SONY Xperia Z5(SOV32)左からホワイト、グラファイトブラック、ゴールド、グリーンの4色展開となる。筐体デザインは前作Xperia Z4からほとんど変更が無い

超弩級の高画素数カメラを搭載した最新機~ソニーモバイルコミュニケーションズ 、Xperia Z5を発表

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by [2015年10月01日]

SONY Xperia Z5(SOV32)左からホワイト、グラファイトブラック、ゴールド、グリーンの4色展開となる。筐体デザインは前作Xperia Z4からほとんど変更が無い

SONY Xperia Z5(SOV32)
左からホワイト、グラファイトブラック、ゴールド、グリーンの4色展開となる。筐体デザインは前作Xperia Z4からほとんど変更が無い

ソニーのスマートフォン・携帯電話事業がソニー・エリクソンからソニーモバイルコミュニケーションズに移管された直後の2013年2月に発表されたXperia Z以来、「Z」の型番を冠するXperiaシリーズはソニー製スマートフォンのハイエンドモデルとして、おおむね半年間隔でモデルチェンジを繰り返してきました。

その間、2世代目のXperia Z1で当時のスマートフォン向けカメラモジュールとしては最大解像度を誇る、画素数20.7メガピクセルの裏面照射形CCDセンサーと焦点距離27mm、開放絞り値F2.0の明るいGレンズを組み合わせた「Exmor RS for Mobile」最上位モデルを初搭載し、以後他社へのこのモデルの供給が行われないまま、スマートフォン市場における最大解像度メインカメラ搭載機として歴代各モデルがその名を連ねてきました。

このことからも明らかなとおり「Xperia Z」シリーズというブランドは、高性能高画質カメラを搭載するスマートフォンを象徴する存在となり、途中幾つかのトラブルや不具合も発生したものの、こと内蔵メインカメラの性能については、他の追従を許さない状態が長らく続いてきました。

何しろ、Appleを筆頭に世界中のスマートフォンメーカーの大半がソニー製カメラモジュール、あるいはセンサーモジュールを争うようにして買い求めて自社製品に搭載する状況下で、他社には供給しない、いわば秘蔵の高性能カメラモジュールを搭載しているのですから、ある意味カメラ性能が良くて当然と言えます。

しかし、その反面ディスプレイサイズは、「Xperia Z2」で5.0インチから5.2インチ(対角線長)にわずかにサイズアップして以来そのままで、解像度に至っては初代Z以来フルHD解像度(1,080×1,920ピクセル)のままに据え置かれてきました。

そんな「Xperia Z」シリーズがこのほどモデルチェンジし、「Xperia Z5」として発表されました。

記事執筆時点で発売が決定しているのは、au向けの「SOV32」とNTTドコモ向けの「SO-01H」の2モデルです。※Xperia Z4を2015年夏モデルとして発売しているソフトバンクは未発表。

今回はこの真新しい「Z5」について従来機種からの変更点を中心に見てゆきたいと思います。

主な仕様

記事執筆時点で公表されている「Xperia Z5」の「SOV32」と「SO-01H」の主な仕様は以下の通りです。

  • OS:Android 5.1
  • チップセット:Qualcomm Snapdragon 810(MSM8994 2.0 GHz クアッドコア+1.5 GHz クアッドコア)
  • サイズ:約72 × 146 × 7.3 mm
  • 重量:約154 g
  • メインスクリーン
    • 種類:トリルミナスディスプレイ for mobile/LCD(液晶)
    • 解像度:1,080×1,920ピクセル(フルHD解像度)
    • 画面サイズ:約5.2インチ(対角線長)
  • 内蔵メモリ
    • RAM:3 GB
    • フラッシュメモリ:32 GB
    • 拡張スロット:microSDXC card(最大容量:200 GB)
  • カメラ
    • メインカメラ解像度:約23メガピクセル
    • フロントカメラ解像度:約5.1メガピクセル
  • Wi-Fi:
    • 対応規格:IEEE 802.11 a/b/g/n/ac
  • Bluetooth:Ver.4.1
  • 外部入出力:microUSB・MHL・ヘッドセット接続端子
  • 電池容量:2,900 mAh(交換不可)
  • NFC:対応
  • 防水:IPX5/IPX8
  • 防塵:IP6X

以上から、統合プロセッサは「Xperia Z4」で高発熱が伝えられたQualcomm Snapdragon 810のままで額面上の性能にはほとんどと言って良いほど変更がなく、画面解像度・サイズも「Xperia Z4」と共通です。

にもかかわらず、筐体厚さが0.4mm厚くなり、さらに重量が約10g増えているのは、恐らくメインカメラの変更が原因と考えられます。

なお、auの「SOV32」がその型番の示すようにVoLTE対応モデルであって3G通信でのCDMA2000方式による通話をサポートしないことから、「SOV32」と「SO-01H」の公表されている仕様にはほとんど差はなく、相違点はほぼauとNTTドコモの各社固有サービスに依存する部分に限られています。

