SHARP AQUOS PHONE EX SH-02F(左)・AQUOS PHONE Xx mini 303SH(右)

フルHD、だけどコンパクト ~AQUOS PHONE EX SH-02F/Xx mini 303SH~

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by [2013年10月18日]

SHARP AQUOS PHONE EX SH-02F(左)・AQUOS PHONE Xx mini 303SH(右)

この秋に国内通信キャリア大手3社が発表したAndroid搭載スマートフォンは、NTTドコモがiPhoneの販売に参入したことや、今夏のNTTドコモによる「ツートップ戦略」で愛想を尽かしたNECカシオ・パナソニックの2社がスマートフォン事業から事実上撤退したこともあってか、これまでになく横並び感の強いラインナップになりました。

恐らくは不定見なキャリア(特にNTTドコモ)に振り回されるのを嫌った端末メーカー側のリスクヘッジ策として、端末開発コストの低減を図るために同一機種、あるいは同じ基本機種をベースにした派生機種が別のキャリアで販売される、というケースが増えたためです。

それは3キャリア全てに端末を供給しているシャープも例外ではなく、どちらが基本となったのかは定かでありませんが、今季はNTTドコモ向けAQUOS PHONE EX SH-02Fとソフトバンクモバイル向けAQUOS PHONE Xx mini 303SHとして、仕様の酷似した4.5インチ液晶ディスプレイ搭載機が2つのキャリアに同時供給されることになりました。

SHARP AQUOS PHONE SERIE SHL23(左)・AQUOS PHONE Xx 302SH(中央)・AQUOS PHONE ZETA SH-01F(右)
2013年秋に発表されたシャープの各社向けハイエンド機種。ただし、au向けSHL23は下位機種が用意されていない。

実を言うと、これら2機種はいずれも大画面液晶ディスプレイ搭載機種(※NTTドコモ向けAQUOS PHONE ZETA SH-01Fおよびソフトバンクモバイル向けAQUOS PHONE Xx 302SH)とのハイ・ローミックスとして発表されているのですが、それらの上位機種は基本的な回路構成は酷似しているものの、au向けに別途供給されるAQUOS PHONE SERIE SHL23(※こちらは1機種のみですが、今回の他キャリア向けハイ・ローミックスの各2機種の中間となるサイズ(4.8インチ)のディスプレイを搭載しています)を含めてディスプレイのサイズがばらばらで、中には旧世代方式のパネルを搭載する機種も含まれているため、むしろローエンド扱いの2機種の方がより先鋭的な技術を導入した高性能ディスプレイを搭載する、という一種の下克上状態となっています。

そこで今回は、それらローエンドに位置づけられるシャープ製4.5インチ液晶搭載機2機種を取り上げ、考察してみたいと思います。

ほとんど相違点のないハードウェア

AQUOS PHONE EX SH-02FとAQUOS PHONE Xx mini 303SHのハードウェア仕様の内、共通点を抜き出してみると以下の通りとなります。

  • OS:Android 4.2
  • チップセット:Qualcomm MSM8974(2.2GHz クアッドコア)
  • メインスクリーン
    • 種類:16,777,216色TFT(IGZO)液晶
    • 解像度:1,920×1,080 ピクセル
    • 画面サイズ:約4.5 インチ(対角線長)
  • 内蔵メモリ
    • RAM:2 ギガバイト
    • フラッシュメモリ:16 ギガバイト
  • カメラ
    • メインカメラ解像度:13.1 メガピクセル
    • フロントカメラ解像度:1.2 メガピクセル
  • Wi-Fi:
    • 対応規格:IEEE 802.11 a/b/g/n/ac
    • 対応周波数:2.4GHz、5GHz
  • Bluetooth:Ver.4.0
  • 電池容量:2,120 mAh

ここまで列挙した内容でピンときた方もおられると思いますが、実質的に筐体とキャリアの通信規格に従う必要のある3G/LTE通信機能以外、これら2機種は事実上全く同じ仕様です。

