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遂にスマホはWQHD解像度時代へ! ~isai FL LGL24~

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by [2014年5月13日]

auの2014年夏モデルが発表されました。

今回の端末群で最大の技術的なトピックは、LTE-Advancedの技術の一つであるキャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation:CA)と呼ばれる複数の周波数帯を束ねて通信速度を高速化させる技術の採用と、TD-LTE技術との互換性のあるWiMAX 2+の採用により、必要に応じてこれらを切り替え使用することで安定的に高速通信を実現することにあります。

しかし、今回の機種ではこれら以外にも様々な新技術・新機能が盛り込まれています。

中でも最も注目を集めそうな機種が、2013年冬モデルの「isai LGL22」に引き続きLG電子とauのコラボレーションによって開発されたオリジナルモデルの、「isai FL LGL24」(以下、「isai FL」と表記)です。

今回はこの「isai FL」について、その立ち位置を中心に考えてみたいと思います。

主な仕様

プレスリリースおよび展示会などにより現時点で公表されている「isai FL」の主なハードウェア仕様は以下の通りです。

  • OS:Android 4.4
  • チップセット:Qualcomm MSM8974AC(2.5GHz クアッドコア)
  • サイズ:約76 × 145 × 10.5 mm
  • 重量:約160g(暫定値)
  • メインスクリーン
    • 種類:AH-IPS液晶
    • 解像度:2,560×1,440 ピクセル(WQHD解像度)
    • 画面サイズ:約5.5 インチ(対角線長)
  • 内蔵メモリ
    • RAM:2 ギガバイト
    • フラッシュメモリ:32 ギガバイト
    • 拡張スロット:microSD XC card(最大容量:128ギガバイト)
  • カメラ
    • メインカメラ解像度:13.2 メガピクセル
    • フロントカメラ解像度:1.3 メガピクセル
  • Wi-Fi:
    • 対応規格:IEEE 802.11 a/b/g/n/ac
    • テザリング機能対応(最大8台まで)
  • LTE:
    • 転送速度:下り最大150Mbps/上り25Mbps
    • キャリアアグリゲーション対応
  • Bluetooth:Ver.4.0
  • 電池容量:3,000 mAh(電池交換不可)
  • 防水:IPX5/7

このほか、NFCでの情報取得・リンク機能とおサイフケータイ機能のサポート、ワンセグ・フルセグ地上波デジタルテレビ放送チューナーの搭載が公表されています。

なんと言ってもインパクトがあるのが5.5インチWQHD解像度AH-IPS液晶ディスプレイの搭載ですが、これについては後述することにします。

メモリ容量がやや不満

なお、搭載プロセッサのQualcomm MSM8974ACはSnapdragon 801の改良・高クロック動作対応モデルで、動作クロック周波数2.5GHzとLG電子初のau向けスマートフォンであった2012年の「Optimus X IS11LG」(NVIDIA Tegra 2 1.2GHzデュアルコア搭載)の2倍以上の動作クロック周波数を達成しています。

CPUコアがこのように大幅な高性能化・高クロック周波数動作を実現する一方で、メインメモリ容量は2012年秋冬モデルのハイエンド機種と同じ2ギガバイトのまま据え置かれています。

これは32ビット命令セット(ARM v7)にしか対応しないプロセッサを搭載している現状では4ギガバイト以上搭載してもほぼ意味が無いことや、Android 4.4でOSそのものの消費するメインメモリ容量が大幅削減されたとされることなどを考慮すると致し方ない面があります。

しかし、ディスプレイ表示に必要なビデオメモリにメインメモリの一部を割り当てる現在のAndroid搭載スマートフォンのメモリ構成では、WQHD解像度で占有メモリ量が単純計算でもフルHDの約1.8倍となることを考慮すると、メインメモリはできれば余裕を見て3ギガバイト搭載として欲しかったところです。

ついにWQHD解像度スマートフォンの時代が到来した

さて、この機種で最大の特徴となるのが5.5インチWQHD解像度AH-IPS液晶ディスプレイの搭載です。

WQHD解像度、つまりHD解像度(1,280×720ピクセル)のちょうど4倍(Quadruple)で縦横比16:9のワイド(Wide)画面表示となる2,560×1,440ピクセルの画面を持つということですから、先にも触れたとおりフルHD解像度のおよそ1.8倍の画素数となり、圧倒的な画面密度が実現することになります。