遂に有効画素数23メガピクセルに達したメインカメラ

先にも触れたように、従来の「Xperia Z1」以降「Xperia Z4」までの機種では世界最高の有効画素数20.7メガピクセルの裏面照射形CCDセンサーを内蔵した「Exmor RS for Mobile」カメラモジュールをメインカメラとして搭載していたのですが、今回の「Xperia Z5」では画素数を何とそこから更に約1割増しとした、新設計の有効画素数23メガピクセル(縦横比4:3時)の「Exmor RS for Mobile」を搭載してきました。

先日のiPhone 6s・6s Plusの記事でも少しご紹介しましたが、ハイエンドのデジタル一眼レフカメラの多くが12メガピクセル~18メガピクセル程度までの範囲の画素数のCCDセンサーを搭載し、それ以上の画素数のセンサーを搭載した機種は割と特殊な用途向けとして販売されているような状況の中で、これまでより焦点距離の短い24mm相当の広角Gレンズを搭載し、さらに従来よりも強力な画像処理エンジンのBIONZ for mobileを搭載してまでして、メインカメラを強化するのは、正直違和感があるのですが、この画素数増加が単に撮影画像の画素数を増やすためだけでなく、実際に撮影される画像は従来通りの解像度として増加分の画素をデジタル手ぶれ補正機能に割り振ることでこれまで以上に「手ぶれしにくい」カメラの実現に利用したり、理屈上必然的に高倍率時の画質の低下するデジタルズームで十分な倍率を確保しつつ画質も維持したりすることを目的としてのものであると考えるのならば、一見無謀にすら思えるこの強化も納得できます。

実際、メーカー公式ページでも画素数増加については語るべきことが少ないこともあってか、さらりと簡単に片付けられており、むしろスマートフォン向けカメラモジュールとしては世界最速の0.03秒で合焦するメインカメラの超高速オートフォーカス機能や、デジタル5倍ズーム機能、それに「インテリジェントアクティブモード」と銘打たれた手ぶれ補正モードの搭載など、先にも触れたような機能の実現がフィーチャーされており、ソニーがそれらの機能を実現する上での必要な要素の1つとしてセンサーの有効画素数増大に踏み切ったことを示しています。

ただ、従来機種で27mm相当であったメインカメラの焦点距離が24mm相当へさらに広角化したというのは、正直良い話ばかりではありません。焦点距離が24mm相当ということは、絞り値が開放値であるF2.0で固定されていてそれ以上絞れないこの手のカメラの場合、被写界深度の点で扱いが少なからず難しくなることを示しています。

また画角的にも標準の50mmレンズのざっと4倍の面積が視界に収まるということは、「狭くて後一歩引かないと全体が撮影できない」ようなシチュエーションにおいて、同じ撮影位置で全体が写った写真を撮れる可能性が高くなるということで、絵的に単調な、あるいは平板な感じの写真となる可能性が少なからずあるものの、実用上は意外と使える焦点距離であったりまします。

ちなみに、筆者はかつて地方私鉄の車庫を訪問しては車両などを撮影していた時代に、一眼レフカメラに常に24mm F2.8の単焦点レンズを装着していて、普通だと「後一歩が引けない」ためにきちんとした写真を撮るのが難しい条件の場所でも、普通に撮影していたものでした。

このため、筆者個人としては今回の「Xperia Z5」のカメラの仕様変更については「あり」だと考えていますが、オートフォーカス(AF)の観点で言えばこのクラスになるとかなりの精度が出る高速AF搭載機でないと、最適な動作を得るのが難しい気がします。

ことに、ここまで画素数が増えてしまうと、これまでの画素数であれば多少はごまかせたようなちょっとしたピンぼけでもすぐばれてしまう訳で、恐らくはAFの合焦速度とその精度をどこまで確保できるのかが、この機種のカメラ性能の死命を制することになりそうです。

もっとも、そうだからこそ、サイバーショットやハンディカムなどの動画撮影機能を援用する形でデジタルでの手ぶれ補正機能の搭載が報じられたと言え、この高解像度カメラを実用的に利用できるように再構築するためにソニーが相当な苦労と手間をかけたことが見て取れます。

一見無変更だが…

さて、今回の「Xperia Z5」では統合プロセッサにARM v8命令セットによる64ビット命令をサポートするQualcommの最新機種であるSnapdragon 810が搭載されています。

最大2.0 GHzで駆動されるCortexーA57を4基と最大1.5GHz止まりのCortexーA53を4基搭載するこの機種は、少なくとも公表されている仕様を確認する限りは、前世代の「Xperia Z4」に搭載されていたものと全く同じ仕様です。

実はこのSnapdragon 810、特に初期出荷分を搭載した各社のスマートフォンではあまりの動作温度の高さが大問題となり、先日のAppleによるiPhone 6s・6s Plus発表の際にもAppleが会場で示したスライド中で(A9プロセッサは)「Optimized for real-world use(現実世界での利用に最適化)」したという文言を紛れ込ませて額面上のスペックを追求するあまり高発熱かつ大消費電力と現実的な利用に適さない性能となってしまったSnapdragon 810を名指しせずに遠回しに批判するという一幕があったりしました。