最新かつ最高密度を記録するディスプレイパネル

これらのハードウェア仕様の中で特に注目が集まりそうなのが、液晶ディスプレイパネルです。

なぜなら、対角線長4.5インチの小さなパネルでフルHD解像度(1,920×1,080ピクセル)を実現する、シャープご自慢のCAAC-IGZO液晶パネルが採用されているからです。

これまで、国内市場で発表された各社製スマートフォンを見渡しても、フルHD解像度での最小サイズはau向けHTC J One HTL22に搭載されたSuper LCD 3液晶の4.7インチで、これの画素密度が約468ppi、フルHDパネル搭載機のスタンダードサイズとなった感のある5.0インチサイズで画素密度が約443ppiですから、4.5インチサイズで一気に約487ppiを実現したこのディスプレイパネルの高密度ぶりはあまりに圧倒的です。たかだか330ppiやそこらでしかない「Retinaディスプレイ」など歯牙にもかけない、途轍もない密度感であると言えるでしょう。

CEATEC 2012 シャープブースで展示の6.1型IGZO液晶ディスプレイ(参考出品)このパネルサイズで画面解像度2,560×1,600ピクセル、画素密度498ppiを実現する。

実を言うと、CAAC-IGZO液晶が高解像度化で有利であることは昨年秋のCEATEC 2012の展示でも示唆されていて、約6.1インチサイズで2,560×1,600ピクセル、つまり約498ppiを実現したパネルが参考出品としてひっそりと展示されていました。それから約1年を経て、このクラスの密度のパネルがようやく量産段階に到達したわけです。

CAAC-IGZO液晶以外では、ペンタイル配列などの姑息な手段を用いずにこのクラスの画素密度を実現するのはアクティブマトリクス方式の制御回路を構成するTFTトランジスタのサイズの問題もあって困難ですから、このサイズ、この解像度のパネルは少なくとも現時点では、文字通りシャープの専売特許となります

小さくとも妥協の無いプロセッサ

同時期に発表されたソニーのXperia Z1f SO-02Fもそうでしたが、コンパクトな筐体ながらこれら2機種では統合プロセッサとしてQualcommのMSM8974、つまりベースバンドプロセッサまで統合されたSnapdragon 800が搭載され、最大2.2GHzで駆動される設計となっています。

これはこれら2機種がグラフィック描画で負担となるフルHD解像度のディスプレイを搭載している以上、事実上避けて通れない選択であったと言えるのですが、消費電力の飛び抜けて少ないIGZO液晶を搭載したお陰で、2,120mAhと昨年の各モデルよりは大きいもののSnapdragon 800+フルHDディスプレイ搭載機としてはかなり少ない容量の内蔵バッテリーでありながら、AQUOS PHONE Xx mini 303SHで「余裕をもって2日間」を謳う長い稼動時間を実現しているとされます。

昨年冬に発売され、初のフルHD液晶搭載機となったHTC J butterfly HTL21がバッテリー容量2,020mAhかつSnapdragon S4 Pro(1.5GHzクアッドコア)搭載で丸1日の稼動も怪しいことを思えば隔世の感がありますが、それだけディスプレイの省電力化の効果が大きい、ということなのでしょう。

2社で異なる通信速度・通信方式

ここまで全く同じ仕様だったAQUOS PHONE EX SH-02FとAQUOS PHONE Xx mini 303SHですが、通信機能にかかわる部分については、NTTドコモとソフトバンクモバイルの通信方式の相違の関係で、異なっています。

AQUOS PHONE EX SH-02Fでは下り最大150MbpsのLTE高速通信モードに対応するのに対し、AQUOS PHONE Xx mini 303SHでは下り最大75MbpsのLTE通信(Softbank 4G LTE)とAXGP(Advanced XGP)と呼ばれる通信方式での下り最大110Mbpsの4G通信モード(Softbank 4G)に対応しています。