最近販売されている10インチクラスのWindowsタブレットでも多くがフルHD解像度のパネルを搭載するような状況(※最近ようやくタブレット向け4K2K解像度パネルの出荷が開始されています)で、WQHD以上の高解像度パネルは13インチクラス以上のUltrabookと呼ばれるノートパソコンに使用される程度にとどまっていますから、それらのおよそ1/4程度となる5.5インチサイズのパネルでWQHD解像度を実現したこの「isai FL」の画面密度は圧倒的(※画素密度は1インチあたり538ピクセル(538ppi)で、5.0インチフルHDディスプレイで440ppiであったのと比較しても格段に高密度となります)です。

ジャパンディスプレイ製5.5インチWQHD液晶パネル

なお、LG電子は液晶パネル製造の大手メーカーの1つですが、この5.5インチWQHD解像度液晶パネルについては2014年3月27日にジャパンディスプレイが量産出荷開始を発表しており、量産開始のタイミングと世界中を見渡してもこのサイズ・解像度のパネルを採用している機種が2014年5月前半の時点で他に存在しないことから、「isai FL」にはLG電子製パネルだけではなくこのジャパンディスプレイ製パネルが搭載されている(あるいは全数ジャパンディスプレイ製パネル搭載となっている)可能性があります。

モバイル向け次世代高解像度5.5型WQHD液晶モジュールの出荷開始

ディスプレイは大きいが意外とコンパクトな筐体

ちなみにこの「isai FL」の場合、画面は5.5インチとほとんど小型タブレットと大差ない、スマートフォンとしては非常に大型のパネルを採用していますが、筐体設計の工夫などで日本初の5.0インチフルHD液晶ディスプレイ搭載機となった「HTC J butterfly HTL21」と比較しても格段に高性能化・大容量バッテリー搭載が実現したにもかかわらず、わずか5 mmの幅員拡大と0.9 mm増厚、それに20グラムほどの重量増で済んでいます。

筐体大形化や重量増大は往々にしてスマートフォンの実用性低下の原因となるのですが、この程度のサイズアップならば一般的なワイシャツやスーツの胸ポケットに収まる範囲に収まっているため、充分実用になるのではないでしょうか。

もっとも、操作性の観点ではこれは喜べない面もあります。

5.0インチ液晶搭載機種でも問題となっていたことですが、このクラスの筐体サイズの機種では片手での操作が困難で、多くの場合は両手で操作せねばなりません。

筆者が「HTC J butterfly」を約1年半使用した経験から言っても大型スマートフォンの片手操作はかなり危なっかしい局面が何度もあり、落下してパネルガラス面割損を引き起こした場合の修理コストを考えると、正直片手操作は全くおすすめできません。

その意味では、この「isai FL」についてもどのような取り扱いを行うのか、きちんと考えてから購入する必要がありそうです。

高解像度が必ずしも良いとは限らない

ディスプレイパネルの高解像度化は、これまでスマートフォンの実用性を高める要因となってきました。

実際、この機種でも搭載されたフルセグTVチューナー機能はフルHD解像度のパネルを搭載するようになるまでは考えもされなかった機能であり、高解像度化が新しい機能提案につながった典型例と言えるでしょう。

しかし、その反面高解像度化・高精細化には難点もあります。

フルHD解像度のスマートフォンをご利用の方ならば恐らく実感しておられるものと思いますが、解像度が高すぎて全画面を表示できてもそもそもそのままでは肉眼で文字が読めない、項目を選択するのが難しい、というレベルに達してしまっているのです。

もちろん、ブラウザのテキスト縮小拡大設定で文字サイズを大きくするなどの対策を講じることでこの問題はある程度解決がつきますが、常時拡大状態で使うのならば一体何のための高解像度パネル搭載だ、という話になります。

ちなみに筆者は現在自宅でDELLのU2713HMという27インチサイズで「isai FL」と同じWQHD解像度AH-IPS液晶パネル搭載のディスプレイを使用しているのですが、このディスプレイは写真のフォトレタッチなどで絶大な威力を発揮し、また文書の2ページ表示などでも非常に便利に使えている一方で、実際に表示される文字フォントのサイズがあまりに小さく読みづらいことからブラウザの拡大縮小機能で通常は175パーセントに設定して利用していたりします。

また、このディスプレイではWQHD解像度表示を行うのに事実上Display Port端子かデュアルリンク接続のDVI端子を利用する必要があり、その場合でもグラフィックカードの性能が低いと明らかに画面描画の応答速度が低下したり、そもそもまともに画面表示されなかったりします。