このあたりについてはQualcomm自身も自覚があったのか、今回の「Xperia Z5」と前後して発表されたGoogleの「Nexus 6P」では「Snapdragon 810 V2.1」なる改良バージョンのSnapdragon 810が搭載されていることが示されていて、結構な勢いで問題解決のために対策を講じ続けていることがわかります。

「Xperia Z5」では搭載されるSnapdragon 810が「V2.1」かどうかは明示されていませんが、そもそも今回の「Xperia Z5」の発表が前作「Xperia Z4」の発売からまだ3ヶ月しか経っていない状況で行われたことから考えて、「Z4」での問題解決のために急遽改良版プロセッサを搭載した機種を市場投入した可能性が高く、また開発タイミングから考えるに「Nexus 6P」にだけ最新版プロセッサを提供したとも思えないため、恐らくこの「Xperia Z5」でも「V2.1」相当かそれと前後した時期のバージョンのSnapdragon 810が搭載されている可能性が高いといえるでしょう。

これまでに無かった新機能

Xperia Z5での指紋認証機能の搭載を紹介する公式ページご覧のとおり縦持ち時右側面中央に位置する電源ボタンにセンサーを内蔵して指紋認証機能を実装している

Xperia Z5での指紋認証機能の搭載を紹介する公式ページ
ご覧のとおり縦持ち時右側面中央に位置する電源ボタンにセンサーを内蔵して指紋認証機能を実装している

さて、今回の「Xperia Z5」ではこれまでに無かった新機能として、本体側面に設けられた電源ボタンへの指紋認証機能の内蔵があります。

これはAppleがiPhoneで「TouchID」と称して搭載している機能と同等のものをAndroidでも実装するようになったと考えればよく、「Xperia Z5」と同時期発表のGoogleの最新リファレンス端末である「Nexus 5X」および「Nexus 6Pにも同様の機能が搭載されています。

Android陣営で指紋認証機能の搭載がなかなか進まず、そればかりか光彩認証などの別の認証機能の搭載が先行したのは、身も蓋もないことを言ってしまえばAppleが「TouchID」開発の過程で指紋認証デバイス開発では最大手であったAuthenTec社を買収し、その保有特許も取得した上で従来の取引先各社への指紋認証デバイス提供を一方的に打ち切らせるという、会社間の仁義も何もあったものでは無い戦略を採った結果、Appleが保有するAuthenTecの指紋認証特許を回避した新しい指紋認証技術を開発するという、車輪の再発明のような不毛な技術開発を強いられたことが原因です。

まぁ、金がある会社だからこそできた力業の戦略であると言えますが、おかげで従来AuthenTecの指紋認証デバイスを採用してきた各社が大打撃を受けたのは確かで、こうしてまともに実用になる代替技術を搭載した製品が世に出るまで、セキュリティ面で実に2年ものアドバンテージをAppleは得ることができたわけです。

Z4をブラッシュアップしてより完成度を高めた「Z」の最新モデル

以上、「Xperia Z5」についてざっと見てきましたが、一言で言えば「メインカメラを性能向上し、(恐らくは問題のあった)プロセッサを改良して指紋認証機能を追加しただけのXperia Z4改良モデル」というのが正直なところで、カメラ周りを除くと、一見して変わっているのは最新の大容量モデルに対応したSDXCメモリカードスロットくらいのものでしかなく、あまり新鮮味がありません。

実のところ前回「Xperia Z4」のレビューを記したときにも筆者は「変える必要のないところは変えず、変えるべきところを変えた」としたのですが、今回もその路線を忠実に踏襲していると考えて良さそうです。

まぁ、その「変えるべきところを変えた」というのがくせ者で、実はかなり重要な変更を含んではいるのですが、それを特に重要と感じさせないところにこそ、この機種の怖さがあります。

実際、この路線で「Xperia Z3」「Xperia Z4」そして今回の「Xperia Z5」と大枠は変えずに地道に問題点を潰し性能アップを図り続けてきた結果、元々の基本設計の素性が良かったこともあって、この系列は代を重ねるごとに空恐ろしい勢いで完成度が向上してきています。

iPhone 6s・6s Plusの記事でも記しましたが、製品のモデルチェンジに当たってほとんど同じ見た目を保ったままとするというのは会社の幹部や営業を納得させるのが本当に大変で、よほどデザイナー自身に自分の仕事に対する自信がなければできないことです。

現状でそれができているのはAppleとソニーくらいしかないわけで、「Xperia」シリーズ全体の完成度の高さからもソニーのデザイン力のすごさが伝わってくるのですが、こうして着実にデザインや機能のブラッシュアップを積み重ねてゆく両社に対抗せねばならない他の各社は本当に大変なのではないでしょうか。

▼参考リンク
ニュース&トピックス | 会社情報 | ソニーモバイルコミュニケーションズ
Xperia™ Z5 SOV32 | ソニーモバイルコミュニケーションズ
Xperia™ Z5 SO-01H | ソニーモバイルコミュニケーションズ
Snapdragon 810 Processor Specs and Details | Qualcomm

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