。しかし、筆者自身の一眼レフカメラでの経験に照らして考えてみると、これはより大きく高画質なファインダーに相当する機能がスマートフォンのディスプレイで提供されるということで、特にデジタルズーム機能を利用する様な場合、拡大するとどの程度画質が荒れるのかが一目で判別できることになり、さらに撮影した写真のプレビュー時にごくわずかな手ぶれの視認による判定も容易になるため、写真撮影時のメリットは存外大きいと思えます。

こうした事情を考えると、これは相当にユーザーを「選ぶ」機種ではあるものの、用途が適合するユーザーにとっては他に代えがたい機種となるのでは無いでしょうか。

▼参考リンク
Xperia™ Z5 Premium SO-03H | ソニーモバイルコミュニケーションズ
Xperia(TM) Z5 Premium SO-03H | 製品 | NTTドコモ
報道発表資料 : 2015-2016冬春モデルの13機種を開発・発売 | お知らせ | NTTドコモ
ノイズキャンセリング機能搭載ハイレゾ・オーディオ対応ヘッドセット MDR-NC750 | ソニーモバイルコミュニケーションズ
MDR-NW750N | ポータブルオーディオプレーヤー WALKMAN ウォークマン | ソニー
h.ear in NC(MDR-EX750NA) | ヘッドホン | ソニー

PageTopへ