後者のAXGPは、FDD-LTEと呼ばれる周波数分割多重(FDD:Frequency Division Duplex)による一般的なLTE通信に対し、時分割多重(TDD:Time Division Duplex)方式を採用した、技術的にはPHSの系譜に連なるLTE規格の一つであり、中国などで採用されているTD-LTEと互換性のある技術です。

このAXGP=TD-LTE、iPhone 5sおよびiPhone 5cでソフトバンクモバイルに割り当てられているバンドがサポートされず使用できない、という残念な結果となっていたのですが、自社向けで独自開発のこのAQUOS PHONE Xx mini 303SHでは当然に通常のLTEとの両対応となっています。

全く異なる筐体設計

中身的にはほぼ同一となったAQUOS PHONE EX SH-02FとAQUOS PHONE Xx mini 303SHですが、筐体は異なっています。

まず、筐体寸法がAQUOS PHONE EX SH-02Fは約63 × 128 × 9.8 mm、AQUOS PHONE Xx mini 303SHが約63 × 124 × 9.8 mmで、縦のサイズが4mm異なります。

SHARP AQUOS PHONE EX SH-02F(左)・AQUOS PHONE Xx mini 303SH(右)
背面から見ると、カメラなどの位置や筐体形状などに相違が顕著である。

それだけではなく、液晶ディスプレイがSH-02Fは概ね筐体中央に位置するように搭載されているのに対し、303SHでは上辺が筐体の上辺ぎりぎりに位置するように搭載されており、これに伴いSH-02Fの筐体は四隅が大きな円弧を描いているのに対し、303Hは円弧の半径を小さくしてスクエアな印象にまとめられています。

これは、303SHではディスプレイ下部の空きスペースにボタンを配置していることに伴う相違で、SH-02Fではホームボタンなどの物理的なボタンが用意されていません。このあたりは両社向け従来機種のレイアウトを踏襲したものです。

また、このディスプレイ位置の相違は背面のメインカメラ周りの配置にも影響しており、SH-02Fではメインカメラが上部中央寄りに置かれてフラッシュ/ライト用LEDがその直下にタンデムに配置されているのに対し、303SHではメインカメラを上辺ぎりぎりの位置に配置してフラッシュ/ライト用LEDと赤外線センサーを横並びでメインカメラ両脇に配置する、という相違点があります。

フルセグチューナーが要らず視力に自信があるなら買いだ

以上、NTTドコモ向けAQUOS PHONE EX SH-02Fとソフトバンクモバイル向けAQUOS PHONE Xx mini 303SHを見てきましたが、低消費電力かつ超高画素密度のディスプレイパネルを製造できる事実上唯一の液晶メーカー、という現在のシャープの立ち位置を最大限に生かした非常に完成度の高い端末である、というのが筆者の正直な感想です。

今夏のNTTドコモ向けソニー Xperia Aの成功のおかげで、4インチ台中盤から後半クラスのディスプレイを備えたコンパクトな端末に対する再評価が行われるようになったわけですが、これらはその潮流に乗った機種中でも最高水準の性能・スペックを備えた機種であると言えます。

ハイエンドのオーバー5インチクラスのディスプレイを搭載した機種にあってこれら2機種に欠けているものと言えば大容量バッテリーとフルセグチューナーくらいのもので、プロセッサ性能も画面解像度もメモリ容量も外部ストレージの対応も、皆それらと互角とあれば、スリムでポケットへの収まりの良いこれらの機種を選ばない理由はほとんどない、と言って良いのではないでしょうか。

無論、何日も外出などでバッテリー充電ができない、とかそういう事情がある場合には大容量のバッテリーを搭載したオーバー5インチクラスの機種を選ぶべきでしょうし、視力にやや難のある方がこれら2機種を利用するのは厳しい気がしますが、そうした事情が特に無ければこれらを選択しない理由の方が少ない様に思います(ただしデザイン的な好みの問題はついて回りますが)。

問題があるとすれば、これら2機種は発売時期がいずれも他機種よりかなり遅く設定されていて、事実上来年まで待つ必要があることくらいのものでしょうか。

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