このことからWQHD解像度のパネルを利用するには相応の性能のGPUが必要であると考えられ、またMicro USB端子によるMHL(Mobile High-definition Link)接続を用いてWQHD解像度(あるいはそれ以上の解像度)での外部ディスプレイへ画像出力を行う場合には最新のMHL 3.0への対応が必須(※MHL 2.0対応の場合はフルHD解像度が上限。またこの場合でもディスプレイ側がHDMI 1.4以降に対応必須)となります。

ちなみにこの「isai FL」のMHL 3.0への対応については現時点でその可否が公表されておらず、auの2014年夏モデル全体を見渡してもソニーの「Xperia ZL2 SOL25」のみがこれに対応することを公表しています。

「isai FL」の場合、フルHDを上回る解像度のディスプレイを標準搭載している上に後述するように4K2K解像度での動画撮影機能も搭載しているため、仮にMHL 3.0非対応であったとすると撮影された4K2K解像度動画を本機で再生したい場合に直接動画を元の動画ファイルと等しい解像度で出力する手段が存在しない、ということになってしまいます。

意外と低スペックなカメラ

ディスプレイや統合プロセッサでは現在のトップクラスに位置するスペックとなっている「isai FL」ですが、カメラはどうでしょうか。

結論から言うと、メインカメラが13.2メガピクセル、インカメラが1.3メガピクセルの画素数ですから、メインカメラは先代「isai」と同等、インカメラはNexus 5と同等で「isai」の半分程度となるため2014年夏モデルの中で比較する限り、それほど高性能な部類には入りません。

もちろん、4K2K動画撮影をサポートしているのですから、相応に高性能(※ただし、この機能はカメラ部分の対応もさることながら、データ転送や動画の圧縮処理を行う統合プロセッサ側の性能に大きく依存します)なのですが、他社、特に日本メーカー各社が揃って暗部撮影機能の強化を図ってきている現状では、ただ4K2K動画撮影に対応しました、というだけでは今ひとつパンチ力に欠けるのは確かです。

ハイレゾ音源に対応したサウンド機能

ニュースリリースでひっそり触れられていたのですが、この機種ではいわゆるハイレゾ音源、つまりCD(サンプリング周波数 44.1KHz、量子化ビット数16ビット、ステレオ)などを上回るサンプリング周波数と量子化ビット数の音楽データ(サンプリング周波数96KHz、量子化ビット数24ビットなど)をそのまま再生・出力する機能がサポートされています。

元々Snapdragon 800シリーズではHDオーディオ機能、つまりハイレゾ音源の再生に対応するハードウェアが標準でサポートされていましたから、今回これがようやく利用可能となったわけです。

実のところ、ハイレゾ音源のサポートはこうしたハードウェア側の問題よりもむしろキャリア側のサービスやソフトウェアの対応の方が重要で、Snapdragon 800搭載の「isai」などの発表された2013年冬の時点ではこうしたインフラ部分やソフトウェアが未整備・未対応であったがために、この機能が無効となっていたと言えます。

それがこうして対応を謳えるようになったということは、つまりau側のハイレゾ音源サポート体制が確立されたことを意味します。

WQHD解像度が必要か否か、それが問題だ

以上、「isai FL LGL24」のハードウェアをみてきましたが、この機種の場合、5.5インチWQHD解像度ディスプレイを必要とするかという1点だけが、購入の可否を決めるように思います。

サイズ的には胸ポケットに収まるとはいえ、スマートフォンとしてかなり大型の筐体であることには変わりはありませんから、タブレットとスマートフォンを併用するようなユーザーならば、無理をして「電話機」としての実用性のやや低いこの機種を選択する理由はないでしょう。

逆に、タブレットを併用せずスマートフォン1台で完結させたい、ある意味スマートフォンを万能機として利用したい、といったユーザーならば、高解像度大画面な上にフルセグチューナーまで搭載したこの機種には大きな価値があると言えます。

isai FL LGL24のカラーバリエーション
初代isaiには設定されていなかったピンクが用意されている。

最近、都内で電車を利用していると、6インチ程度の小型タブレットをバッグに入れて利用する女性を見かけることが増えていますが、そうしたユーザー層ならば、スマートフォンとタブレットの機能を統合でき、しかも通常のタブレットよりもコンパクトで高解像度な「ファブレット」であるこの機種には、特に大きな利用価値があるのではないでしょうか。

この「isai FL LGL24」で筐体カラーとしてピンクが用意されているのも、そうした女性層の需要を狙ったものと考えられます。

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